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イベント報告メモ「暴力―沖縄女性をめぐる構造的な問題としてー」

2023-12-02 11:08:38 | イベント報告メモ
10月にハイナンネットメンバー2人で沖縄女性史家の宮城晴美さんの勉強会に行ってきました。宮城さんのお話のテーマは「暴力―沖縄女性をめぐる構造的な問題としてー」でした。
その際の報告の体をなしてないかもなメモです。
(この項の写真は勉強会のものではなくて、ただ沖縄で撮った写真です)


宮城さんのお話は沖縄戦から始まりました。米軍は1945年3月26日に慶良間諸島、同年4月1日に沖縄本島に上陸。上陸した米軍による沖縄の女性たちへのレイプはすさまじく、米軍兵士はけが人を看護し、食糧を与える一方で場所や時間帯を問わず、沖縄の女性たちをレイプしたそうです。男性の被害者もいたとのこと。

宮城さんは現在進行形の戦争の中でもレイプ被害は依然としてあり、侵攻から3ヵ月余りでのロシア軍のウクライナ人へのレイプは国連報告では124件でしたが、実際にはそんなものではなく、被害は数千件に及び、被害者の年齢は4~87歳との報告がウクライナの人権団体から発表されていることを教えてくれました。

戦時下の性暴力は「武器」であり「戦略」で、女性は男性やコミュニティにおいて所有物として考えられ、自立した存在とはみなされないため、女性をレイプすることは敵の男性集団に自分の所有物を守ることができなかったとの心理的なダメージを与える。また被害に遭った女性たちは被害を非難され、差別を受けることでコミュニティを離れ、それがコミュニティの弱体化に繋がる。



日本の敗戦後の1945年に収容所の多い北部を中心に保護された女性たちがレイプ被害に遭い、翌年の1946年には米兵の子どもの出産が増えだしたとのこと。1人の女性を複数で襲い、加害者が捕まった際に、「自分だけではなくあいつもやった」という感じで芋づる式に加害者が出てきた。「加害者が圧倒的に多い」という宮城さんの言葉が印象に残りました。

レイプの多発予防に1950年末、特飲街が下記に設置された。(一般の女性を守るために性を仕事にせざるをえない女性たちを防波堤にするってほんとによく聞く話で繰り返されてきたけど、ほんとにその効果があったかっていうのはそれこそこれまでの歴史が証明しているよなと・・)
・コザの八重山(今の市民会館付近)
・勝連村の松島(ホワイトビーチ)
・宜野湾村の真栄原(伊波洋一参議院議員が宜野湾市長時代に浄化運動が起こった)
1951年11月には小禄村に「新辻町」設置、1952年12月に那覇市辻に「松乃下」がオープンした。松ノ下オープンの際の式典には米軍や琉球政府の高官がたくさん参列していたそうで、軍や統治している側がコミットしていたことがよくわかった。

米軍の沖縄上陸とともに始まった米軍による性暴力は少なくなったとはいえ、今もずっと続いている。幼い少女や生まれて1年に満たない乳幼児への性暴力の話もあり、加害者の業の深さに震えた。
「沖縄天国、朝鮮地獄」というキャッチフレーズやベトナム帰りの兵士による性犯罪の凶悪化など、米軍兵士が沖縄をどのように捉えているかよくわかるお話もあった。(ベトナム帰りの兵士からの性暴力被害者は圧倒的に中部地区のホステスのひとに集中したとのこと。ホステス経験のある女性は目つきからして恐ろしく、食事を断ったら暴力をふるわれたと話したという。断われないし、ご飯行った後も何があるかわからないと思うと恐怖すぎる・・)

宮城さんは軍隊の構造的な暴力の問題として加害者が圧倒的に海兵隊(マリーン)であることや海兵隊員の犯罪増加の要因について、そもそも海兵隊員が19~25歳までの若年兵を中心に組織されており、訓練で女性蔑視を行うこと(女々しいと侮辱される等)、そういった訓練でストレスを抱えながら市街地にお酒や女性目当てに市街地に出ることをあげていた。
彼らは沖縄に差別的なイメージを持っているし、女性は戦利品の中の一つという価値観を持っているとの話が海兵隊経験者のダクラス・ラミスさんからあったとのこと。
また米軍基地には必ずDV避難のためのシェルターが設置されているとの話も。
 
ベトナム戦争後、米軍は徴兵制から志願制になり、貧困を抱えている、その選択肢を選ぶざるを得ないヒスパニックやアフリカ系、女性たちにとっての徴兵制になっている。
反射的にひとを打つ訓練により、反射的にひとを打つことができる兵士が完成したがその分たくさんの兵士がPTSDを発症するようになった。


米軍犯罪の起訴率の低さには日本側代表が(米軍の事件なら公務以外でも)日本にとっていちじるしく重要と考えられる事案以外、第一次裁判権を行使するつもりはない」と1953年の日米合同委員会裁判権分科委員会非公開議事録で日本側代表が発言しており、法務省が「重要と認められる事件のみ裁判権の行使をする」と全国の地検に通達を出している。これは沖縄女性の性被害が重要な案件ではないと日本政府が考えていたことを表している。
地位協定が憲法の上に存在しているのは日本だけで、米軍が駐留している他の国は自分たちの国の法律で米軍を裁いている。

最後に宮城さんから沖縄内の問題についての話があった。戦前から続く門中という伝統的な家族制度。名乗り頭という風習(名前の一番最初に同じ漢字を使う)や結婚した女性に夫のトートーメを継承するために男児の出産を求めること、その裏表で女性が再婚する際に男児を生んでいる場合は受け入れられないこと、そういった価値観からシングルマザーに冷たい親族・村落共同体であること。長男は拘束され、伝統的な家族制度を内在化した祖母から孫が進学で県外や海外に行くことを反対されたという経験談もいくつか。レイプ被害に遭った女性を恥と考えるのは家族のみならず集落も同様との話も。
これまで沖縄ではコザ騒動や島ぐるみ闘争など沖縄のひとたちによる米軍に対する抵抗があったが、そこで問われたのは女性の人権ではなかった。メディアが被害の深刻さが伝わらない表現をしていたこともその一因とのこと。そういった沖縄の中の構造的な暴力の問題についても考えていかなければいけないというお話でしめられた。



家父長制はいたるところにあるんだけど、沖縄の家父長制は沖縄のオリジナルのものなんだろうか。例えば在日朝鮮社会では朝鮮にもとからある伝統的な家父長制度に日本の植民地主義が煮詰まって、煮詰まってより濃くなり、一番弱い在日の女性たちへの様々な暴力として表れていたのかなと思う。沖縄の家父長制も日本の植民地主義とそのあとのアメリカ統治下、そして現在まで続く日本の植民地主義によって現在進行形で煮込まれて煮詰まっているのではないかな、料理する主体を変えなければずっと煮詰まっていき、煮込む前の原型がなくなって本来のものと全く別のものに姿を変えてしまうのではないかと宮城さんの話を聞いて思った。。
もっと沖縄のことを知らなければと思い、下記の本を図書館で借りてみた。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784272350407
書評を見つけた↓
https://www2.igs.ocha.ac.jp/wp-content/uploads/2016/02/18-Tsuchino.pdf

なかなか難しそうな本だけど、がんばって読みます

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