竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

上関原発建設で中国電力埋め立て工事を強行か

2011年02月20日 | 自然エネルギー
週末に大変なニュースが飛び込んで来た。上関原発建設予定地の田ノ浦で、明日21日に抗議行動をしている人たちを現地から閉め出して、陸上、海上からの工事強行が行なわれると。
明日の現地の模様は、こちらから見ることができる。多分・・。
http://ameblo.jp/nijinokayaker/

上関原発の建設計画は1982年に発表された。いまから29年前である。
1986年のチェルノブイリ原発事故の前、まだ世間の人たちが事故の危険性も放射性廃棄物の問題も詳しく知らなかった頃のことだ。
原発予定地の上関町四代田ノ浦の浜は、本土側からは市街地から遠い半島の先端部になる。しかし、海側の祝島からは4キロしか離れていない眼前の浜となる。田ノ浦の浜は産卵や稚魚を育む海であり、その海域の豊かな海産資源の要でもあった。
生活の大部分を漁業に依存する祝島島民にとってこの浜を失うことは死活問題である。以来29年間、原発建設に反対して来た。

チェルノブイリ事故、福島原発をはじめとする相次ぐ原発の深刻な破損事故、設計ミス、トラブル隠し、もんじゅでの火災事故、東海村での臨界事故、六ヶ所村の再処理工場で繰り返されるトラブル、そして柏崎刈羽原発を襲った想定外地震。この間、原子力発電は国民の誰から見ても、信頼できない技術、安心安全の立場から受け入れることができない施設になった。
一方で、かつて29年前に予測されたような電力需要の伸びは起こらず、むしろ地球温暖化対策のため電力消費は押さえることがトレンドとなっている。中国電力関内では、島根原発3号機の増設をめぐってさえ関内に需要はなく関西電力に電気を売るための施設と指摘されている。いま新たに2基270万kWもの電源を1兆円も投じて作る意味がなく、中国電力にとっても経営を圧迫する過剰設備となるだけである。

近年の調査で、原発予定地の田ノ浦の浜は、世界遺産級の「奇跡の海」であることが判明しつつある。ナガシマツボというこの地にしかいない貝類やスギモクという海藻の原生林、カンムリウミスズメが世界で唯一「周年生息」しているなど、稀少生物、絶滅危惧種のホットスポットだったのである。

29年間原発が建たなかった建設予定地。そこがにわかにざわつきはじめたのは、一昨年山口県知事が、この田ノ浦の埋め立て許可を出してからである。許可から1年目までに着工を、そして3年目までには工事を終えなければならないらしい。でなければ埋め立て許可が取り消されてしまう。
一方で原発予定地の地質調査は不完全だった。そのことを原子力安全・保安院から指摘され、現場はまだ追加調査の最中である。柏崎刈羽原発で想定外地震を引き起こし、島根原発の直下でも見つかっている活断層が上関原発予定地の下にもあることが想定される。
原子炉設置許可が下ろせない可能性もあるのに、意味もなく「奇跡の海」を埋め立てることは許されるのか。それは先頃の生物多様性条約の締約国会議(COP10)の確認事項にも抵触するのではないか?

電力需要の観点から必要性のない原発、耐震安全性の観点から設置が認められないかもしれない原発のために、貴重な「奇跡の海」を埋め立てることは、国家的損失ではないのか。
最低限でも、原子炉設置許可が出せるという判断にいたるまでは、政府=資源エネルギー庁はこの埋め立てを行なわせるべきではない。ところが現地には、資源エネルギー庁の船と職員が張り付き、あたかも中国電力が「ちゃんと真面目に工事を強行するか」を監視しているようだという。
現地での安全の確保は海上保安庁の役目、経産省・資源エネルギー庁は何のためにいるのか。もし埋め立てを煽っているのであれば、由々しき越権行為ではないのか。

「奇跡の海」が踏みにじられることなく、関係者の良心によってきちんと守られることを期待したい。


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