椅子直しの女(60)
LA REMPAILLEUSE
———————————【60】——————————————
Dès qu' il eut compris qu' il avait été aimé de cette
vagabonde, de cette rempailleuse, de cette rouleuse,
Chouquet bondit d' indignation, comme si elle lui avait
volé sa réputation, l' estime des honnêtes gens, son
honneur intime, quelque chose de délicat qui lui était
plus cher que la vie.
..———————————(訳)——————————————
自分があの宿なし女のあの椅子直しの女にに愛されていたと
わかると憤りの余りシューケは跳びあがった.それはまるで
彼女が自分の名声を、正直な人たちからの尊敬を内心の名誉
を、生命より貴重な優美なものを盗まれたようなていたらく
でした.
———————————〘語句〙——————————————
eut compris:(直説法前過去3単)
avoir の単純過去+過去分詞で前過去になります.
原理的には大過去と同じような作り方ですが、
この前過去は、単純過去で述べられた行為の
直前に完了した行為を表わすものです.
ですから前過去=「直前過去」という認識を
しておきましょう.
Dès qu'il eut compris qu'il avait été aimé de cette
vagabonde, Chouquet bondit d'indignation.
この宿なし女に愛されていたとわかると
シューケは憤りの余り跳びあがった.
(1) 愛されていたことがわかった.[前過去]
(2) そのあとすぐに跳びあがった.[単純過去]
bondit:(単純過去3単) < bondir (自)
❶跳ぶ、跳ねる、❷(de で)飛ぶ
indignation [アンディニャスィオン](f) 憤慨
volé:(p.passé) < voler (他) 盗む、泥棒する
réputation:(f) 評判、名声、好評
estime:(f) 尊敬
honnête:(形) (人間が) 正直な
honneur:(m) 名誉、体面、面目
intime:[アンティム](形) ❶親密な、親しい、❷内輪の
❸他人の目にふれぬ、私的な、内心の
délicat(e):(形) 繊細な、優美な
quelque chose de + 形容詞男性単数形:何か~なもの
quelque chose de délicat / 何か繊細なもの
quelque chose 自体は不定代名詞「何か」「何事か」
——————————≪文法≫——————————————————
qu'il avait été aimé de cette vagabonde:
彼がこの宿なし女に愛されていたということ
動詞が3つも続いているので面食らったかたも
いたかも知れません.受け身形が大過去になった
ため、<être + 過去分詞> の受身形のêtre の部分
が過去分詞になって大過去形という大枠に入った
ということ.
<avoir の半過去形+過去分詞>
の過去分詞のところにêtre がété になって組み入れ
られたということ.
なのでavait été aimé となったのです.
そう心配なさらずとも重複合過去というような厄介な
時制ではないのでお気軽にどうぞ.
もしもavait été aimé のété がeu にかわったら
これは事件.これが重複合過去、会話体です.
過去に愛したという行為がその後終わったと
言っています.これは重複合大過去の例でした.
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