暑いのに・・。

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ナギサ：「めっちゃ夏やな～。」



なつこ：「うん。夏やわ。」



ナギサ：「あんたな、雪女やろ？　ふつう弱いで。夏は。」



なつこ：「そやねん。暑いから応えるわ。」



ナギサ：「応えるって、それだけやったらめっちゃ普通やん！　雪女やねんから融けるとか、消えるとかするもんとちゃうの？」



なつこ：「う～ん。そうかなぁ？　でも、暑さで脳みそが融けて・・鼻からタラ～っと出てきそうやで。」



ナギサ：「めっちゃおかしいって！　雪女やのに真夏に海でパラソルの下で平気で喋ってんねんで。」



なつこ：「あはははは。それはそうと・・・場面がまたいきなり変わって、見てる人は何が何やら分からんようになってるで。たぶん。」



ナギサ：「そんなん、いつもの事やって。」



なつこ：「・・・ところで・・・こないだお好み焼き食べに行ったんよ。」



ナギサ：「うんうん。」



なつこ：「有名なお店やで。」



ナギサ：「うんうん。」



なつこ：「めっちゃ並んでんねん。　３０人くらい並んでんねん。」



ナギサ：「すごいやんか。　大繁盛や。」



なつこ：「それがさー、店内に収まりきれんと、外にもずらーって並んでんねんで。」



ナギサ：「この景気の悪い時にええやんかー！」



なつこ：「そやけどなー。　思わへん？　真夏の真っ昼間やで。　真夏日とかってニュースで言うてる時やで。　お好み焼き食べる為に外で並んでんねんで。」



ナギサ：「汗ダラダラでなー。えらいこっちゃなー。」



なつこ：「ほんでなー、やっとこさ店に入ったと思ったら、目の前には鉄板やで。テーブルの下はガスでぼうぼう火が燃えてんねんで。」



ナギサ：「まあ、お好みやからなぁ。　焼かんと食べられへんし。」



なつこ：「この、くそ暑い時にやで、外でカンカン照りのトコで待って、また熱気むんむんの店内で待って・・・やっと座ったと思ったら熱い鉄板の前に座って、ふうふう言いながら熱っいお好み焼きやでー。季節は夏やのに、何でそこまでしてお好み焼き食べなイカンの？」




ナギサ：「いや、食べに行ったんはあんたやろ？」



なつこ：「一般論としてやん。」




ナギサ：「さぁ～？　あんたが自分で自分の心に問いかけてみたらええやんか。」



なつこ：「夏はな、暑いからアイスクリームとかカキ氷とか食べるんやろ？　暑いから麦茶飲むんとちゃうの？」



ナギサ：「ビールと合うからちゃう？　熱いお好み焼きとビールって合うやん！」



なつこ：「子供も並んでんねんで。」



ナギサ：「・・・子供は・・・単に食べたかっただけとちゃうの？」



なつこ：「子供が炎天下の中でお好み焼きが食べたいってだけで、待つかな～？」



ナギサ：「食べたないのに並ばんやろ。」



なつこ：「中学生とかでも、長い間並んだ後でな、冷たいビールをグビーっと飲めるわけとちゃうのに並んでんねんで。あんなん、がまん大会やで。」



ナギサ：「中学生は飲まれへんわな。」



なつこ：「並んでる間に熱中症になるかも知れへんで。　あそこのおっちゃん、急に亡くなったらしいでー、　へぇー何で亡くならはったん？　　熱中症らしいわー　あーそうかいなー、こないだから暑かったもんなー　　ちゃうねんちゃうねん、お好み焼き食べるんに炎天下の中で長いこと待っとって死なはったらしいでー、　そうかいなーお好み焼き食べるんも命がけやなー・・・とかなるんやで。」




ナギサ：「ほんまやなー。そう考えたら・・・そこまでして何で並んでたんやろって思うわなー。」



なつこ：「何でかなー？って思うやろ？　知りたくなるやろ？」



ナギサ：「・・うん。まぁ・・・ね。」



なつこ：「食べに行こか！」



ナギサ：「行かへんっちゅうねん！」




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