2015.7.25(土)晴れのち曇り
文芸選評お題「乾く」
- 五月晴れ 心のうさが まず乾く
- 晴天は 超過勤務の 洗濯機
- 予報しは のどの渇きも 付け加え
- 打ち水を せせら笑っている 猛暑
- ぽっと出の 心が乾く 都市砂漠（ぽっと出とは田舎から初めて都会に出てきたこと、またその者）
- 翔んでいる 主婦へまな板 乾ききり
- 干からびた なぞが出てくる 冷蔵庫
- ダム乾き 昔を語る 屋敷跡
- 幼子の あれはこれはと 知識欲
- 観られてる こととは知らぬ ミイラ像
- 移り気な 部屋でさぼてん 枯れている
- 一面の 休耕田に 目が乾く
- ひと拭きで 乾いてエコな 丸坊主
- 体温の 力を借りる 生乾き
- 猛暑日が 僕にジョッキを 握らせる
- せっかくの 涙も乾く コマーシャル
- 長過ぎる 春に乾燥 注意報
- 古女房 さえもまぶしい ドライアイ
- 人生の 汗を乾かす フルムーン
- 共白髪 乾いていても 愛は愛
佳作
- 働いた 喉が欲しがる 生ビール
- 嘘言えば 喉が渇いて 四苦八苦
- 今年また 水を備える 原爆忌
- キッチンが 乾く間もない 子の帰省
- 柔道着 朝練習は 半乾き
- 干からびた 懐がまつ 年金日
- 洗濯を 干すにも妻の いわくあり
- ひからびぬ ように毎晩 飲んでいる
- 紫陽花の ドライとなって まだ変化
- 食べ過ぎと 乾燥肌が 妻の敵
- 愛情が 枯れそうになる 反抗期
- 脳みそが 乾いてきたか よくわすれ
- 乾燥機 ぽっけの諭吉 目を回す
- 回るすし 少し乾いて いませんか
- かさぶたが とれていたずら また始め
- 老い二人 なみだもろいが ドライアイ
- 自画自賛 して梅干を カメにつめ
- うまそうに 内水を飲む アスファルト
- 舌の根が かわいてきたら もう自由
- 乾杯は まだか死ぬほど のど渇く
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