ハイナンNETの日常

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苗族アポの椅子

2014-06-28 03:09:34 | 海南島から
(続き)アポの葬式の次の日の朝、またみんなで鍬とバケツを持って、椰子の林のお墓に行った。
お墓に盛り土をするためだ。
30人ほどの親族総出で、鍬で土を掘り、土をバケツに入れて担ぎ、お墓に盛っていった。
すると、アポの妹(彼女も80歳だ)がお墓を見つめながら、「うぅ~うぅ~」と言って泣き出した。
背中をさすったが、ずっと泣いている。家族が鍬を持ったままやって来て、「ばぁちゃん、もう泣くなよ」と言った。
妹アポは、お墓に盛られた土を何度も撫でながら、泣き続けた。
それを、アポの三人娘や、三人孫娘、ひ孫達が静かに見つめていた。

アポは、大家族の皆から愛された、よき姉であり、よき母であり、よき祖母で曾祖母だった。
お葬式に参加してそう実感した。
そしてきっと、よき村人であり、よき農民だったのだろう。
戦時性暴力の被害者になってしまったことは、アポの人生を大きく変えてしまったが、彼女はそれで絶望することなく、みんなから惜しまれて見送られる日まで、前向きに生き抜いた。

それでも、夜になると「鬼が怖いから一人で寝られない」と言っていた。
お墓も、本来なら山の上にある旦那さんのお墓の隣になるはずだったが、アポが「遠くだと鬼がこわいから、お墓も家の近くにして」と遺言したので、家族が暮らす場所から歩いてすぐの場所に作られた。

夜は「鬼」の影に怯え続けながらも、昼間には、いつも笑顔で私達を迎えてくれたアポ。
彼女の存在を忘れたくなくて、この記事を書きました。

M@海南島
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