竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

2014年を振り返って・・

2014年12月31日 | 自然エネルギー
いよいよ2014年も、あと数時間で暮れようとしている。
今年もあっという間だったような・・、いろいろあって長かったような・・。
でもひとことで、なんだかたくさんお酒を飲んだような・・それだけ多くの人と交わり話し、新しいものが生まれてきた年だったと思う。

頭の写真は、クリスマスイブの晩に、緑茶会(脱原発政治連盟)の望年振り返り会で飲んだお酒。
左は「マッサン」でおなじみの広島県竹原のお酒。でも竹鶴酒造じゃなくて中尾酒造場の「誠鏡」というお酒。この竹原には、もう一つ藤井酒造というのがあって「龍勢ー夜の帝王」というのがあるらしい。どれも東京ではめったに手に入らない。
この小さな町に、3つも酒蔵があり、しっかりと伝統の製法を守ってきている(経営的にも)ということは、それだけでもすごいことだし、すごい文化であると思う。

「誠鏡ー番外純米七捨」は、熟成酒のようで琥珀色をして少しとろっとしていた。基本的に「誠鏡」は辛口のはずだが、まろやかで、アルコールという感じがしない。おそらく一升でも飲めてしまう酒だろう。

もう一つは「竹鶴」がなかったので、代わりに買った「米鶴」。米澤の酒だ。
もう米澤というだけで、おいしいに決まっている・・という響きだ。
「亀の尾」や「亀粋」などの銘酒を世に送り出している「米鶴酒造」の酒。
こちらはすっきりと澄み渡り、そしてこちらも実にまろやかだった。

「緑茶会」では、このお酒を睨みつつ(飲んだのは会議が終わってから・・)、衆議院総選挙の振り返りと(来年の)統一地方選挙への取り組みについて話し合った。
「イブ」だというのに、スカイプ参加を含めて9名も結集。まあ、小さな子どもとかいなければ、クリスマスはこんなもんだよねえ・・と。

緑茶会と統一地方選

総選挙については、まあ、このブログ読者のみなさんはお察しだと思うが、世間一般の落胆具合に比べて、緑茶関係者はあまり落ち込んでいない。22人の実質推薦候補のうち14名が当選。勝率6割以上!だ。
これを大々的に宣伝しようというと、候補者の力であって、緑茶会が何か力になったわけでもなく・・「誇大宣伝」といわれるからやめとこうよ・・という殊勝な意見。
この奥ゆかしさが、緑茶の良いところでもあり、躍進を阻んでいるところかも知れない。
少なくとも、あべとも子さんの、あと700票差で小選挙区当選には(クマが)貢献したと思う。
クマが、もう1日入っていたら、この700票差逆転していたに違いなく、うーむ残念。

「戦略的投票」は、少なくともこの言葉が多くの人の知るところとなった。
SASPLの素晴らしい映像メッセージが(緑茶会とは関係なく)勝手にできたりして、こういう広がりがじつは望んでいたこと。
北海道や東北(あと、沖縄!)では、政党側による「戦略的投票」が事実上かなり実現していて、今回民主党が10人以上議席を伸ばし、維新の党がギリギリの議席数で踏みとどまった背景には、この戦略があることは間違いない。
ただ、有権者側にとまどいがあり、結果的に「投票先」を失ったと感じた有権者も少なくなかったのかも知れない。
小選挙区で選択肢がなければ、比例票も入れない(棄権したら入れられない)から、本来入るべき比例票が棄権にまわった可能性もある。
それが顕著?に現れたのが関西の民主党で、比例票では維新の党の半分くらいしか得票できなかった。明らかに全国的な傾向と違っていて、小選挙区候補の多くが維新の党に絞られた結果と思われる。
自民党の比例票が伸びたのも、もしかすると同じ原因かも。
有権者側に、小選挙区はA党、比例区はB党で良いんだよということを、うまく伝える必要があるのかも知れない。

さて、統一地方選ではどうか。
今度は「戦略的投票」とばかりは言えない。
衆議院選挙で小選挙区を勝ち抜くカギは、その選挙区内にいる地方議員の数だ。
合算して過半数を得るようなら圧勝間違いないし、比較優勢でも勝機がある。
つまり、地方議員を「戦略的」に絞り込むのはマイナスなのだ。

かといってA候補が2200票取っていて、2000票が当選ラインなのに、まったく同じ主張のB候補を出すと、多くの場合は二人とも落選してしまう。
A候補が4000票を超えるほど票を取っているのなら、この戦略はあり得る。
そのためには地方選挙は、名簿をしっかりとつくり、きちんと票読みをすることが必要なのだ。
「市民派」で、そういうことがきっちりやれているのは生活者ネットくらいじゃないかと思う。
だからネットは強い!

さて緑茶会は「脱原発!」の政治団体なので言い難いが、地方選挙で「脱原発!」と「エネルギー」だけでは、たいてい当選できない。
福祉や教育、雇用の確保も含めた生活に密着した話題が語れなければ、有権者に耳を傾けてもらえない。
「エネルギー」は、遠くの発電所の話しではなくて、毎日使う電気の安全性や料金の話であることを伝えないと振り向いてもらえない。
そういう意味では、電力自由化や発送電分離など、暮らしに直結する電気の世界で何が起こっているのか、今は興味を持ってもらいやすい時期とも言える。

暮らしのあり方を変える「市民電力」

私が2014年にはじめた(うーむ、おっかぶさってきたというべきか)仕事が、市民電力連絡会だ。
単純に「市民の造る発電所」と言えば、10kWとか20kWの太陽光発電所を市民が資金を四苦八苦して集めて造るというイメージだろう。たぶん採算もぎりぎり。ほとんどはボランタリーな労働奉仕によって成り立つ・・。
これでは、電気の仕組みを変えられないし、社会も、暮らしのあり方も変えられない。

この現状をなんとか突破したいというのが、市民電力連絡会設立の原点だ。
今、東京では、あの町この町で「市民電力」が生まれている。でも、そのほとんどが、上記のような状態。

一つは「設置場所」で、東京には相当数の日の当たる屋根があるのだが、太陽光発電事業のために貸しましょうというのは希少価値だ。
飯田市などの先進事例もあるが、まず自治体が公共施設の屋根を貸さない。自治体が動かないと、民間はやっぱり動かない。そういう意味では、ボランタリーではなく、仕事になるような作業が生まれるほどの規模にならない。
都内でも、調布市とか多摩市とか、じつは事業を実現するような事例も生まれているが、どちらも自治体の応援がある。
自治体の公共施設、十ヶ所以上、数十ヶ所・・という提供がある。

次の課題は「資金」だ。10kW、20kWなら数百万円だが、100kW、200kWになると数千万円、もっと大きくなると億単位になる。事業と呼べるのは「億単位」からだ。
読者のみなさんには信じられないかも知れないが、金融機関の多くはこの事業にお金を貸さない。
固定価格買取制度があって、20年間保証で、10数年目で間違いなくコスト回収ができるのに・・・。
そこで、いろいろな市民金融の方法が生まれている。
そもそも市民は大っぴらには事業のためのお金を集められない。金融商品取引法というのがあって、金利をつけてお金を借りる行為は金融機関しかできないことになっているからだ。

ではどうするのか。
いちばん正攻法は「金商品取引業二種業者」(以下「二種業者」)の資格を取って、どうどうとお金を集める。
自分が資格を取らない場合には、「二種業者」に募集行為を委託し、お金を集めてもらう。資金は二種業者から事業者側への出資となる。
ただし、この場合は「二種業者」としての採算確保があるので、規模が大きくないとできない。私は常々、最低2億円と言っている。これはメガソーラーまでは行かないが、700kWから800kWの設備規模が必要。第一の課題の「設置場所」が大量に見つからなければ難しいのだ。

いちばん多く使われているのが「疑似私募債」。
設置場所が見つかるたんびに太陽光発電を着けて行くので、1回では10kWとかせいぜい30kW。
必要な資金は1000万円を超えることはない。「疑似私募債」は債権のような名前に聞こえるがじつは債権でなく、個人的なお金の貸し借りだ。知人からお金を借りるということだ。
「私募債」は法的にも株式会社などが発行できる債権で合法だが、49人以下と定められている。
「疑似私募債」は任意団体やNPO法人が呼びかけたりするもので、法律に定めがないので違法とも合法とも言えない。
友人にお金を借りて、それは違法だ!とは言われないのと同じ。
ただ、合法的「私募債」にならって49人以下で、きちんと契約書を作って集めているのが一般的。
でも、お金持ちの友達には限りがあり、何回も何回もは借りられない。

このほかに最近にわかに脚光を浴びているのが「適格機関投資家等特例業務」(以下「適特」)。
機関投資家が出資している事業は、金融商品取引法の定めに関わらず「募集行為」をしても良いことになっているからだ。
ただし、悪徳業者が「機関投資家」を立ち上げて行う詐欺行為が横行する温床にもなった。
この場合も、出資できるのは49人以下となっており、事業といえる「億単位」の資金を集めるには向かないのだが、100kW、200kW程度の小規模事業には使い勝手が良いと考えられている。
金融庁は、「適特」を使い難くするために、1億円上の投資実績のある投資家しか出資できない仕組みにしようとしているが、そうなると市民側はまったく使えなくなる。
厳格化の実施は、延び延びになってはいるが、やがてその日(使えなくなる日)は来るだろう。

これら以外にも「パネルオーナー制度」、「個人信託制度」など、いろんな方法を市民側は編み出している。
どれも金融商品取引法の対象となっていない(資金の募集ではない)ので、設備設置のために活用しやすいということだ。

第三の課題は確かな「事業採算性」だ。
「設置場所」「資金調達」という二つの問題に加えて、FIT(固定価格買取制度)が怪しくなってきた。
系統(送電線)への接続問題がクロ-ズアップされてきて、100kWを超えるようなクラスでは、当面系統接続してもらえない。仮に接続できたとしても、買取価格は確実に安くなる。
今年度で32円/kWhだったが、42円/kWhから38円/kWhと毎年下がってきた結果だ。
この比率で下がると、来年は26円/kWhくらいになってしまうかも知れない。事業としての採算性はきわめて悪くなり、メガソーラーなどを手がけてきた大手企業はおそらく事業から撤退するだろう。
さて「市民電力」はどうするかだ。

「設置場所」に困っていたのに、FITの問題がクローズアップあされて系統接続問題が大きく報道されるようになって、なんだかあちこちから、「土地が余っているんだけどー」という話しが来るようになった。
結局、こんな逆風もまた、太陽光発電ができるんだ!という宣伝になっているという凄さ。
事業採算性も「量」という要素で変わってくることもある。
そんなビジネスモデルを考えながら、2015年を迎えよう。
規模を大きく取り、太陽光だけでなく、風力や水力、バイオマスなど、そして電気を作るだけではなく、電気を販売して行く・・100%再生可能エネルギーの消費者が明確に存在して、このビジネスモデルは成り立つ。
成り立つかどうか、さあこれは来年の課題だ。

ときあたかも、固定価格買取制度を定めている「再エネ特措法」(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)の施行規則を変えるためのパブコメの真っ最中である。
12月19日に改正案が提示され、パブリックコメントの締め切りは1月9日。
そして、どんなに重大な意見が提起されようが、この内容で2月1日には施行なんだそうだ。

パブコメのご案内
http://publiccomment.wordpress.com

傍から見ると、再生可能エネルギー事業は大変だなあと思われるかも知れない。
しかし大きな歴史の動きの中で見ると、世界の投資額が20兆円を超える産業に発展している再生可能エネルギーが今後消えて行くという可能性は薄い。
世界規模では投資の減衰がはじまっている原子力や、地球温暖化とバッティングしている化石燃料のほうが消える可能性ははるかに高い。でも今は、そのせめぎ合いの時代だし、そのまさにぶつかり合っている接点が日本になっている。

これまでの日本社会を前提にすると、逆立ちしても「大」電力会社にかなうわけはないよ、と考えられるだろう。
でも今は、その地盤も揺れている、地殻変動を起こしているのだ。
普通の市民が電気を作り、それを仕入れて販売する会社がたくさんでき、そういうところで働く人が、何万人、何十万人にもなって行く・・。市場規模は10兆円・・。
うーむ、まあ大晦日の夢と言われないよう、せいぜい2015年を頑張ろう!
















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