2022年9月2日のまにら新聞から
9月2日のまにら新聞から
VAT免除「消滅」 日系2社が嘆願書提出
CREATE法成立以来、PEZA登録企業に対する内国歳入庁の規則が二転三転
昨年4月11日に発効した税制改革第2弾、「企業復興税優遇法(CREATE)」。法人税率を引き下げる一方で、フィリピン経済区庁(PEZA)など投資誘致機関に登録する企業の付加価値税(VAT)インセンティブを改正した同法が施行されて以降、特にPEZA登録企業の国内調達に関するVATゼロレートの取り扱いについて内国歳入庁(BIR)が発令する規則が二転三転し、非常に分かりにくい状況が続いている。そんな中、今年5~6月ごろから、物流・商社系のPEZA登録企業に対する国内調達へのVATゼロレートの適用措置がすでに「消滅」したことが判明、多くの日系企業の間で混乱が起きている。
▽6月から倉庫賃貸料にVAT課税
PEZA登録企業で従業員200人以上を雇用し、ラグナテクノパークなどで倉庫業を運営する日系物流会社の駐在員Sさん(51)は「今、VATについて大変な目に遭っている」とこぼす。6月半ばに倉庫の所有会社から「倉庫賃貸料に12%VAT税が課税されることになった」といきなり告げられたのだ。しかも昨年12月にさかのぼってのVAT税支払いも求められた。また、請負契約を交わしているトラック運行業者からもVATゼロレートが適用外になったとしてVATを上乗せした請求書が届くようになった。
そもそもPEZA登録企業の中でも、物流や倉庫などロジスティックス業に従事する企業はELSE(エコゾーン・ロジスティックス・サービス企業=通称「エルセ」)と呼ばれるカテゴリーに位置付けられ、PEZA登録の輸出型企業(大手メーカーなど)とは違い、法人税免除や5%総所得課税などのインセンティブはなく、認められているのは輸入関税免除やVAT免税/ゼロレートなどと限られている。
そんな中で国内調達のVATゼロレートが適用外になると経営への影響は甚大だ。Sさんは「VAT支払いはたとえ後で還付手続きがあるとしても、当面は自社で払い込まなければならない。経営的に厳しい」と語る。
また、10年以上前にもフィリピンに駐在していたというSさんはPEZAという投資誘致機関の地盤沈下を強く肌に感じるという。「当時はPEZAの権威が非常に強く、税関もわれわれPEZA登録企業が輸入したコンテナの中身は全くチェックしなかった。しかし、最近ではPEZA企業の荷物であってもコンテナ1台ずつ検査するようになった」と教えてくれた。
▽内国歳入庁に嘆願書を出す
一方、バタンガス州にあるPEZA登録エコゾーンに進出する包装資材を取り扱う日系商社企業のT社も最近、VAT免税措置の適用を外された。
T社は、フィリピン日本人商工会議所やJETRОマニラ事務所のアドバイスを受けて、別の日系同業他社と2社で、自社の窮状を訴えるとともに、ELSEに対するVATゼロレートの適用維持を求める内国歳入庁長官宛ての嘆願書を、PEZAのパンガ長官代行に8月5日に提出した。
T社を経営する太田義美社長(仮名)は「今年4月末に国内サプライヤーの1社から『貴社のVAT免税措置がなくなっているのではないか』との問い合わせを受け初めてこの問題を知った」という。その後、日系会計事務所に連絡すると「5~6月ぐらいからVAT課税になったようだ」と返事があり、さらにPEZA本部に確認すると「BIRの通達ですでに(ELSEに対する)VAT免税措置がキャンセルされている」と返事があったという。
同社の場合、包装材などの原材料の90%は国内サプライヤーからの現地調達で、その国内調達に関するVATゼロレートが適用外となったのだ。
太田社長によると、国内サプライヤーは30社あり、VAT負担だけで毎月数十万ドルの損失を計上するようになった。特に昨年12月までさかのぼったVAT支払いになっていることから、企業にとって死活問題だ。
太田社長は「日本の親会社のグループ企業なので何とか巨大な損失があっても破産せずに済んでいるだけ」とし、今後の展望については「現在は顧客に率直に話して価格の改定をお願いしているが、この状況が続けば、採算に合う事業だけ残し、会社としては事業縮小するしかないでしょう」と厳しい見立てだ。
最後に太田さんは「フィリピン経済の活性化にもつながるだろうと国内サプライヤーから多くを仕入れてきた。少しでも比の経済と雇用創出に貢献していると思ってきたが、こんな仕打ちを受けるとは思わなかった」と失望のため息をもらした。(澤田公伸、続く)
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