林時計鋪

もちろん時計の話を中心にその他諸々を、、、

持ち主たちの思い出と共に時計は歩く

2005-02-15 | ~2010.12.31
今、ウチの長女が付けている時計は、彼女の祖々母が使っていたモノ。彼女が4~5歳の折、ボクにとっての祖母と仏壇の前に並んで座り”まんまんちゃん、あーん”と意味不明な言葉を発して拝んでいたのを思い出す。
ばあちゃんの通夜で、一晩中ロウソクの番をしていた長女。あれから二十年。時計に刻まれたキズは、持ち主たちの思い出でもある。それを消してはイケナイ。
思い出と共に時計は歩く。前の持ち主を思いつつ、自分もキズを付けながら歩く。思い出を加えながら、魂を埋め込みながら、歯車の動きを感じながら歩く。それができるのは機械式の時計しかない。それしか百年は使えない。ロボットではなく、人間が魂を込めて作ったものでなければ。
一九六十年代、東京オリンピック、ヘップバーン・・・そんな時代を思い浮かべての、生意気にもボクのデザイン。そして、使われるのを待って、スイス・ジュラ渓谷に眠っていたスグレた機械。
「サ・エ・ラ」いよいよです。

《ネジまきオヤジ通信vol.2》 NAGI凪 No.18 秋号掲載
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