世界ランク1位のアメリカに2度先行され、2度追いついた「なでしこ」たち。
実力が上がっていることを知ってもいたし、期待も寄せていた。でも、グループリーグでのイングランド戦0-2の結果は今日の快挙を予想することを邪魔していた。
それは、あのドイツに走り切って勝利をてにしてもなお心に残っていた。
準決勝のスウェーデン戦をクリアして再び期待が膨らみつつあったが、決勝戦後半のモーガンのシュートに一度声援の声が小さくなりかけ、そして宮間の同点ゴールで延長戦に望みをつなぐものの、延長前半のワムバックの強烈なヘッドにはため息が漏れた。
多くの場合、観る者は勝手だ。
好プレイには歓喜し、劣勢には時として声援も送らない。
商業スポーツ、「見て楽しむ」スポーツが「スポーツ」を代表するかのような時代がつくりだした現象のひとつかもしれない。
しかしこのゲームに関して言えばそれは違っていて、誰もが最後まで戦う姿を見守り続けた。
2008年8月21日、北京オリンピックの3位決定戦でドイツに0-2で敗れた試合を観たファンならば、あの時の最後まであきらめない心と、献身的な姿を忘れてはいないだろう。
自分たちが声援を送るチームに決勝戦観戦の機会をプレゼントしてくれたことに対する感謝の気持ちもある。
多くのサポーターが勝利を求める心境から、健闘をたたえはじめるように変わっても、自分たちが求めてきたものを譲らない彼女たちの心は、ついに誰の手を借りることもなく自らの手で勝利のチャンスを手に入れた。
そんな、心のチームがつくれたらどんなにありがたいだろう。
そう思ってこれまでのチームを頭に浮かべてみると、いくつもあるじゃないか。僕らのチームだって捨てたもんじゃない。年齢でもないし、熟練さでもない。こちらが気づかないだけらしいぞ。
頑張るぞ! 日本!
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