あなろぐ

ここは私の巣穴です。自閉症の息子のことや、好きな作品のことなどを書きます。
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発達障害と親の愛情不足について

2012-05-05 21:16:01 | 自閉くんとの暮らし
つい先日、 大阪維新の会 大阪市会議員団が提出した条例案を見て、本当に驚いたんですが、

「伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、
こうした子育ての知恵を学習する機会を
親およびこれから親になる人に提供する。」
なんて書いてあるわけですよ。 

ツイッター上で『五体不満足』の著者として有名な乙武氏が、
大阪市長宛てにリプしてくれたおかげで、
大阪市長からもすぐ反応がきましたが、
そもそもこういう案が公開されるまで誰もチェックしない組織ってマズいでしょう。


発達障害と、親の愛情不足や虐待には、実際には高い相関関係があります。

ただし、それはよく誤解されているのとは逆の因果関係です。
親の愛情が不足するから発達障害が出るのではなく、
発達障害の子は愛され下手で育てにくいから、親が育児のストレスに負けやすいのです。

ふつう、赤ちゃんというのは抱かれ方も上手になっていきます。
でも、発達障害の子は、抱きにくい。
抱くとそりかえるんですよ。
ふつうの赤ちゃんとは明らかに違います。
私の母は天才的に寝かしつけのうまい人でしたが、その母でも駄目でしたね。

「人見知り」も同様です。
人見知りは、「この子は私だけを必要としている」サインと受け取ることができますが、
発達障害の子は人見知りしない子が多いです。
それは自分に愛情を注いでくれる人と、その他の人々を見分ける能力が十分発達していないから。
障害の重い子だと、家族を個別認識することも難しいのです。

保育園に迎えに行っても知らんぷり、母が帰宅してもこっちを見ようともしない、
つまりは可愛げがない子なわけで、こうして
発達障害と愛情不足の間に相関関係が生まれるわけですね。


相関関係があるとき、因果関係を誤って読み取りやすいので、注意が必要だというのはリサーチ・リテラシーの第一歩だと思います。
因果関係は実は逆のこともあるし、「因」は実はまったく別の因子で、相関のある二つはどちらも結果にすぎないことも。

朝ごはんを食べる子に成績のいい子が多い、とかいうのもその類い。
朝ごはんをきちんと食べるような生活習慣を保つ環境では、
総合的に、学習する環境が整いやすいということなので、
必要なのはその総体としての環境であって、朝ごはんだけではないわけです。

東大生のノートを真似すれば誰でも東大に受かるかというと、
そんなことはありえないわけで、(そんなことは常識だと思うけど)
つくづく、政治を志す方々にはもっと学んでほしいものです。

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