自分を成長させるには、経験あるのみ。
目の前のアンティーク時計を眺めていると、思わずそんな風に感じます。
製造された時代背景を偲ばせるデザインはもちろんのこと、魅力の所以はその時計の経験値に他ならぬ、と思うのです。
その風格はこれまで辿ってきた道を物語っています。丁寧に時間と心を込めてつくられ、また数十年間、大切に扱われてきたものたち。
個性的な顔を眺めていると、ひとつとして同じモノはない。見惚れてしまうほどべっぴんさんのちっちゃなレディ-ス、ちょっとどんくさそうで、でも愛嬌のあるクロノグラフ。
そんな風にみていると、人間と似ているなあと思います。
“我15にして学を志し、
30にして立つ
40にして惑わず
50にして大命を知る…”
云々なんて先人の言葉がありますが
例えば 人生の節目で大切なものを手にした時の誇らしげな気持ち、
迷ったときに自分を奮い立たせる勇気。
自分の心の在りようが、今の自分、未来の自分をつくる。
そんな時に共にゆく相棒が腕にあることは、
さぞや心強いことだろうと思います。
そしてそんな様々な想いと共に、また次の世代へ。
時計は受け継がれていくものです。
私もまわりをみると、
“60にして耳従う
70にして心の欲するところに従って…”
なんていう魅力的な諸先輩方に囲まれていることを知ります。
脈打つような音をさせて時を刻む機械式時計と、どこまでも。
リズミカルに行きたいものです。いずれ、自身にその魅力が備わるように。
まだ早いかな、と思いつつ、憧れのアンティークを腕に毎日を楽しむのも、素敵です。