委員長含みの選任は不法。
「瓜田に靴を納れず 李下に冠を正さず」も必要。
報道によれば、 「政府は17日、NHK経営委員会の新しい委員長に富士フイルムホールディングスの古森(こもり)重隆社長(67)を起用する方針を決めた」 とのことである。
富士フィルムHDは傘下に「富士フイルム株式会社」と「富士ゼロックス株式会社」を持つ企業であり、激烈な市場競争を戦っている会社の社長が、微温湯にどっぷりつかっているNHKに、新風を吹き込んでくれる事を期待したい。
ただ、2点気になることがある。
(1)政府は「経営委員長」として起用する方針だが、委員長を決めるのは政府ではない。 放送法第15条で、「経営委員会に委員長一人を置き、委員の互選によつてこれを定める。」と規定されている。 最初から委員長を約束した形で任命するのはおかしい。
ただし、本件は、新しい委員会が始まったときの選挙で、古森氏以外の委員を委員長に選出する手段が残されている。 それだけの気力が他の委員に有るとは思えないが・・・。
(2)放送法第16条で下記のような人は委員に任用できないと規定されている。
(イ)放送用の送信機若しくは放送受信用の受信機の製造業者若しくは販売業者
(ロ)情報の頒布を業とする事業者
確かに富士フィルムHDは、厳密には(イ)にも(ロ)にも該当しないと思う。
しかし、
「富士フイルム株式会社」では、放送・受信機器に使われる重要なデバイスを製造・販売している。
今は医療用では有るが、ネットワークシステムの構築・販売も行っている。
昔から、 「李下に冠を正さず」、「瓜田に靴を納れず」 と言う。
安部総理は、取巻き連中の中から選任したようだが、後で臍を噛まないように念には念を入れたほうが良いと思う。 杞憂であることを祈るのみ。
図は富士フィルム株式会社のホームページから転載(一部加工あり)