竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

2023年「ソーラーツリー」物語

2023年04月20日 | 自然エネルギー
この4月15日、16日の土日、渋谷の代々木公園で開催されたアースデイ東京2023の中で、「ソーラーツリー」を組み立てました。私が理事長を務める市民電力連絡会による企画として実施したものですが、市民電力連絡会を超えて広くいろんな皆さんにご協力いただいて実現しました。

ソーラーツリー構想の発案と実行

「ソーラーツリー」は、昨年のアースデイ実行委員会で、委員会メンバー同士のブレイクアウトルームのディスカッションで生まれたアイデアです。私の発案ではなく、ブレイクアウトルームに参加していた誰かの「何気ない一言」でした。気候危機の解決策が再生可能エネルギー(再エネ)であることは明確、だけど日本の若者はあまり再エネ事業に向かっていない気がする。どうしたら関心を持ってもらえるだろうという私の問いへの答えの一つでした。「ソーラーツリー 」の響きが、私の脳にビビッと突き刺さったのです。
ただアースデイ2022までには時間がなく、とうてい製作は無理だと思いました。それで、アースデイ2023では実現するぞと、そのとき決意したのでした。アースデイ2023の実行委員会は2022年の秋頃はじまったでしょうか?ただ、実際にソーラーツリーで出店するということは言い出しかねて、実行委員会の議論に参加していました。実際にやろうと決断したのは2023年の1月に入ってからです。
それというのも私の本業の小売電気事業(新電力事業)が、2022年の1年間は本当に苦難の年で、言ってみれば会社の立て直しのために全く余力なしという状態だったからです。詳しい話は別の回のブログを読んでいただくとして、電気の仕入れ価格にあたる「市場価格」の高騰に苦しめられていたのです。お客様に価格転嫁すれば、会社は助かるのですが、そうするとお客様が離れてしまいます。こうして2022年中に100社を超える新電力が倒産、廃業、小売停止に追い込まれました。私の会社グリーンピープルズパワーはかろうじて、この危機を乗り切ったところでした。
そしてお客様に価格転嫁する「市場価格連動メニュー」に、2023年1月分から変更させていただいたのです。会社の財務状況は劇的に改善しました。正確にいうと12月段階で、改善することが予測できたのです。それで1月の決断となりました。

法政大学の島田先生登場

本番は4月なので、実質3ヶ月しかありません。まずは「ソーラーツリー」の概略設計(ポンチ絵)みたいなものを作りました。まずは市民電力内部で、メンバーの理解を得なければなりません。まずは慎重にポンチ絵を示し、予算は10万円程度と提案したと思います。(あとで30万円になります。)
連絡会の中では二人の強力な賛同者が現れ、おかげさまで実施に向けて動き出しました。貧乏NPOですから、費用はクラウドファンディングで集めるとしました。ただし、私の原案には強烈な注文がつきました。アースデイ当日はいつも強風で、テントが倒れそうなほどだったりするので、強い風でも絶対に人を傷つけない設計であることというのです。
そこでもう少し設計に詳しい人はいないかと考え、法政大学の島田先生に連絡しました。八王子市のめじろ台町内会館に手作りでソーラーシェアリング発電所を作られており、そのときにパネルや蓄電池の調達で協力していたからです。企画の内容を伝えると、驚くほど積極的に「できますよ!」との返事。安全なソーラーツリーは作れるという太鼓判をいただいたのです。そして島田先生が設計を引き受けられたのです。作られた設計と模型の写真を添付します。設計図には一部に写真が入っており、既に試作までされていたのです。
模型はご覧のように「傘型」。このときに、冒頭写真の「ソーラーツリー」の形が決まったわけです。柱と枝は細い木製で、土台は大きな立方形。この中に水を入れたポリタンクを並べ、この時点では8個160kgのオモリとする方針でした。(あとで5個100kgに変更。)
木製の枝につける太陽光発電パネルは、人を傷つけないよう「フレキシブルパネル」とすることも決まりました。そして、設計だけでなく、部材発注から部材作成まで、全て島田先生がやってくださるということになりました。本当は「島田式ソーラーツリー」と命名しなければいけないのではないかと思います。


クラウドファンディングを担当「BENIRINGO」

ソーラーツリー の製作費用はクラウドファンディングで集めるということにしていました。しかし、市民電力連絡会は70歳前後のおじさんおばさんの集団で、SNSはこよなく苦手です。クラウドファンディングを立ち上げ、宣伝し、お金を集めるのは無理じゃないか・・と考えて、SNSに手慣れている20代の二人が立ち上げているBENIRINGOという茅ヶ崎のフリーペーパーのチームに相談しました。二人も面白がってくれて、クラウドファンディング担当を引き受けてくれました。

BENIRINGOのページ
https://beniringo.com

BENIRINGOは、クラウドファンディングのサイト選定から申し込み、募集ページづくり、そのページの更新などを担いました。毎週のように市民電力連絡会メンバーとの会議も開き、返礼品の考案、それらをサイト会社のスタッフと調整するなどの細かなツメを全てやってもらいました。
サイトはキャンプファイアーというクラウドファンディングサイトの中の社会派サイトと言われる「Good Morning」になりました。目標額は材料費の実費22万円に広報費や運搬などを含め30万円としました。また、本番は4月15日・16日なのですが、クラウドファンディングの立ち上げが3月中ばと遅れたため、45日間の募集期間を生かすことにして、最終締め切りは4月30日としました。つまり、今まだ募集中です!
一番難しかったのが返礼品の設定で、とくに1000円のご協力への返礼です。私は「当日ソーラーツリの組み立てに参加できる権利」としたのですが、全く人気がありませんでした。募集20人に対して2人で、その2人もうちわなので実質ゼロ。もう一つの1000円への返礼が「お礼のメッセージ」で、こちらは20人に対して9人でした。
今さらですが、1000円はお金持ちではない若者を想定したものなので、カード1枚でも良いので「支援したことが残る何か」が必要だったのではないかと議論しています。断捨離でものを持ちたがらない70代と、これからの人生にいろいろな記念と記憶を残したい20代は違うのだということです。
他の返礼品は市民電力連絡会の市民発電所台帳と市民電力ゼミナールの連続受講券、そして再エネ発電所へのツアー参加です。ゼミナールには12人の申し込みがあり広報的には成功かと。ツアーへの参加も募集10人に対して6人の申し込みが来ています。
返礼品として大口を狙ったのが、ソーラーツリーの出前です。1回3万円でしたが、途中に希望が来て、2回4万円、3回5万円を追加しました。3回利用の希望者があったからです。
クラウドファンディングはまだ募集中です。4月半ばからあと3万円で止まっています。4月30日まであと10日なので、このブログを読んでくださった方で、一気に達成とできれば嬉しいです。

クラウドファンディングページ
https://camp-fire.jp/projects/view/660795#

たくさんの人の手で実現したプロジェクト

島田先生、BENIRINOの他にも重要な協力者がいます。クラウドファンディングページのイラストを描いてくれた「いしかわけん」さん。ずっと昔から時々イラストをお願いしていたのですが、今回誰も見たことがない「ソーラーツリー」を見せるためにイラストを描いていただきました。島田先生の模型をもとに描いてもらったのですが、見事にイメージを作り上げてくれました。一番下のパネルは、島田先生の設計では実は縦型だったのですが、いしかわさんのイラストで横になりました。その方が納まりが良いので、実物も横になりました。
もう1人、なくてはならなかった人が佐野さんです。市民電力連絡会のメンバーではあるのですが、制作中の島田先生のアトリエに何度も行って手伝っていただき、本番では、前日、1日目、最終日と三日間にわたって運搬をになっていただきました。大変な力仕事だったと思います。しかし、手際が良くテキパキと片付けていく姿が印象的でした。
写真は島田先生のアトリエで仮組立中の私と佐野さんです。その他にもまだまだ人はいますが、書ききれません。



アースデイ本番の1日目、大雨の中組み立て

さていよいよアースデイ東京2023の当日です。4月15日(土)は朝から土砂降りの雨でした。佐野さんは朝7時30分に車で資材搬入。私と市民電力連絡会の髙橋さんが、その時間に駆けつけました。会場が開くのは10時ですが、9時には関係者が集まってきました。私と髙橋さんは、その頃までにオモリのポリタンクへの水入れを済ませました。
島田先生も到着し、雨の中組み立てを開始しました。私が用意したヤッケは防水性が弱かったようで雨の中で組み立ていたら、2時間程度で下着までびっしょりになってきました。おかげで今は風邪をひいています。雨対策がぬかったなと反省。この日は、ひたすら組立でしたが、周りのブースを訪問する余裕はこの日の方がありました。
まずは大きな土台を置いて位置決め、柱を立てます。4本の柱は設計時点では細い木でしたが、強度を考えてある程度太い柱になりました。本当は組立順に写真を見せたいですが、写真が多くなりすぎるので諦めます。柱を立てたら、周りにオモリのポリタンク、そして丸い天板を取り付けます。その上に三角形の枝を乗せます。三角形の頂点が蝶番(ちょうつがい)で接続されていて、2人で支えて乗せていきます。枝は2枚でセットになっており、それが二つあります。枝を乗せ終わるとそこにフレキシブルパネルを取り付けていきます。
枝に留め金をつけてあるので、フレキシブルパネルは比較的簡単に取り付け完了で、あとはそれぞれをつなぐ配線でした。これが難航し、15日中には配線が終了できませんでした。用意したバッテリー(ポータブル蓄電池)は500Whで、フレキシブルパネルの容量は1枚100Wで、8枚で800Wです。雨の日は平気ですが、晴れると1時間に500W以上の電気が蓄電池に流れ、充電できないだけでなく蓄電池を壊してしまうかもしれません。そこで2枚ずつ、4並列で電気を蓄電池に入れる予定でした。それがうまくいかず、配線担当の島田先生には16日にも来ていただくことになりました。
この日にはBENIRINGOの2人も来てくれて、まずはソーラーツリー の組立後、雨の中で記念撮影しました。



アースデイ2日目、快晴に恵まれるも途中で雷雨

4月16日(日)は朝から素晴らしい快晴でした。この日の課題は組み立てではなく、発電を始めたソーラーツリー の電気を使ってZOOM配信をすること。午前中に「GPP(グリーンピープルズパワー)の話」、午後には「ペロブスカイト発電パネルの話」を予定していました。ほとんど準備するまもなく、ぶっつけ本番に近い形で「タケちゃんトーク」でつないでいくというものです。したがってこの日は、全く余裕がありませんでした。いろんな方がブース訪問してくださったのに、ゆっくりお話しする間も無く、もったいないことしたなあと思います。
しかも、ソーラーツリーの配線は昨日から完成していません。ソーラーツリー のバッテリーではなく、スペアとして用意したGPP所有のバッテリーを使って放送開始しました。400Whの蓄電池でしたが、朝10時から夕方の5時までパソコンつけっぱなしで問題なく、まだ2割の電気を残していました。写真はブースの中から配信中の竹村です。



しかしこの後、会場は激しい雷雨に見舞われます。雹も降りました。好天気の中で集まったたくさんのお客さんが木の下やブーステントの中に逃げ込んで、大混乱となりました。天気には振り回された2日間だったかと思います。

関心は大きく、「売って」という依頼も

最後に当日の反響もお届けしましょう。一番反応が大きかったのはフレキシブルパネルです。太陽光発電と言うと、アルミ枠のガッチリしたものをイメージされるのが普通ですが、フレキシブルパネルは厚さ1ミリ〜2ミリ、軽くてもちろん1人で持てます。通販サイトで売っていて、使ったものは1枚100Wで10900円でした。こんな薄い太陽光パネルがあるのか、これなら自分でも使えそう・・と言う反応と感じました。
DIYではなく、どこかで売っている製品と思われた方もあり、自分家の屋上に設置したいのでいくらで買えるのか?という質問も。また普通に屋根に設置するのに、このフレキシブルパネルでやりたいと言う相談も。価格的には割高になるので、屋根設置なら従来型のパネルのほうが適しているのですが、フレキシブルパネルの軽さに感動したと言うことかもしれません。
フレキシブルパネルは軽いので、実は容易に風で飛ぶと言うことでもあります。曲がるので隙間もできやすく、ある一点で風が入ると、全体が持って行かれると言う心配もあります。つまり絶対に飛ばないような設置方法が考えられないといけないと思います。
ソーラーツリー では片側を枝木につけた金具で挟み込み、もう片側は動かないように枝木にカラビナで留める方式です。壁とか屋上であれば、両側から金具で挟み込むと言う方式もありうるかと思います。こんなことは今まで考えたこともなかったのですが、新しい太陽光発電の使い方が誕生するかもしれません。
この他にも、熱心に見ていく人、そっと触ってみる子供さんとか、本当に多くの人に関心を持ってもらえたのではないかと思います。意外に学校とかで、子供たちへのエネルギー授業にも使えるかもしれません。実りの多い2日間だったと思います。
ただ雹の降る中、島田先生がパネルとバッテリーの接続作業をしてくださったのですが、遂に期間中にバッテリーとの接続がうまくいきませんでした。次の実演となる、川崎市高津区溝ノ口のペデストリアンでの「川崎公害フェス」までには、完成さえたいと思います。
その完成のためにも、30万円目標のクラウドファンディング、あと3万円を達成させてください。1000円で30人の方の応援が欲しいです。どうぞよろしく!





最新の画像もっと見る

コメントを投稿