横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

年末のカンファレンス

2018-12-29 12:19:54 | 心臓病の治療
 どこの心臓血管外科の施設でも年末はその年の締めくくりとして、一年間の症例をまとめ、カンファレンスなどを行うのが一般的です。
 その内容を年報にまとめて、情報公開もしています。

 当施設ではグループ内の施設が集まって、Mortality & Morbidity Conferenceを行って各施設の情報交換をかねて毎年年末にさいたまに集まって行っています。
 うわまち病院心臓血管外科では、一年間で300件あまりの手術を実施し、その中で心臓胸部大血管手術は110例でした。そのうち、三分の一の症例で小開胸の手術=いわゆる低侵襲心臓手術となっています。今後はこの傾向は続くと思いますが、うわまち病院はグループ施設の中でも最もこの低侵襲手術の比率が高い病院となっています。また、110例中、51例が弁膜症手術で、他の施設よりも弁膜症の割合が多くなっています。
 
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化膿性脊椎炎と感染性心内膜炎の合併

2018-12-29 00:03:17 | 心臓病の治療
 感染性心内膜炎に化膿性脊椎炎が合併する頻度は約10-15%と言われます。

 化膿性脊椎炎は一般的に強い腰痛や背部痛を伴うため、見逃すことは少ないと思います。MRIでT2強調画像で脊椎がHigh Intensityに描出されれば強く疑います。確定診断は、生検で脊椎組織に感染所見を確認し、菌種の同定も行う事になります。化膿性脊椎炎は高熱を伴うとは限らず、比較的持続する微熱程度ということもあります。しかし、高熱がみられなくても血液培養で細菌が陽性であることも少なくありません。治療は基本的に感染性心内膜炎と同じく。数週間の抗生物質治療を継続することです。

 見逃してはいけないのは、化膿性脊椎炎に細菌性心内膜炎を合併していることがあるということです。必ず、心エコーで確認する必要があります。強く疑う場合は経食道エコーが必要です。特に皮膚に細菌性塞栓症(Osler結節)を伴う場合は早急に検査が必要です。
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横須賀市立うわまち病院移転先

2018-12-28 14:03:19 | 心臓病の治療
横須賀市立うわまち病院 移転先は神明公園、京急久里浜近く

横須賀市の上地克明市長は21日の会見で、老朽化する市立うわまち病院(同市上町)の移転先を、京急線京急久里浜駅に近い神明公園(同市神明町)に決定した、と発表した。市長は「駅から近く、救急搬送時間も大幅に短縮できる」と理由を説明。2025年夏の開院を目指すとした。

 神明公園は京急久里浜駅から徒歩8分ほどの距離に位置。総面積は約2万5千平方メートルで、公園とグラウンドで構成される。

 市は、基幹病院のない「空白地域」を解消するため、▽同線堀ノ内駅以南▽駅から2キロ以内▽広さが1万平方メートル以上あること-などを移転先の条件に設定。(1)神明公園(2)大津公園(同市大津町)(3)馬堀海岸公園(同市馬堀海岸)(4)根岸交通公園(同市根岸町)-の市有地4地点に絞った。

 その上で、移転した場合の救急搬送時間を、現在の実績と4地点とを比較。神明公園にした場合、搬送時間の短縮するエリアが、4地点の中で最多だったという。

 市長は「搬送時間に格差があるのは不公平。これが最大の理由」と説明。病床数は今後の高齢化の進展を踏まえ、現在より33床多い450床になる見通し。28の診療科は維持する。市は2019年度中に基本計画を策定する予定。

 うわまち病院の跡地利用については、市長は「これから検討したい。市民らに喜んでもらえるような、夢のあるものをつくりたい」と述べた。

 うわまち病院は築50年以上と老朽化が進む。病院への進入路の幅が狭く、都市計画法上の開発行為が行えないことに加え、周囲に高い壁がある現在地の一部が県から「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)に指定される見込みから、市は8月、移転して建て替える方針を示していた。



http://www.kanaloco.jp/article/379061
カナロコより
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大網充填、左上大静脈遺残、感染性心内膜炎、心室中隔せん孔

2018-12-25 07:06:43 | 心臓病の治療
このブログ、始めてもうすぐ一年になりますが、徐々に読んでいただいている方の数も増えてきて、最近は多いときは1日400人以上の方に読んでいただいているようです。一専門医がその日思ったことなどを、短時間に思い付くままに書いているのですが、そのなかで最も多くの方に読んでいただいているのが、大網充填、左上大静脈遺残、感染性心内膜炎、心室中隔せん孔などについて記載したものです。

多くのホームページが自分の病院の宣伝しか書いていないのにたいし、それとは違って医療の現実、実際について特にニッチな内容を記載しているつもりなので、他の出版物や専門書、ホームページ、教科書などにも記載されていない内容が、検索にヒットしているようです。中には主観が入っているために、必ずしも正確ではない内容があったりしますが、これからもニッチな部分を中心に記載したコンテンツにしていきたいと思います。

2018年ももうすぐ終わりますが、みなさんはどのような一年だったでしょうか?心臓外科領域にとっては、低侵襲手術が保険上の加算をとれるようになって、大きく低侵襲治療に舵を今後切っていく要になる一年だったと思います。そのなかで、新しい技術についていく努力を外科医は日々求められているのだと思います。横須賀市立うわまち秒賃でも、心臓胸部大血管手術における小開胸による低侵襲手術は徐々に増加して2018年は全体の三分の一以上になっています。2019年はさらに増加していくものと思われます。

メリークリスマス❗
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3次元内視鏡による心臓手術

2018-12-22 13:13:31 | 心臓病の治療
 今年から内視鏡補助下の弁膜症手術やロボット手術が保険適応になりましたが、内視鏡といってもいろいろな種類とスペックがあります。
 最近はより微細な画質を見ることができる、ハイビジョンから4K画像も実用化してきていますが、同時に三次元画像の内視鏡も開発されています。

 二次元の画像では、立体的な対象物に対する手術は困難で、より平面的な画面でも可能な僧帽弁手術に比較して、より深さがある大動脈弁の手術では、完全内視鏡手術においては三次元内視鏡が必要ということだそうですが、まだ完全内視鏡で大動脈弁置換術を行ったという報告は無いそうで、名古屋の病院で唯一行っているそうです。
 三次元内視鏡手術を突き詰めていくと、その先にロボット手術ということになります。ロボット手術になると、アームが360度自由自在に動くので、より進化した手術が可能になります。
 ダビンチの特許が切れる2020年くらいに新しい手術ロボットが発売になれば価格も安価になり、より現実的になっていくものとおもわれます。
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ARDSに対するサーファクタント治療

2018-12-21 07:05:57 | 心臓病の治療

LI-NA ZHANG, et al.
Exogenous pulmonary surfactant for acute respiratory distress syndrome in adults: A systematic review and meta-analysis
Exp Ther Med. 2013 January; 5(1): 237–242.

人工肺サーファクタントのメタアナリシスです。ARDSに対する人工肺サーファクタントは死亡率減少に寄与せず、またサーファクタントの種類によっても結果は変わらず、という結果で、サーファクタントが有効と言う結論は出なかった。

というものですが、中には著効した、という症例もいるのではないか、と思うのですが、どうなんでしょうか・・・。

確かにサーファクタントが足りない状態に対して補充が有効な新生児のIRDSと違い、ARDSの場合は不足しているわけではないものを補充することの有効性よりも、病気の勢いが強いということなのかもしれません。
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肺塞栓症におけるPCPS(ECMO)治療および外科的血栓除去術

2018-12-20 22:56:04 | 心臓病の治療
 肺塞栓症は、突然起こる胸痛、血行動態の悪化、呼吸不全など重篤な状態に陥ることがあります。典型的な経過として、長期臥床したあとに歩き出して間もなく発症する、ということがあり、術後や長時間のフライト後などに発生します。エコノミークラス症候群と言われることがありますが、ファーストクラスに搭乗していた人にも発症することがあるので、狭い機内の座席に座っていたことだけが理由とは限りません。患者さんの中には「エコノミー症候群」と間違っているのに頻繁に遭遇します。

 この肺塞栓症で、血栓の量が多いほど、肺血流が悪化して、低酸素状態になり、また左心系に肺動脈から灌流する血液が減少してショック状態になり、最悪の場合は心停止に至ります。緊急処置として、気管内挿管による高濃度酸素での強制換気や心臓マッサージが必要になることがあり、こうした緊急の処置が必要な症例の多くは、PCPS(Percutaneous Caodio-Pulmonary Support = 経皮的心肺補助装置)が即座に必要になります。PCPSはECMO(Extracorporeal membranous oxygenation = 体外での膜式酸素化治療とでも訳すのでしょうか)とも言われ、循環補助を主な目的としたときにはPCPS、酸素化を主な目的に使用するときにはECMOと呼ぶ、と個人的には理解していますが、海外では全てECMOと呼ぶことの方が多いようです。このECMOは、VA ECMOとVV ECMOが送脱血の様式によって使い分けられており、VAとはVein⇒Artery(静脈系から脱血して、酸素化した血液を動脈系に送血)がより循環補助を目的にしており、通常の人工心肺と同じような循環となりますが、一方VVはVein⇒Vein、静脈から脱血して酸素化した血液を静脈に送血する様式で、心機能や肺循環が正常で酸素化だけが必要な場合に選択されます。肺塞栓では、肺循環が破綻して静脈圧が高くなるため、ECMOの脱血が非常に良好で、左心系に血液が環流しにくいため動脈系に送血することが理にかなった呼吸循環補助治療になります。肺塞栓では肺動脈の血流が低下しているため、肺の酸素化能自体が低下しており、高濃度酸素で喚起しても血液が酸素化されないことが多いので、心停止に至る前に、出来るだけすみやかにECMOを開始することが救命への最も重要なカギになります。一度心停止してしまうと、そのあと心臓マッサージをしても酸素化されていない血液が冠動脈に灌流されるため、心筋に酸素が供給されず心拍再開しない危険性が高くなります。
 また、ECMO開始時に静注するヘパリンが、この肺血栓自体を溶かして肺血流を改善することもしばしば経験します。肺塞栓症の多くは比較的最近できた新鮮な血栓が原因になることが多い為、ヘパリンやその他の抗凝固薬で比較的溶けやすいといわれています。
 また一方、大量の血栓が主肺動脈や左右肺動脈の中枢部にあった場合に、心臓マッサージをすることで血栓が砕けて末梢に押し流され、肺血流を阻害していた血栓が少なくなることで肺血流が灌流しやすくなり、心拍再開や血行動態改善に寄与するとも言われています。
 こうした特性を熟知して迅速に治療することが、肺塞栓症による急変に最も適切に対処するために重要です。

 さて、こうした初期治療をしたうえで、そのあとの治療方針では、抗凝固療法で血栓が解けるのを待つ、積極的にtPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)やウロキナーゼなどの血栓溶解剤を使用して血栓を溶かす血栓溶解療法、カテーテルによる血栓吸引療法やバルーン肺動脈拡張術、外科的血栓除去術を選択する必要があります。血栓量によって重症度が違うため、病態に合わせて治療法を選択する必要があります。血栓量の評価は一つは血行動態と造影CTが必要です。

 外科的肺動脈血栓除去術が必要になるのは、CTで主肺動脈から左右肺動脈の中枢部に血栓がある血行動態が不安定な症例です。肺動脈のこの部位においては手術で血栓を除去できますが、より末梢の肺動脈には到達できないため、末梢のみに血栓がみられる症例では適応になりません。血栓除去術では、人工心肺で循環補助しながら、上下大静脈を遮断した状態で主肺動脈および右肺動脈を切開して、可視範囲の血栓を除去します。胆道鏡など内視鏡を使用して、より末梢を検索することもあります。この操作は人工心肺補助下では、心拍動下でも可能なので、昔は冷却して循環停止下に行っていたこともありましたが、最近は常温で心拍動下で行う事で、その後の止血も良好で短時間で手術が終了するようになっています。外科医にとって悩ましいのは、血栓溶解剤を使用して治療を試みたが血栓がうまく溶けずに血行動態が改善しないので外科的に除去してくれ、と内科医に頼まれることです。血栓溶解剤を使用したあとに外科的血栓除去術を行う事は、術中の出血が全く止まらなくなってしまう事を意味します。呼吸、循環が安定している患者さんに関しては、抗凝固療法が効いてくるまで待つことができますが、ECMOが必要な不安定な症例は緊急手術が必要なため、治療方針の決定には、最初から外科医がコミットしておく必要があります。

 肺動脈血栓除去術を執刀する際に絶対忘れてはならないのは、「ヘッドランプを装着すること」です。細くて暗い肺動脈の中で血栓を検索する為に必須なので、心臓血管外科医が最もヘッドランプの必要性を感じる手術、として後輩を指導する際には、必ず「ヘッドランプを!」と最初に指導していますが、決してこうした症例に遭遇することは多くはないので、こうした指導はなかなか行きわたりません。
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人工呼吸管理中の呼吸状態の指標

2018-12-18 19:06:37 | 心臓病の治療
 人工呼吸管理中、何をもって良くなったといえるのか、どの指標で改善したと判断するのか。
 最近の人工呼吸管理はより高度化しているためたくさんのパラメーターがあります。

①吸入酸素濃度 FiO2 これが通常の空気20%に近いほど、人工呼吸管理不要の状態に近いので良い、という指標になります。具合が悪いほどこのFiO2は高くなります。人工呼吸器からの離脱は通常FiO2 40%くらいで行っています。

②動脈血中の酸素分圧(PaO2) これが良いほどいい。通常の大気で星城人は90-100Torrあります。


③ PF比 PaO2/FiO2 この数字が高いほど、肺での酸素化能が良い。200以上で人工呼吸器離脱を考えます。すなわち、80Torr/FiO2 0.4とかいうと200ということになります。

③ PEEP = Positive Endo Expiratory Pressure 呼気終末の陽圧の程度で、通常の待機中の呼吸ではゼロですが、人工呼吸管理中では、息を吐いたときに陽圧をかけることで肺胞を広げて酸素可能を改善させる機能を利用しています。この数値を下げても酸素化が保たれていれば、人工呼吸器からの離脱が近くなります。

④ 心臓手術においては、体重。術後は体重が数キログラム増加することも珍しくありませんが、その増えた分だけ肺も全身も浮腫んでいるということになります。肺が浮腫むと、水に浸したスポンジのような肺になり、酸素可能が悪化します。利尿などによって、体内に貯留した水分を排泄し、肺の浮腫をとることが酸素可能を改善させることになります。

⑤ 胸部レントゲン写真における肺の陰影、肺動脈の太さ、肺静脈の鬱血所見など。無気肺があれば、酸素化できない肺の部分がある証拠ですし、一方、浮腫が改善すれば、レントゲン所見も改善します。連日の胸部レントゲン写真を比較することで、改善方向にあるのかどうか確認できます。

⑦CT 胸部レントゲンでは判別できない肺の細かい部分までの評価が可能です。胸水貯留や心嚢液の有無なども正確に評価できます。頻回には検査できませんが、重要な方針を決める際には有用です。

⑧心臓超音波検査  現在の心機能がどうか、体内の血液量が十分かどうか判定できるので、水分調整に有効です。特に下大静脈の張りなどで、鬱血の状態も評価できます。

 このような指標を総合的に鑑みて、またスタッフ間で情報を共有したり議論したりして呼吸管理をしています。
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再膨張性肺水腫 = MICS(小開胸手術)の合併症としての可能性

2018-12-17 22:44:05 | 心臓病の治療
 最近件数が増えている小開胸の弁膜症手術は、右開胸した際に右肺を虚脱させて視野を確保して手術します。開胸しただけでは肺が邪魔をして心臓がみえないため、分離肺換気して左肺だけで換気し右肺は虚脱させます。
 閉胸の時に肺を再び陽圧換気させて膨らませて、再び両肺の換気を再開します。

 一度しぼんだ肺が急激に膨らむと肺水腫のように突然の肺胞の浮腫がおきて、喚起不全に陥ったり、胸部レントゲンやCTで異常陰影などが指摘されることがあります。これを再膨張性肺水腫といいます。

 MICS=右小開胸の心臓手術でも、再膨張性肺水腫になる可能性があります。特に心臓手術の術後は、水分の体内貯留が多く体重が数kg増加し、肺水腫になりやすい環境にあるので、再膨張性肺水腫などほかの要因で肺の浮腫が起こった場合は重症化しやすいと考えられま。
 再膨張性肺水腫の治療は、循環の維持・補正により適切な水分管理をすること。全身浮腫を軽減させるべく利尿剤などを使用すること。陽圧換気で水分で充満したり虚脱した肺胞を広げて酸素交換を改善させ、血中の酸素濃度を適切に保つこと、などが考えられます。
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人間の老化は、古い自動車を乗り続けているようなもの

2018-12-16 10:57:30 | 心臓病の治療
 新車を買ったときは、エンジンの調子もよく、最初の5年くらいはほとんど修理もいらずに快適に運転できますが、10年近くなるといろいろと調子の悪いところが出てきて、修理代もかさんできます。

 心臓の病気も、加齢に伴うものは同じようなことが言えると思います。古い車は、アクセルを踏んでもスピードが思うように出ないなんてこともありますが、もし心臓弁膜症のせいで同じようなことがとすれば、先日手術した患者さんも、家族と一緒と歩くときに、その歩くスピードについていけないという症状を訴えておられました。もちろん、階段を二階まで昇ると息切れを自覚します。これは何らかの心機能の異常による心不全の症状です。
 この患者さんは弁膜症による症状だったのですが、手術で弁膜症を治し、逆流が無くなった途端、心機能が改善し、息切れを自覚することが無くなり、家族と一緒に歩くときも、家族の中で一番の速足になり、だれも歩くスピードについていけないようになったとのことでした。

 古い自動車と同じように早めに心臓も修理していい状態を保ったほうが結局は長く使える、ということだとおもいます。
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100歳まで生きるために

2018-12-15 12:26:57 | その他
 高齢者が多くなった現在、100歳の患者さんに遭遇することも珍しくなくなってきました。心臓血管外科で100歳以上の手術をすることは珍しいですが、後輩医師が腹部大動脈瘤破裂の100歳の患者さんを手術で救命して地元新聞に大きく報じられたこともありました。

 高齢者の患者さんは、今までは東京オリンピックまで生きたい、とおっしゃる方が多かったのが、最近はオリンピックは目前なので、今は100歳を目標にしている人も少なくありません。
 100歳まで健康に生きるためには、
①血管の病気にならない
②癌にならない
③足腰を強くする
④腎臓を保護する
⑤経済的に安定が継続
こうした因子が重要と思います。

① 血管や心臓の病気はかなりの部分予防できます。血圧とコレステロールを下げること、これにつきますし、早期発見早期治療も十分可能です。
② 癌は予防できませんが、早期発見することで早期治療から治癒が期待できます。検診を受けること。それ以外のCTやPETなど積極的に定期検査をすること。
③ 寝たきり予防のための筋肉トレーニングをすること。
④ 血圧を管理し、塩分を制限すること
⑤ 働かなくても安定収入があること 
が幸せな100年人生の条件と思います。
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クライオアイス = 心房細動に対する冷凍凝固療法 同時に行う肋間神経ブロックによる疼痛対策

2018-12-12 19:09:09 | 心臓病の治療
 心房細動に対する治療として肺静脈隔離術やメイズ手術がありますが、これを行うためのデバイスとして、高周波と冷凍凝固療法があります。
 冷凍凝固のための装置は現在クライオアイスという単回使用の装置があり、これにより左房内の一部を冷凍凝固することで心房細動の不整脈が伝わらないようにブロックする治療です。

 このクライオアイスを使用すると、疼痛対策として肋間神経ブロックを同時にできるのがメリットです。右小開胸手術において今後メイズ、もしくは肺静脈隔離術を行う場合はクライオアイスを採用して、同時に肋間神経ブロックを行う方針です。

 使用した印象として、迅速かつ強力に冷凍凝固できるので、かなり効果が期待できます。


https://www.atricure.com/cryoice-cryoanalgesia-probe
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全身麻酔のあと、目が覚めなくなる?

2018-12-12 18:42:41 | 心臓病の治療
 患者さんへの手術の説明で、全身麻酔をして意識がなくなったあと、目が覚めないままになることはないのか?
 全身麻酔を受ける患者さんの不安の中で、おそらく最も大きい不安はこれではないでしょうか?
 完全にドラマの影響かもしれませんが、昔、渡辺淳一の小説「麻酔」がドラマ化され話題を呼びました。子宮筋腫のための全身麻酔の術後、目が覚めない状況が持続する、というようなないようだったと思います。検索すると麻酔のミス、と記載がありましたが、当時ドラマを見ていた自分としては、麻酔科もしれないけど具体的な原因は不明だったような気がします。小説を読んで確認してみないと。

 もし全身麻酔のあと、目が覚めないことがあるとすると、これはやはり脳梗塞を発症した可能性がもっとも考えられます。心臓手術で脳梗塞を起こす可能性は、1~3%くらいでしょうか。その患者さんや手術内容によってそのリスクは変わりますが、心臓手術は、全身麻酔手術の中でも脳梗塞の発症頻度が高い手術といえます。というのも
① 心臓を一度止めて、拍動流がなくなり人工心肺からの送血による層流の血流になること
② 動脈硬化が進行した患者さんを手術することが多いこと
③ 脳に血流を送る血管の上流の血管を遮断したり吻合したりの操作が多い
④ 人工心肺からの送血や心停止、開心操作で血流に空気が混入する可能性があること
などがあります。

これら脳梗塞の要因になるリスクを少しでも低くするためにあらゆる工夫や努力が行われています。

 しかしながら基本的に、麻酔薬のせいだけで目が覚めないことはまずありません。

 麻酔のトラブルとして、もし目が覚めないとすると、気道のトラブルの可能性があります。人工呼吸器で呼吸させるはずが気道確保が適切にされておらず、十分な酸素供給、呼吸がされず、低酸素脳症となってしまう可能性などがありえます。現在のモニターがたくさん装着された状態で行う手術では非常に起こりにくいといえます。昔起こったものとしては、手術室の配管が酸素と窒素が間違って建設されており、酸素と思ってつないだものが酸素が供給されていなかった、などということもニュースで見たことがあります。あり得ないような話が実際に起こることもありますが、確かにゼロとはいえません。
 しかしながら、通常は、麻酔薬が時間で代謝されて体内から消失すると必ずその効果が消失して覚醒することになりますのでご安心ください、と、通常は説明しています。

 実際に脳梗塞などの脳のダメージがあったと認定されるようなことがない患者さんで、目が覚めないということは、ここ20年以上担当していて見たことはありません。
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家族に迷惑がかかるから手術は受けたくない、とおっしゃる患者さんに対して

2018-12-09 14:34:22 | 心臓病の治療
急な入院で、職場や家族に迷惑をかけてしまった、という気持ちが強い患者さん、これ以上の迷惑がかけたくないし、経済的な負担をこれ以上はたいへんと思って手術を受けることを躊躇している患者さんがいる、と循環器内科のドクターに相談をうけました

これに対して、具体的などのような点で迷惑をかけてしまう、と思っているのか、他に不安がないのか、ということを聞いたところ

① 緊急で入院して、費用もかかっているのにさらに手術を受けると更に自己負担が増加して経済的に家族に負担をかけてしまうのではないか
② 自分が入院していることで、家族がお見舞いに来たり、仕事を休んでもらったりとか、負担をかけてしまっているので、手術をうけることで入院日数がさらに長くなり、家族の負担が大きくなるのではないか

という不安から手術を受けないで退院、帰宅したいとおっしゃっているのでした。

それに対して、

① 同じ月内の手術であれば、同じ月内の高額医療の範囲内での自己負担額になるため、今後発生する手術費用(手術代+麻酔代など=約250万円)がプラスになっても、自己負担額は上限額で済みます。すなわち、治療費がその月にたとえ500万円になっても、1000万円になっても自己負担の上限額はその患者さんの年収によって違いますが、年金暮らしの人であれば10万円弱で済みます。もし手術が翌月になると、翌月も高額医療の上限額になってやはり10万円前後の自己負担額が発生するので、理想的には同じ月内で治療をして、出来るだけ同じ月内で退院できるのが最もお安くあがることになります。なので、手術を受けることで治療費の自己負担額が変わるわけでは必ずしもありません。また、今回治療しないで帰宅し、さらに病状が悪化した場合は、さらに新たな治療費が発生することになるので、結果的には病気は治せるならなおしてできるだけ良い状態で退院することが経済的にも最善の治療方針です。

② 家族の負担に関しては、病気の治療が不十分なまま帰宅して、自宅でまた急変したりする危険がある場合は、その対応にまた家族の負担が増えることになり、また家族の不安もなくならないことから、治療不十分で退院することは最も家族の負担をかけることになります。

という説明を行ったところ、手術を受けることになっとくされました。

患者さんによって不安に感じる部分は違いますが、そのどの部分が不安なのかを明確に、それに的確に対応することが安心して手術を受けていただくことにつながるのではないか、と常日頃感じます。
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横須賀の救急医療最前線 学術シンポジウム

2018-12-08 16:30:26 | その他
横須賀の救急医療を討論するシンポジウムが、横須賀医師会で開催されています。

そのなかで横須賀の救急センターは、全国で唯一黒字で、救急車の受け入れ、など、全国でもかなり先進的な救急医療を提供しています。

特に、現在は三浦半島メディカルコントロール体制が構築され、救急患者の9割以上が横須賀市内で治療簡潔しています。

非常に救急医療の先進的な地域である、ということです。高齢化が進む横須賀地区ですが、安心して地域で生活できるモデル的なところでもあります。

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