竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

市民電力連絡会(関東)発足!

2014年02月28日 | 自然エネルギー
都知事選が終わって、なんとも晴れない気持ちの中、気がつけば2月ももう最終日である。
この間の最大のイベントは2月21日の「市民電力連絡会」の立ち上げだった。
衆議院、参議院、都知事選と、私が言い続けて来ているのは、日本は自然エネルギーで「こそ」経済再生ができるということ。
それをきちんと形にして現すためのアクションでもある。
今日は、一週間遅れながら、この「市民電力連絡会発足記念フォーラム」のご報告。

市民電力連絡会発足の経緯

市民電力連絡会のルーツは、2012年11月のeシフトブックレットの出版記念シンポジウムにさかのぼる。このブックレットは「脱原発と自然エネルギー社会のための発送電分離」。著者はISEP(環境エネルギー政策研究所)の飯田哲也さん、山下紀明さん、福島大学の開沼博さん、「シェーナウの想い」の及川斉志さん、そしていちおう私・竹村も書いている。

http://e-shift.org/?p=2310
いちおうアマゾンでも
http://www.amazon.co.jp/脱原発と自然エネルギー社会のための発送電分離-合同ブックレット・eシフトエネルギーシリーズ-eシフト-脱原発新しいエネルギー政策を実現する会/dp/4772610731

会場はカタログハウスの地下2階の会議室。定員は200人だったが、実際にはそれ以上の人で埋まり、大変な熱気の中で市民の地域事業=市民電力のために必要な電力システム改革のことが語られた。そして最後に、ここに集まった人で地域事業をやってる人、やろうとしている人・・と呼びかけたら、ぞろぞろと何十人も手があがった。
そこで市民電力の連合会、市民の電事連をつくろう!と盛り上がったのがスタートだ。

いまここはカタログハウスのお店になっていて、最近は放射能レベルの低い(きちんと測定して)福島の食材の応援販売店舗になっている。
会津電力の大和川酒造の美味しーいお酒も置いてある。
ちなみに、その大和川酒造の佐藤よう右衛門さんを中心に福島での国際会議を成功させたISEPは、今度3月11日に「みんなの電事連」(正式名称は「ご当地エネルギー協会」)を立ち上げる。
より大々的な、全国組織としてのまさに市民の電事連。

私自身もともとISEPで「元」顧問でもありますが、ISEPができる前からの全国の市民運動とのおつきあいもある。
核燃料追っかけマンとして全国各地に呼ばれてお話もしてきましたし、チェルノブイリ原発事故後のさまざまな運動にもかかわってきた。
そんな一つが、市民共同発電所運動だ。
現在の市民事業とはちょっと違う、もう少し熱い市民の寄付を集めて、一つまた一つと太陽光発電所を増やしていく運動。
実はそういう運動の中で、家庭用太陽光発電の「余剰買い取りメニュー」ができた。
家庭用の電気料金と同額で太陽光発電の電気を買い取るというもので、太陽光発電の発電コストには届かないが、そこそこに高額で買い取ってもらえるというもの。
当時の人たちは、昼間の電気代が割高になる「深夜電力メニュー」を活用し、夜は安い電気(たぶん原発大部分だけど・・)を使い、昼はできる限り節電して30円/kWh超で電気を売るという、果敢なチャレンジで太陽光発電のコスト回収を行なっていた。
この買い取りメニューの成功を見て、実はヨーロッパにおいてアーヘンモデルとなり、固定価格買取「保証」制度へと発展をとげたのだということを知る人は少ないと思う。

そのような市民共同発電所運動も全国ネットワークを持っている。
全国フォーラムの第1回開催はたぶん1990年代だったろうと思いますが、大阪、京都、横浜などで開催されてきた。
しかし、2005年に飯田市おひさま事業が「事業型」での太陽光発電事業を成功させてから、逆に各地で「寄付型の限界」「事業型への挑戦」「でも飯田のような大規模はいきなりは無理」・・・というような格闘期に入ったのではないかと思う。
事業=雇用を生んでいくというのは、そんなに簡単ではない。
でも気がついてみると、全国に本当に数えきれないほどの「事業モデル」が生まれていた。
皆さん、本当に果敢にチャレンジされていて、あっと驚くような仕組みも作られていた。
そして、その多くの苦闘が昨年実施のFIT(固定価格買取「保証」制度)で報われたのである。

昨年の夏に、ひさびさの市民共同発電所全国フォーラム(正式には「市民・地域共同発電所全国フォーラム」となった)が京都で開かれ、予想を超える300名以上の人で埋まり、さあみんな市民電力に乗り出そう!という旋風が巻き起こった。
そこで、「竹村さん!あの市民電事連はどうなったの!」とただされ、「うーむ、やるしかない!」と2月21日の発足フォーラムにいたったものだ。
まだ「全国」を名乗るのはおこがましいので、「関東準備会」とし、関西の中心人物である和田武先生をお呼びして、関東と関西の連携を強調して見た。

いま日本には、ものすごく大雑把にわけて、ISEPが事業モデルとしてつくり出した市民出資による地域エネルギー事業と、もっと歴史のある市民共同発電所運動の系譜の皆さんがつくり出した、それこそ無数の事業モデルがある。
関東と関西の微妙な文化、歴史の違いもある。さらに北海道や九州なども違う文化があるかも知れない。
それらが経験と情報を共有し、いろいろなやり方をしながらも、力を一つに束ねていこうというのが、この市民電力連絡会誕生の目的である。

和田先生はFITの調達価格算定委員

もう一つ別の観点もある。
和田先生は、FITの調達価格算定委員でもあります。太陽光発電や風力発電などからの電気の毎年の買取り価格を決める仕事。
FITは良い制度ではありますが、問題も山ほど抱えている。
調達価格算定委員の中で、和田先生は最も良く実態をわかっている方だとは思いますが、ほとんど1人で孤軍奮闘状態。
だから、もっと市民からも業界団体からも、要望書や意見書を委員会あてに出してもの申してほしいというのが和田先生の立場。

太陽光発電の価格は、家庭用などの小規模(10kW以下)、少し大きな屋根などで可能な中規模(10kW~50kW)、もうちょっと大きな中規模(50kW~500kW)、そしてそこそこ大規模の(500kW~1000kW)、十分大規模の1000kW以上とで、実はかなり違う。
それなのに買取価格は一律になっている。メガソーラー(1000kW以上)だと、買取価格が高すぎるように言われるが、中規模以下では安すぎる。家庭用ではまだ採算が苦しい。というような違いが考慮されていない。
FITのおかげで大量設置ができているので、逆にそのような実態が見えて来ている。
そういう声を大にしないと、メガソーラーしか生き残れなくなる。

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というような強烈な話を受けて、市民電力連絡会としても、調達価格等算定委員会に要望書を取りまとめて出すということを決めた。
メンバーの中で話していると、10kW以下の家庭用だけ買取期間が10年なのはおかしい!とか、10kW以下にも全量売電を認めるべき!というような意見がでてきた。
まだまだスターしたばかりだが、小さな業界団体として声を上げつつ、大きな流れへと育っていくよう頑張りたいと思う。








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