竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

エネルギー基本計画・真の3E+Sを考えてみよう

2018年06月11日 | 自然エネルギー
6月8日の原子力市民委員会緊急セミナーにおいでいただいた皆さん、ありがとうございました。
次は6月12日(火)、eシフト主催の緊急パブコメセミナーです。(もう明日!)

日時:2018年6月12日(火)18:00~19:30(開場17:30)
会場:衆議院第二議員会館多目的ホール
参加費:無料
主催:eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)

そして肝心のパブコメ情報はこちら
経産省資源エネルギー庁
第5次エネルギー基本計画へのご意見(パブリックコメント)募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620218009&Mode=0

6月8日に私が発表した「真の3E+Sを考えてみよう」と「再生可能エネルギー賦課金は本当に国民負担なのか」は、概ね好評だったようです。
この二つは、私の考えを押し付けるということではなく、考えるための手法を提示したものです。

その一つ、「真の3E+S」について、今日は図入りで説明します。
「再エネ賦課金」の件は明日にでも・・。

真の3E+Sとは

「真の3E+S」について、そのマトリックスを冒頭の画像にいたしました。
見てのように、3E+Sの4つの項目で、5つの電源についてマルバツ評価をしてみたものです。
私の作った表では、再エネは全部マル、原発は全部バツとなっています。
最初の反応は、脱原発派なら、そりゃ当たり前だよ・・でしょう。
地球温暖化懐疑派は、そんなに再エネがマルじゃないだろう・・かな。
原発推進派は、いやいや、この表は竹村さんが作ったからですよ。
主観に過ぎないですよ・・と言ったとこでしょうか。
私たちは、もっと科学的に分析しますから・・とか。

さて、私はえいやっとマルバツをつけたわけではありません。
3E+Sがまだ耳慣れていないかもしれませんので、ちょっと解説します。
三つのEは、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)、そしてSは、安全性(Safety)を指します。第5次エネルギー基本計画の基本原則は、この「3E+S」だそうです。
「3E+S」が最初に登場したのは、4年前の第4次エネルギー基本計画です。その基本原則に基づいて2年後の長期エネルギー需給見通しが作られ、どこにでも出てくる「エネルギーミックス」が生まれました。
2030年に、原子力20〜22%、再エネ22〜24%、天然ガス27%、石炭26%というアレです。
第5次エネルギー基本計画でも、この骨格は維持するとされています。

さてマトリクスに戻って、私がこの表をどのように作ったか解説しましょう。
安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)、そして安全性(Safety)それぞれについて5つの判断指標を設定してみたのです。
4つの大項目に対して5つの項目なので、20項目になります。
電源は5つですので、ちょうど5段階評価をすると1から5に差別化できます。
絶対評価ではなく、相対評価の成績表なので、ほとんど同じでもその差が「1」はつくことになります。
また逆に、100倍くらい絶対評価では違うけど、その差が「1」しかつかないということもあります。
したがって、絶対評価ではないということに注意してください。
でも相対評価としては、ほぼ正確に、5つの電源の優劣が出てきます。

それを下に二つの表として示します。

真の3E+Sのマトリクス






最初の表のEの1をみてください。
地球温暖化という項目です。成績表なので5が一番で1がビリです。
人間には、こういう相対評価はしても意味ないですが、環境や経済など人類がどう向き合っていくべきかという方針を決めるときには、消去法の相対評価は意味があると思います。点数の高いものが、人類にとって良いものなのです。
地球温暖化という観点では、再エネが1番、原子力が2番になりました石炭がビリです。
おおむねは、原発推進はの方も異論はないのではと思います。

次の項目は大気汚染です。
これも地球温暖化とほぼ同じ順位になりました。

次の水質汚染は違います。
原発は運転中ずっとトリチウムという放射性物質を排水から流しています。
使用済み核燃料再処理も原発の範疇ですから、これは1年間に原発の1000基分を出します。
今度の福島原発事故では、大量のトリチウムが汚水タンクの中に溜まっていて、これを原子力規制委員会が薄めて海に捨てろと言い、東電の方がさすがにそれは・・と抵抗していたりします。
トリチウムは三重水素で、水素と基本は挙動が同じなのです。トリチウム水ができて、人間の体の中に取り込まれると、ただの水素と間違って、いろいろなところに取り込まれることになります。
薄めれば基準値はクリアできますが、絶対量が違います。
それを取り込む魚や海藻の量も違ってきますよね。
そんなわけで、私は原子力を最下位にしました。
石油はときどきタンカー事故で広範囲の海洋汚染を引き起こしていますので4番にしました。
資源採掘時汚染も廃棄物処理場周辺汚染も原子力が最下位になりました。
原子力はまだ廃棄物処理場はほとんどできてないので、どうして評価できるかという問いもあるかもしれませんが、そもそもその懸念で廃棄物処理場ができないわけなので、作れないほど汚いということかと。

こうして各電源について相対評価をし、その点数を合計してk「環境」の項目の総合評価をしました。
この場合、最低点数は5、最高点数は25となります。
点数が高いほど良い成績ということです。
その結果、再エネ25、天然ガス18、石油12、原子力11、石炭9となりました。
石炭が原子力より成績が悪いのには驚きましたが・・。

次はEの2です。
経済です。これは原子力が高いぞと原発推進派の皆さんが思っているところです。
項目は、燃料費、運転経費、建設費、廃棄物処理費、保険金額の5つとしました。
原子力は燃料費が4(2番目)である以外、みんな1になりました。ビリです。
再エネは建設費が4である以外は、みんな5(1番)になりました。
燃料費はタダ(無料)、運転経費は太陽光なんて放っておいても発電してますので・・。
建設費は石炭を一番安いと見ていますが、もしかしたら違うかもしれません。
燃料費も最近は天然ガスが石炭よりやすいらしいので、このあ辺りは動くかもしれません。
皆さんから情報をいただいて、修正することはやぶさかではありません。
でも原子力の運転経費、建設費、廃棄物処理日、保険金額が一番高いことは、ほぼ異論は出ないと思います。
原子力の保険金額は、現在でも1200億円です。
他の電源に比べてダントツですが、福島原発の事故を踏まえたら、このくらいではすまないはずです。
現在、政府が公表している損害額(賠償金や事故処理費など)で22兆円を超えているのですから。
経済では原子力はダントツのビリでした。

次はEの3で安定性です。
安定性とはエネルギー供給の安定性という意味です。
大きな発電所は、何事もなければ、大量に安定して電気を送電線に流せます。
それが平常時出力安定性で、いちおう原子力を5(1番)にしてあげました。
でも大きいやつは事故時の変動は大きいのです。
事故時停電発生リスクです。原子力は、現に東電の計画停電などを引き起こしました。
福島から遠く離れた東京で大混乱を生ぜしめたのです。
これは1(ビリ)でしょう。
燃料調達リスクは、まさに地政学的リスクです。化石燃料は軒並みダメです。
原子力は4(2番)にしました。再エネは燃料が底にあるので調達リスクはありませんので5(1番)です。
運転管理リスクは災害への強度とだぶるかもしれません。
災害は台風などの小さな?ものではなく大震災のようなものを想定したので。
その中で、いろいろな条件をクリアしなければならない、その条件の多さでは原発が一番だろうと考えました。
点検項目の多さです。
この安定性でも原発は4位に沈みました。
再エネはかろうじて1位でした。

最後のS、安全性はいうまでもないですね。
いろいろな場面での環境影響を評価しました。
原発はとびきりの最下位で、再エネは満点のトップになりました。

3E+Sの4つの項目を合計して総合評価をすると、
点数では再エネ95点、天然ガスと石油が同率の58点、石炭が53点、原子力が36点となりました。
3E+Sの全ての項目で、再エネはトップですので、これからの日本のエネルギーが何であるかは、もはや明らかだろうと思います。

以上、今日はここまでです。
















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