竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

再エネを止めるな!石炭を止めろ! グリーンピープルズパワー公募増資説明会 「石炭火力問題編」について

2020年05月03日 | 自然エネルギー
私が代表取締役を務める小売電気事業者グリーンピープルズパワー(登録番号A0644)では、現在公募増資中。おりしも新型コロナウィルスが世界中で猛威をふるっており、公募環境としては難しい状況だ。そこで、この環境を逆手にとってインターネット上でできることにチャレンジすることにした。まずはZOOM説明会(既にやった。)、そして第2弾はZOOMセッション・説明会。テーマは「再エネと石炭」、気候ネットワークの桃井貴子さんをゲストにお招きする。ぜひ大勢に、ご参加いただきたい。

日時 5月5日(火)14時〜16時
ゲストスピーカー 桃井貴子(気候ネットワーク東京事務所長)

▶︎ご参加希望の方は、【件名:5/5応援フェス 本文:お名前/ご質問、コメントなど】をご入力の上、
https://www.greenpeople.co.jp/information/549/
からお申し込みを。
ZOOMリンクをお送りします。

新型コロナウィルスは日本でも公表感染者が1万4544人、死者数458人となっている(5月2日集約)。アメリカ、スペイン、イタリアなどの感染者は数十万人、死者数万人という数字に比べると少なく見えるが、PCR検査が十分に行われていない現状を踏まえて判断すると、日本の感染者数はゆうに10倍以上と思われる。
医学的専門知識は持ち合わせていないので、詳細な言及は避けるが、PCR検査を絞った結果、市中感染が広がっている。一般病棟に新型コロナとは別の病気で来院あるいは運び込まれた患者が感染者だったり、一般病棟で集団感染が発生したりと、医療崩壊を発生させている。この国の「本当の数字」を隠し、情報操作しようとする政策が裏目に出たように見える。
同じようなことがエネルギー政策でも行われてきた。原子力の能力を過大に評価し、再生可能エネルギーの能力を過小に評価する。もしくは原子力のコストを過小に評価し、再生可能エネルギーのコストを過大にしようとする。その結果として、政策は大きく歪む。新型コロナウィルスのように短期間に綻びは見えないが、数年もたてば、なんと愚かな・・ということが明確に見えるようになる。


1、 電力自由化とグリーンピープルズパワー
グリーンピープルズパワー株式会社は2017年2月に誕生した。2016年の電力小売の全面自由化を受け、小売電気事業にチャレンジする会社だ。そもそも私の人生は電力会社との格闘とも言える。かつて川崎の公害被害者の問題に取り組みはじめて、気づいたのは電力会社が最大の加害者ということだった。火力発電の硫黄酸化物や窒素酸化物が、公害病の原因だった。さらに巨大な200万kWの天然ガス火力建設にあたり、公聴会で説明されたのは「原発のバックアップ」という説明だった。原発が事故で止まったときに備えると。
天然ガス発電は当時、原発とセットだったわけだ。原発は放射能汚染を増やすだけではなく、公害病も拡大させていた。私の軸足は原発の問題に移り、市街地を走り抜ける「核燃料輸送」の問題、1989年の福島第二原発再循環ポンプ事故の追及など、その活動をベースに国会議員秘書にもなった。再生可能エネルギーの推進に取り組みはじめたのはこの頃だ。1995年から3年間はグリーンピースのスタッフとして世界を動き、フランスのラーアーグでは、当時の再処理会社が倒産するよと記者発表した。フランスの記者たちは失笑したが、事実はその通りになった。
原発問題は調べれば調べるほどマイナスしかない。高レベル廃棄物の管理を考えれば、コストは天文学的だ。福島原発事故のような炉心溶融に到れば、国家予算の2倍の損害額になると1960年代から試算されていた。そんな数字に目をつぶり、事故は起きないことにして、原発へと常軌を逸する猛突進が起きていた。なぜそんなことができたのだろう?
打ち出の小槌のような「総括原価方式」、情報は外部に漏らさない「一社独占(地域独占)」、得体の知れない「電気事業連合会」など、電力業界は何重もの城壁に守られてよそ者を近づけない巨大な城のようだった。その城壁の中で、独特な論理、独特なルールがつくられて、誰にも間違いを正すことができない、正そうとする人がいると叩き潰すというシステムが作られたのだろう。それが、まさに福島第一原発事故を産んだ最大の原因だろう。
しかし事故後は城壁が崩れはじめた。また電力自由化に伴って、政府の審議会や国会議論では見えてこない「内部の様子」が城壁の隙間から見えはじめ、ついに中に入ることも可能になった。中には猛獣が放たれているかもしれないし、罠が仕掛けてあるかもしれない。しかし電気の闇を解明するには、いま中に入ることだと考えた。それがグリーンピープルズパワーを設立させた衝動である。


2、 原発と石炭火力の運命
2019年度の日本の電気は80%以上化石燃料だった。大雑把には、天然ガスが40%、石炭が30%、石油が10%(電力調査月報より)。原発は6%。大型ダム水力を含めた再生可能エネルギーは18%。ひとことで言うと、日本の電気は化石だらけ、CO2出し放題だ。
大型ダムを除く再生可能エネルギーは8%に満たないが、これは正確な評価ではない。電力需要の逼迫機には、軒並み抑制されているからだ。風力発電プロジェクトの多くも、環境アセスメント等の手続きで止められ、そもそも送電網への接続が認められていない計画が何百万kWもある。それらに送電網が解放されると、原発の6%も石炭の30%も不要になるのだが、その36%を守るための送電網接続制限かなとも思える。
実は陰に陽に行われている再生可能エネルギーへの政策的妨害工作だが、その中でも結果的に再生可能エネルギーは伸びてきている。FIT制度の中で伸びたのは太陽光発電だけと言われるが、図1のように数字的には政府の2030年目標の6400万kW手前の4870万kWだ。風力発電は2030年目標の1000万kWをほぼ達成する960万kWになっている(資源エネルギー庁「FIT制度の抜本見直しと再生可能エネルギー政策の再構築」2019年4月) 。どちらも図左の2030年目標を10年前倒しで達成可能だ。
風力発電の実力は、単独で日本の電量需要全て賄ってなお余りある(環境省「再生可能エネルギーポテンシャル調査」2010年12月)。景観、野鳥、低周波の問題を考慮して、慎重に設置場所を選んでも、日本の電力需要の半分はカバーできる。太陽光発電については、このポテンシャル調査の時点で想定されていなかったソーラーシェアリング(農業と一体化した太陽光発電)が誕生している。こちらも、農地面積で考えるとソーラーシェアリングだけで日本の電力需要を全て賄える。これらが、いくらでも送電網につなげることになれば、日本の電気はあっという間に再生可能エネルギーに置き換わっていくだろう。原発も石炭も全くなくて良いのである。

図1 日本の2030年エネルギー目標と現状

出典:「FIT制度の抜本見直しと 再生可能エネルギー政策の再構築」(2019年4月22日 資源エネルギー庁)


3、 新型コロナウィルスが教える温暖化対策
4月13日の日経新聞にこんな記事がある。「新型コロナウイルスの感染拡大で航空需要が世界的に激減する中、今年3月の航空機からの二酸化炭素(CO2)排出量は3分の1近く減少した。自動車約600万台分の排出削減に相当する。」と。ニューヨークでは原油先物価格が大暴落し30ドルを切ったと。一時はマイナスになったというニュースもある。原油を売るとお金を払う。余って保管場所がないので、お金を払ってどこかで預かってもらうということか。化石燃料は行き先がなくなりつつある。新型コロナウィルスは、この状況を加速させている。
日本のCO2排出量は2013年度にピークを迎えて以降、減り続けている。2018年度は12億4000万トンで、2013年から12%減だという。この背景には、日本のエネルギー消費の減少という事実がある。景気後退でないとすれば、日本の各企業がちゃんとCO2を減らしているのだ。おそらく2011年の3.11ショックの経験も大きい。それまでは顧客サービスとして省エネは無理としていた各企業が、東日本大震災と福島原発事故を経て、省エネこそが経営に優しく顧客にも評判が良いという貴重な経験をした。省エネは大企業のオフィスビルや工場ではほぼ常識になった。
今回の新型コロナウィルスによるCO2削減への効果はまだ見えていないが、世界中で人の動きが止まり、生産活動が止まり、交通機関が止まっている。これまで、どんなに人類が努力してもできなかったことを、新型コロナウィルスは実現させているのかもしれない。
もちろん、これは過酷な犠牲の上に訪れたものであり、人類が計画的に実現させたものではない。しかし経緯はどうあれ、こうすれば結果が出るという経験を多くの人類が体感しているとも言える。移動を極力抑えるテレワークや、WEB会議に決済、流通もEVなどで非化石化できれば通販の拡大も温暖化防止になる。人口が密集する都市という機能が、実はとても危険で厄介なものであることを新型コロナウィルスは教えてくれている。私たちは今、新たな暮らし方、新たな経済システムへの大転換期を迎えているのではないだろうか。


4、 それでも石炭火力を止めない日本
それなのに、日本のエネルギー政策は2030年に石炭26%を変えない。そして、その政策に応えるように新規立地計画が2000万kW以上ある。ただし、桃井さんたちの石炭火力への反対運動でかなり止めているので、今は少し減っているかもしれない。5月5日に桃井さんに聞いてみよう。
問題は日本の政策は世界の動きを全くと言っていいほど配慮しないということ。新型コロナウィルス対策についても、お隣の韓国や台湾は、この拡大を見事に封じ込めた。ドイツやニュージーランドでも封じ込めに成功している。ところが日本は全くそれに学ばず、PCR検査を絞るという独自なことをやっている。まるで石炭政策、原発政策にも似ている。
世界がやめている原発や石炭をやめない一方で、世界が推進している再エネ推進は、同じようにしている風に見せかけて実はやらない・・これがエネルギー政策。新型コロナウィルスのPCR検査方針に似ていて、何かをしているように見せつつ実はやらない、やらせない。
どうしてそうなるのか。びっくりするかもしれが、私の考えではたぶん政府の力が弱いのが原因だ。原発も石炭も巨大な装置産業。その装置を売ることで毎年数千億円を稼いできた。高速増殖炉や再処理工場やウラン濃縮工場や、いろんな役に立たない無意味なものを作ることで何兆円も稼いできた。親分が東芝や日立、三菱という会社で、そのもとで装置を作る神戸製鋼や荏原製作所や三菱マテリアルなどなど・・。石炭火力でもほぼ構図は同じ。電力会社の総括原価方式が生み出すお金のトリクルダウンをじゃぶじゃぶ呑み込んできた企業群がある。その企業の人たちがみんな悪いわけではないし、悪意を持って取り組んでいるわけではない。しかし自分の仕事に誠実に取り組み成果を出そうとすると、例えば石炭火力を推進することになる。やらないと、不誠実な人として企業から捨てられる。
そんな既成概念の塊が、今も日本の産業界の頭を支配している。海外のことをよく勉強して、これじゃいかんと思っている人も少なくないが、残念ながらまだ主流ではない。うっかりすると企業群から捨てられるので、慎重に言葉を選ぶ。そういう間違った認識の塊が、官僚(政府のお役人)へのロビー活動を展開し、政策を決める審議会を支配し、何でいまどき・・と思うような政策を立案させているのではないか・・と思う。


5、 ゴールデンウィークに再エネを止めるな!
さてタイトルに書いた「再エネを止めるな!石炭を止めろ!」だ。これは2018年以来、電気の需要が下がるゴールデンウィークに太陽光発電を中心とする再エネが運転中止を命じられてきたからである。専門用語では「抑制」と言い、太陽光発電の普及率が高い九州電力が毎年一番激しく「抑制」をしてきた。
電気の供給は送配電網を通じて行われる。送配電網は全国で10のエリアに別れ、今も旧一般電気事業者の送配電部門が、別会社の体裁(法的分離)をとって行っている。送配電の考え方は変わらず、その考えに則して政府の送配電ルールが決められている。安定供給が一番なのでベースロード電源の大規模発電所を優先、つまりは原発と石炭火力中心だ。
九州電力管内には原発が4基もある。全部動くと414万kWだ。九州電力管内の需要は年間のピーク時には1600万kW程度になるが、需要が下がるゴールデンウィークには700万kW程度になる。原発が全部動き、石炭も動き、晴れて太陽光発電がガンガン発電していると700万kWなんて軽く超えてしまう。そうなると送電網の電圧が上がり、周波数が上がり、いろんな需要側設備に影響を与える。最悪の場合、発電機が壊れぬよう原発も石炭火力も自分で止まる。ブラックアウトである。
図2は、2018年10月21日に電力需要750万kWで出力抑制したときの検証結果だが、この段階でも原発4基はフル稼働している。石炭火力は電源Ⅰ・Ⅱのカテゴリーで1基のみ稼働だが、苓北石炭火力140万kW、松浦石炭火力170万kWは「バイオマス混焼」であり電源Ⅲに該当する。129.7万kWの大半はそれであろう。

図2 九州電力における出力抑制

出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO)「九州本土における再生可能エネルギー発電設備の 出力抑制の検証結果〜2018年10月21日抑制分 九州電力〜」(2018年7月)より

ブラックアウトにならないように、揚水発電所で電気を使ったり、隣の中国電力に余った電気を流したり、天然ガス火力を止めたりする。それでも間に合わないので、太陽光発電を止めるというわけだ。もうおわかりと思うが、最初から原発と石炭を止めておけば、どうということはない。石炭火力も九州電力管内には346万kWもある。今年は川内原発の1基(89万kW)が安全対策工事の理由で止まっているが、焼け石に水程度だ。
「抑制」も巧妙になり、オンライン制御になったので、マスコミ等では騒がれない。九州電力の制御情報では、5月3日と4日は「抑制」という情報が書かれている。四国電力、中国電力、東北電力でも、「抑制」というアナウンスが行われている。本末転倒の再エネ要請をやめて、石炭を止めろ!原発を止めろ!ということである。

再録しよう
日時 5月5日(火)14時〜16時
ゲストスピーカー 桃井貴子(気候ネットワーク東京事務所長)

▶︎ご参加希望の方は、【件名:5/5応援フェス 本文:お名前/ご質問、コメントなど】をご入力の上、info@greenpeople.co.jp までお申し込みを。
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