美杉の小さな庭でおきていること ~カフェ葉流乃音のつれづれ~

 町ナカ(大阪府堺市)から
 山ナカ(三重県津市美杉町)に移住した店主夫婦が
 日々のアレコレを写真とともに綴ります

ミヒャエル・エンデ 「モモ」

2020年08月15日 | 本を紹介

 

NHKのTV番組「100分で名著」で「モモ」がとりあげられています。

有名すぎて読む気がしなかった2号ですが

児童文学好きの1号は、もちろん持っているので

この機会に読んでみました!

 

                            <トチの木肌>

このお話は、1973年に書かれ

1976年には翻訳されて、日本で出版されてます。

このことからも、人気がうかがえますね。

また、本の表紙カバーや挿絵も作者の手によるものだそうで

驚きました!とても魅力的です♡

 

                          <フルサトの鉄塔>

“時間”っていったい何だろう・・・

人間は死を知っているからこそ、時間を意識できる・・・

そんなことを思い出しました。

 

カレンダーや時計で、時間は測れるけれど

エンデは「それにはあまり意味がない」といいます。

どう過ごしたかによって、同じ長さの時間でも

永遠に感じたり、一瞬に感じたりするからです。

 

                             <又兵衛桜>

「なぜなら、時間とはすなわち生活だからです。

そして人間の生きる生活は、その人の心の中にあるからです」

時間泥棒である“灰色の男たち”は

そのことをよく知っていたんですねぇ・・・

 

                         <須郷の白モクレン>

この1秒、この1分、もしかしてこの1時間・・・

“つらくてつらくて生きていけない”ということがないなら

その間にできることをしていれば

それで“充分生きた”ということになるのかも・・・

そんなことを考えました。

 

つぎは「はてしない物語」を読んでみようかな・・・

ぶ・ぶ厚い・・・!!

                  はるのん2号

 

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かこさとし「未来のだるまちゃんへ」

2019年07月25日 | 本を紹介

 

 

 

「かこさとし」という名前は、以前から知っていたし

『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』などは

「読んだ」というか、「見た」ことがあります。

でも、「幼児向けの絵本を書く人」という印象以上に

特に気になる作家というわけではありませんでした。

 

気になりだしたのは、2018年5月2日、かこさんが亡くなったあと

テレビで、かこさんのやってきたことを知ってからです。

すごく惜しい人を亡くしたんだと、初めて気づきました。

 

今回、2号が図書館で借りてきて「すごく良かった!」というので

早速、僕も読ませてもらったんですが、これが本当に良かった!

88歳になった、かこさんが

幼なかったころからこれまでの人生を振り返っているのですが

まるで著者自身の遺言なのかと思えるほど、しっかり語り尽してくれています。

2014年の本ですから、亡くなる4年前に出版されているんですね。

 

かこさんは、19歳で終戦を迎えます。

そのとき、大人たちが手のひらを返したように態度を一変させたことで

大人(自分も含めて)は信用できないと考えます。

戦地で死んでいった多くの級友たちのことを思い

生き残った自分がどう生きるかについて真摯に悩みます。

 

本当に悩みぬいたあと

未来を担う子どもたちにしっかり向き合いながら生きてゆこうと決意します。

月曜から土曜まで、残業や付き合いもこなしながらフルタイムで働き

日曜日にボランティアで地域の子どもたちに自作の紙芝居を読み聞かせる。

そんな生活を47歳まで続けたのち、絵本作家として独立しました。

 

「子どもたちがいなければ自分は絵本作家にはなっていなかった」と語るように

かこさんは、子どもたちにまみれ、子どもたちと共に生きたんですね。

眼差しのやさしさと、謙虚さ、丁寧さ、粘り強さ、ユーモアのセンス

そして、ちょっと頑固そうなところも魅力です。

 

600冊もあるという著作ですが

できれば全部読んでみたいな、なんてちょっと考えています。

 

                          はるのん1号

 

 

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「川べのちいさなモグラ紳士」

2019年02月05日 | 本を紹介


作者はフィリパ・ピアス。
ピアスといえば、「トムは真夜中の庭で」が有名ですが、
「川べのちいさなモグラ紳士」は彼女の晩年の作。
なんと、2004年、ピアスが84歳の時に出版されたものです。
(ピアスはその2年後、86歳で亡くなっています)

設定は完全なファンタジーなのですが、
人物造形や感情の動き、自然描写など、
さらりと描かれているのに、内容は実にリアル。
読者を作品世界に引き込む力は、一流だと思います。

ストーリーは、ひょんなことから魔法にかかってしまい、
不死となり、知性を持つことになってしまったモグラと、
生後まもなく母親に捨てられ、祖父母に育てられている少女が
出会い、友情を育て、そして別れてゆくまでを描いたもの。

300年という時の長さを生き抜いてきたモグラですが、
次第に明らかになる彼の唯一の望みというのが、
「当たり前の普通のモグラ」に戻ること。
少女の協力で、最後にその望みは叶うのですが、
それは同時に、二人の友情の終りを意味します。

少女が、モグラとの友情に応えて別れを決断するシーンや、
別れた後の描写には、胸に迫ってくるものがあります。
全体としては、かわいらしいお話なのに、
生きる意味なんてものまで考えさせられてしまうんです。



それで、久しぶりに「トムは真夜中の庭で」を読みたくなって、
葉流乃音の本棚に並べてあるのを引っ張り出してきました。

これまで何度か読んでいるはずなのに、細部などはすっかり忘れていて、
初めて読むような気分で、一気に読んでしまいました。
(歳をとって得だと思うことのひとつが、
 同じ本を何度も新鮮な気持ちで楽しめること!笑)

最後にトムとハティおばあさんが抱き合うシーンがあるのですが、
物語の描写のすべてが、そのシーンに向かってゆく、
その感じがあまりにも見事で、“素敵”としか言いようがありません。
やっぱり名作は、何年経っても名作ですね!

ピアスが「トムは真夜中の庭で」を書いたのは、
1958年、38歳のときです。
同じ年、日本では東京タワーが竣工され、
はるのん1号・2号が生まれました(^^)/


いやぁ~児童文学って、ホントにいいもんですね!
ではまたお会いしましょう。
サヨナラサヨナラサヨナラ

                  はるのん1号


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「兵士ピースフル」

2019年01月26日 | 本を紹介


去年の秋ごろからでしょうか、
はるのん2号と一緒に、せっせと図書館に通うようになりました。

僕は、小さい頃から本が好きで、暇があったら本ばかり読んでたんですけど、
葉流乃音を始めてからは、暇はあるけどお金がないし、
近くにぶらっと立ち寄る本屋もないので、
ちょっと読書からは遠ざかり気味になってたんですね。

でも、常連さんが「最近は図書館ばかり」と話されているのを聞いて、
「そうだ、行ってみよう!」ということになりました。
最近は2週間に一度の図書館通いをとても楽しみにしています。

2号は、いろいろな趣味系統の本を選んでいるようですが、
僕が借りるのは“児童文学”の本ばかり。
昔から「物語」が好きなんです。

児童文学といえば、「ハリー・ポッター」なんかが有名ですが、
児童文学には、売れてなくても、有名じゃなくても、
心に染み込んでくるような作品が、たくさんたくさんあるんですよ。

ただ読み飛ばしているのももったいないので、
出会った素敵な作品を、不定期で紹介していきたいと思います。

でも、僕はストーリーの紹介をするのがとても苦手。
感動した作品ほど、そのすべての描写が愛おしく、
要約なんてとてもできなくなってしまうからです。

そういうわけで、“印象”しか書いていない、
いい加減な本の紹介になりそうですが、
よろしかったらお付き合いください!


さてさて、記念すべき第1回の作品です。

『兵士ピースフル』 マイケル・モーパーゴ 評論社 2007年発行



モーパーゴは、1943年生まれのイギリスの作家で、
現代イギリスを代表する児童文学の作家です。
この作品がちょうど100冊目にあたるそうです(多作ですね)

舞台は第一次世界大戦のヨーロッパ。
ベルギーに侵攻したドイツ軍に対抗するため、
ほんのはずみで兄と共に戦場に行くことに決めた16歳のイギリス人の少年が主人公。

物語は、主人公の少年を通じて語られるのですが、その描写のなんとリアルなこと。
人間の残酷さと温かさ、強さと弱さ、
自分ではどうしようもないことを引き受けながら生きてゆくことの絶望、
そして、あるのかないのかわからないほどの希望。
描写はどこまでもリアルなのに、作者のまなざしはどこまでも優しい。

心に迫る描写に、読み終わった後、しばらく言葉が出てきませんでした。
16歳という年齢で、これほどの命の重みを背負いながら、
この少年はこれからどんなふうに生きてゆくのだろう・・・
読み終えてからそんなことばかり考えています。

20世紀初頭、イギリスの農村で、貧しくとも健やかに生きる人々の姿や、
戦争に振り回され、命の重さと軽さに直面する人々の様子、
(第一次世界大戦でも、毒ガス兵器が使われてたんですよ)
それを知るだけでも一読する価値があります。

さらに、愛とは何か、生きるとは何か、
自分は自分の命と向き合えているのだろうかなんていう事まで考えさせてくれる!

いやぁ、児童文学って、ホントにいいですねぇ!
それじゃあ、またお会いしましょう。
サヨナラサヨナラサヨナラ。

                    はるのん1号


コメント (12)
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