昔、十和田の和井内さんが家を建てるときのことだと。春早々に建て始めるどって
正月のうちから たくさんの大工たちが 木取りにかかった。
十和田湖のそばに小屋を立てて、そこに泊り込んで仕事をするわけだ。
その年はたいした雪が多くて月に2回大湯から食べ物を 運び上げるのも
容易でねがったど。
2月の頃のことだども、大工仲間が二人で大湯までくだってゆくと、次の日には
野菜や魚を山のように背負って十和田に向かったと。
前の晩に雪が降ったもんだから、道はすっかり埋まってしまっていたものな。
それで、ゆっくりゆっくり雪こいで行った。したば、さあ これから登りだというところで
急に暗くなってきて、雪まで降ってきた。その上道の脇の高いところさ 黒い影が
ひょいひょい飛ぶのがみえたんだと。二人は顔を見合わせると「あれだば狐でねが」
って言い合った。
「んだ!ここで狐にだまされれば、崖から落とされてしまうんでねべが。それだばごめんだ」
それで二人は荷物を下ろすと、中から身欠きにしんを一束出し、それを放り投げてさけんだ。
「狐だち 魚は何ぼでもけるがら(あげるから) 小屋まで連れていってけれ~」
したば、くるくる走り回っていた黒い影が いつの間にか消えて、道の両側に
ぽっかり青い灯が二つ灯ったど。
そし て二人の前を シャンシャンと歩きはじめだでねが。二人は驚いたども、
まずその火のあとをついて歩いていったものな。
ところが、しばらく行ったところでその火が ピタッと消えて真っ暗になってしまった。
二人はまた 顔を見合わせると 身欠きニシンを1束取り出した。そして、「小屋までたのむぞ~」って放り投げた。
すると 青い火がピカっとついてシャンシャンと進む。しばらく行くとまた火が消えて ニシンを投げる。
こんなことを 何度か繰り返すうちに 発荷峠も越えて 危ない下り道も青い火たちは上手に先導してくれたんだと。
それで、ようやっと小屋に着いたときには、二人ともたいした喜んで、荷物の中の
身欠きニシンをたくさん取り出すと、あたりにどんとまいてやった。
したば、狐たちも喜んだのなんのって・・・青い火をつけたまま、小屋の屋根の上の
湖の岸の あっちゃ こっちゃまで、そこら中をはねまわったんだと。
そのきれいだこと きれいだこと。たいしたもんだったそうだ。
して、次の朝おきてみたら 雪の上一面に狐の足跡がいっぱい残っていたんだと。
どっとはらい(おしまい)
鹿角地方に伝わる民話
「雪こいで」の言葉に雪の多さをおぼえました。私たちの所も雪は一年に何度かふりますが根雪にはなりません。
住むところで気象も随分ちがうのですね。
多分 今では 地元の人でも 余り使わなくなっているであろう方言で 民話を語り継ぐ、ブログカテゴリー「昔っこ・民話」は そのまま ふるさと資料館の一部になりますよ。次世代のためにも・・・、
鹿角(かづの)は県北ですから、豪雪地帯です。
私の住むところは、比較的雪は少ないですが、雪寄せ、除雪はたいへんです(^-^;
読んでいただきまして、言葉で雪の多さを感じるなんて
さすが言葉を選んで、書いていらっしゃる方ですね。
読んで頂きうれしく思います。
方言はわかりましたでしょうか。
また、読んでくださいね。
やはり東北ですが、「犬の宮」と「猫の宮」があります。
ペットを祀った社だと思いましたが、歴史的にもいわれのあるものでした。
https://blog.goo.ne.jp/iinna/e/b224a2834790f1dcd86472959db482d5
江の島へは、8日に出掛けたものですが、大干潮でしたから島までの磯を歩いて往復できました。
それは、16日にブログ
そうですね。道案内のおかげで無事に帰れてよかったです。
「犬の宮」と「猫の宮」を見せて頂きました。犬はこちらにも犬っこ祭りがありますが、
猫を祭ったお宮はとても珍しいような気がします。
お知らせありがとうございました。