なんのことはない、
好きにお書きなさい、ということ。
べつに、
緊張でのど詰まらせたり、胸中焦がして目を伏せたり、十本の指並べてじっとその先見つめたり、
ましてや肩越しに映る絶望の顔など、
気にしなくてよいのだと、
前向きな希望に満ちた!
きぶんになりかけたんだが確かに。
うーん、なんだか焦ってる。なぜだ。
要するになんらかの期待と、それを逸する予感が、われをして悶えさせておるのだろうが、
どうにも苦しいね。これは。
はっきりさせた方がいいのかね?理由など。
それとも忘れるべきなのかね。しらんぷりして。
どっちにしても、なんも変わらず。
この苦悩だかなんだかが多少なりとも意味を持つのは、この身体の内のはなしで、
それを問題とするのは、この人格の生存本能やらのみで。
車でぐしゃっとつぶれて終わっちゃう人生がそこここにある以上、
タイシタコトジャナイ。そこにまた憂うべき宿命など、ひとつ見出してはもてあますわけだけど、
まあ、どこぞの健康センターだかで、二才児がしんだね。母親の不注意でね。
それは、無視すべき事柄なのだが、
なぜ新聞に載るかね?
警鐘?それとも、覚悟のススメ?
二日休みだったようだが、もう済んだ。
なにをしたかと思い出せば、ほとんど寝てたな。どうにも体が動かなくてな。
足高く上げて横になってないと、居られない。
体調不良とは違う、妙な感じ。ミオパチーは、こんなかんじ?
あとはそう、新書一冊読んでる。ミクロネシアの、国々現状。ただし20年前の。
マリアナ、パラオ、マーシャル等々。行ってみてもいいかな。海に、入らなくてもいいなら。
今の描写?心の活写?
それがなにを意味するだろう?
‘賢者’は静かに隠遁して、育つ鍾乳石とか、消えた沙漠の湖とか、そういうものに思いすれば相応しいのかもしれない。
皆既日食ともなれば、星座見上げて低く歌うたったりするだろうか。
なんにせよ、それは抹殺に等しい。
なんのためにということだ。
目的と、証拠だ。
目的と、証拠。
恋愛とか、やっぱりできそうにない。
だってみんな、魅力的に見えないもん。
魅力って、なんだ?
橋渡しの、端?カスガイの規格表?
一瞬のにおいなのかもしれない。いや、一連の?
連なるワンフレーズのメロディ。
楽器も弾けないのに、楽譜あさりしてるみたいだ。
衝動。そんなものに期待はしない。
お金を貯めて、チケットを買って、
時間に遅れて、ベンチで一人、夜の匂い嗅いでる。
街路樹に巻きついた、季節外れのイルミネーション。
ぼんやり見上げて。行き交う影。
よっこらせっ。
コートのエリかき寄せて隣に座る。
ささむいっ。いきなり寒い。なぜ冬??
盛大に吐き出す白い息の向こうで、ハナをすする。
そういうイメージなんだろう。実際こんなことがあったような気がする。
ジーンズに、ありあわせのジャケット。かじかんだ手の中に、固い紙片が折り畳まれている。ポケットに、案内状。何度も目を通した跡があり、慎重に隠され、今は邪魔な荷物だ。
ん。
無造作に突き出される手。分厚い毛糸の手袋に包まれて、ますます無遠慮だ。
なに。
見せてよ。チケット。
なんでだよ。もう、
いいから。見たいの。
手首についた飾りが、鼻先をかすめて暴れる。
押し戻して、仕方なく手を開くと、間髪入れずに奪い去る。
こんなに細かく折りたたむ?ふつう。
あきらめて、前歯で手袋を引き抜く。両方とも。
すこし汗ばんだ、小さな手。
んー。