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広い温度範囲での形状記憶効果を示すハイエントロピー合金を開発

2019-10-17 | 科学・技術
 物質・材料研究機構(NIMS)はソウル国立大学と共同で、形状記憶効果を示すハイエントロピー合金を開発した。従来の合金よりも広い温度範囲で形状記憶効果が得られ、チタン・ニッケル合金よりも高温での形状記憶効果が示された事で、今後、高温用アクチュエータなどへの応用が期待される。本研究成果は、「Scientific Report」誌の2019年9月11日オンラインe版に掲載された。
 研究内容と成果
 Jein Lee ICYS 研究員らは最も良く知られたfcc系ハイエントロピー合金であるCrMnFeCoNi合金(通称カンター合金)に着目し、その周辺で組成を変化させた時のfcc相とhcp相のギブス自由エネルギーをCalphad法により計算し、その結果NiをCoで置換する事でfcc相とhcp相のエネルギー差が非常に小さくなること、また約1000K以上で広いfcc相安定組成域が存在する事を見いだした。
 この計算結果に基づいてCr20Mn20Fe20Co40-xNix (x = 0~40)という一連の合金を作製し、特性を調べた結果、特にx=0, 5 の合金が可逆的なfcc-hcpマルテンサイト変態を示す事、さらに室温で変形後、加熱する事で元の形状が回復する形状記憶効果を示す事を見いだした。
 形状記憶合金としてはすでにNiTi合金、Fe-Mn-Si合金などが知られており、これらの既存の合金は形状回復温度の範囲が限られているが、今回見いだされたハイエントロピー合金では広い組成域でfcc固溶体が得られるため、形状回復温度を低温から高温まで幅広く変えられる可能性がある。またCr30Mn10Fe20Co40合金ではNiTi合金では373Kが上限である形状回復温度を700Kまで向上する事ができた。NiTi合金について高温で形状記憶効果を得るにはPd などの貴金属やHfなどの希土類元素の添加が必要であったが、開発合金は比較的安価な遷移金属元素のみからなっており、材料コスト的にも有利と考えられる。
 今後の展開
 今後はさらに詳細な研究、特に熱処理や微細組織制御により形状記憶特性や繰り返し特性の向上に向けた研究開発を進める必要がある。
 ◆ハイエントロピー合金
 ハイエントロピー合金とは5種類以上の元素を等モル比で混合して得られる固溶体合金、)およびその周辺組成の合金の総称である。この様な組成の合金では自由エネルギーの配置のエントロピーが大きくなるため、規則合金に比べて固溶体が安定になる事が予想される。
 これまでの合金探索は1種類の元素を主要元素とし、それに少量の異種元素を添加した合金が殆どであった。ハイエントロピー合金では多元系かつ高濃度の合金組成を持つ合金であり、これまでに開拓されてこなかった組成範囲を探索するもので、これまでに無い優れた特性や新たな機能の材料の発見が期待されている。
 ◆用語解説
 〇固溶体合金
 結晶内で複数の成分の原子が均一かつ無秩序に分布している単相の固体。
 〇規則合金
 結晶内で異なる成分原子が規則正しく配列している合金。
 〇マルテンサイト変態:
 合金において結晶格子中の各原子が拡散を伴わずに連携的に移動することにより新しい結晶構造となる相変態。
 ◆形状記憶合金(英:Shape memory alloy;SMA)
 形状記憶合金は、ある温度(変態点)以下で変形しても、その温度以上に加熱すると、元の形状に回復する性質を持った合金で、この性質を形状記憶効果(SME)という。
 このような合金の性質が確認されたのは1951年のことで、1970年代頃から利用が研究され始めた。しかし実用化が始まったのは1980年代に入ってからのことで、以後機械工学分野から医療分野にまで応用されている。
 温度で制御可能な形状記憶合金の他に、磁性による制御が可能な強磁性形状記憶合金もある。

 雲多いが晴れ。気温は、最高気温は21℃、最低気温は8℃、朝昼晩の温度が大きい。
 散歩で、”イヌサフラン”の花を見つけた。花は彼岸花の様に葉を付けずに地面から出現し、茎先に花のみが付いている。この花姿から”裸の貴婦人”とも呼ばれる。花の咲く時期は、春咲き・秋咲き・冬咲きがあり、日本では主に秋咲きが普及している。
 球根・種に毒(コルヒチン)があり、その毒(コルヒチン)は痛風発作予防薬として使われる薬である。新聞記事で、高齢女性が自宅で栽培していた”イヌサフラン”を生で食べて食中毒で死亡した、とあった。
 厚生労働省の植物性自然毒 高等植物の説明では、
 イヌサフラン(別名:コルチカム)
  分類:ユリ目 Liliales、ユリ科 Liliaceae、イヌサフラン属 Colchicum
  (APG 分類体系ではユリ目、イヌサフラン科、イヌサフラン属 )
  学名:Colchicum autumnale L.
  英名:autumn crocus
  生育地:ヨーロッパ中南部~北アフリカ原産の球根植物
   日本には明治時代に渡来し、園芸植物として広く植えられる
  形態:多年生の球根植物
    球根は径3~5cmの卵形で、9月~10月に花茎を 15cm ほど伸ばし、
    アヤメ科のサフラン Crocus sativus L. に似た花をつける。
    室内に放置した球根からも開花する。翌春に 20 ~ 30cm ほどの葉を根生する。
    耐寒性が強く、何年も植えたままで開花する。
  毒性:全草に毒性あり
  毒性成分:アルカロイドのコルヒチン( colchicine )
    種子には 0.2%~0.6%、鱗茎には0.08%~0.2%含まれる
  鎮痛薬として使用されるが、嘔吐・下痢などの副作用を示す 。
  中毒症状:嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難、重症の場合は死亡することもある。
    ヒトの最小致死量は体重50 kgの場合、コルヒチンとして4.3mg程度。
 イヌサフラン
 別名:コルチカム
 学名:Colchicum autumnale
 ユリ科(イヌサフラン科)コルチカム属
 球根草(自然分球で殖える)
 原産地はヨーロッパ、北アフリカ
 開花時期は9月~10月
  (秋咲き)
 花色は淡い藤色・濃い藤色・白色など
 花姿は春に咲くクロッカス(アヤメ科)に似ている


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