クマちゃんの状態が悪いのを目の当たりに、私は二ヶ月間悩みに悩み、隣に住んでいる長年の友人に相談しました。
どうしよう。。今は飼い主にはなれない。。。けど、このまま放ってはおけない。。。。。クマちゃんは他の誰よりも身体が悪いのです。毛並みはバサバサ、子供の頃から絶えず出ている黄色い目ヤニ、くしゃみをすると飛び出る鼻汁、酷い猫風邪、2キロほどしかない小さく痩せた身体・・・その他、全ての悪条件が揃っていて、このままの外飼いは絶対によくないと分かっています。そして、絶対に見殺しにはしたくなかったのです。
友人は「そんな猫ほど飼いたい」と、喜んで引き受けてくれることになりました。3月中旬に里親話がまとまり、年度末年度初め、仕事の繁忙期が終わったら引き取るという約束をしました。マネちゃんご夫妻には事後承諾になりますが、「これ以上外に置いたら危険だ」と私の予感が告げていました。
もし友人が引きとってくれなかったとしたら・・・それでも私はクマちゃんを連れて帰ったと思います。ま、私が主で、友人が従になっただけで、隣同士、結果は今とそんなに変わらなかったでしょうけど(笑)。
クマちゃんを連れて帰ると打ち明けた時、料理長は一瞬絶句しましたが「見てられないということですね・・・クマちゃんのためには家猫になった方がいいと思います」と承諾してくださいました。料理長は寂しかったかもしれませんが、クマちゃんの幸せを最優先に、私の決断を支持してくださいました。マネちゃんも「明るいクマちゃんがいなくなったら寂しくなるけど・・・」と言いながらOKをくれました。その後の体調変化を考えると、ギリギリの全くの正しい決断でした。
クマちゃんをいただいて帰る日、マネちゃんから「クマちゃんはよく喋るし、愛想がいいので退屈しませんよ!」とはなむけの言葉をいただきました。誰もが本当にそう思っていました。しかし、5月1日に家猫になったとたん、クマちゃんはほとんど鳴かなくなりました。少なくとも3ケ月は鳴きませんでした。
4ケ月目に入り、ご飯を食べる量も安定してきて、大量食い、一気食いがなくなりました。クマちゃんはパテが大好き・・・これはたぶん一生続くマネちゃん効果ですね。花月では毎日カリカリにパテを混ぜてもらってたんです。少し声を出して鳴き始めましたが、何故かご飯のことでは鳴かないんです。
毎日、台所まで迎えに来て、ご飯の用意ができたら自分の部屋に一緒に走って帰ります。用意しながら名前を呼べば答えますが、「ほしい、食べたい~」と鳴くことはほとんどありません。可愛い声で鳴くのは、人が帰ってきた時、かまってほしい時、おしっこウンチをしたから片づけての合図?等です。いまだに玄関まで来ることは出来ませんので、ドアの開く音を聞きつけたら、自室で「エッ!、エッ!!」と鳴いています。なかなか可愛いですよ!
クマちゃんの鳴き声・・・可愛い声、高くて透き通る声は花月時代と同じですが、今では喜んでいる時も、甘える時も、小さく「エッ」と鳴くだけです。この変化は・・・「もう愛想を振りまいて、ご機嫌をとる必要がなくなった」からなんだと思います。手を抜いているのか(笑)声を出さない「エアー鳴き」もよく聞くようになりました。
野良猫、大人の成猫は鳴かないと言われています。気をひくための無理をしない、そんな必要がなくなった・・・この変化こそ、クマちゃんが猫らしく元気になった証なのかもしれません。