横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

透析しないという選択 = 心臓血管外科診療における状況

2019-03-15 17:20:11 | 心臓病の治療
 透析を継続しないという選択、世間ではニュースを騒がせているデリケートな問題です。

 実際にはどういうやりとりがあって、透析をしないことになったのか、理解しておりませんが、臨床的に経験する状況としては、心臓血管外科においては、救命の可能性がほとんどない状態の重症な多臓器不全の状態において、いわゆる治療としてギブアップというときには、これ以上の侵襲的な治療は行わない、という意味で透析をしないという選択をする場合があります。こうした状態では、殆どの患者さんは既に意識障害に陥っていたり、苦痛を緩和するために鎮静や麻薬による鎮痛を行っている状況で、多くは人工呼吸管理されていたりします。それまでに既に可能な治療は全て施してあって、これ以上が治療の限界という中であっても回復が見られない、回復が期待できない絶望状態です。循環も不安定なので、透析をすることで、更に循環を悪化させていることもあります。
 この状況で、ご家族に十分な説明をしたうえでこれ以上の透析治療は継続しないと残炎ながら判断し、了解してもらうことがあります。治療を行う医師としては敗北感を感じる瞬間でもあります。

 報道されている患者さんの状況はおそらくこれとはかなり違う状況であろうと想像します。

 手術可能な癌がある患者さんが手術を希望しないで、そのまま癌が進行して亡くなってしまう状況と似ているのでしょうか。もしくは巨大な大動脈瘤があって破裂の危険があり、手術を受ければ治癒できるし、破裂の危険からも免れるのに手術を希望しないという状況と同じでしょうか。外科医が治療を勧めても、患者さんが拒否して、悪い結果になることは多々あります。残念ながら、主に高齢という理由で、手術治療は勧めない、と患者さんに医師が説明し、治療を受けない患者さんがいることも事実です。
 透析患者ということでインパクトが大きなニュースになっている気がしますが、癌や大動脈瘤においても同じような状況が起こりえる感じがします。
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心臓血管外科専門医修練施設更新

2019-03-15 06:33:52 | 心臓病の治療
 心臓血管外科専門医を養成する修練施設には基幹施設と関連施設があり、横須賀市立うわまち病院心臓血管外科は5年前から基幹施設に認定されています。今回、初めての5年ごとの更新に関して申請し、更新が認定されました。

 当院は自治医科大学さいたま医療センター心臓血管外科からの派遣スタッフで構成されておりますが、定期的に若手修練医師のローテーションを行っており、心臓血管外科専門医を取得するための実践的な研修を行いながら臨床経験を積んでおります。基幹施設の認定には、年間100件以上の心臓血管外科手術を実施し、責任者として修練指導医が常勤医師として勤務しており、また独自の研修プログラムを作成する必要があります。
 こうした基幹施設の認定更新は事務作業が時間がかかったり、面倒な仕事である面もありますが、施設の質を証明する一つの基準でもあります。年末からの一大作業でしたが、無事に更新できてほっとしております。

 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科が開設されて10年、横須賀の地に定着してきた一つの指標といえるでしょうか。
 今後も、この施設認定を維持できるように日々の診療を行っていく所存です。
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