日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 9月 4日】

2006-11-27 04:03:59 | Weblog
《米代川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
21 米代川 136(内約17) 早口河川公園 坊沢大橋手前  易  

 早朝、車が一瞬止まり、また、走り去った。
 今日は風がきつい、いやな予感がする。

 朝食を済ませ、出発の準備中、犬の散歩のご婦人、また、声を掛けてくださった。『よく寝れましたか?』 『おはようございます。あぁ、夕べのお方?あれ、昨日とワンちゃん、違いますね。何匹飼っておられるの?』 『3匹よ!』 『わおー!散歩だけでも大変ですね。』 『そうね、でも、可愛いわよ~!夕べのご馳走何だったの?』 『秋田へ来たからには、やっぱり「はたはた」を焼きましたよ~。でも、昨日、スーパーで買ったの韓国産でメスで子がいっぱい入っていたので、楽しみだったのですけど、はたはたの子は硬くて、ぷつぷつしてて、今一でしたね~。』 『そうよね、卵、硬いわね~。美味しい食べ方はあるけれど…。しょっつるって知ってますか?』 『聞いたことは有るけど、食べたことは無いと思うなあ。』 『美味しいのよ~』 川から帰ってきた車が止まった。『日本一周してるんかね。面白いね。川下り?何で下るんかね?』 『カヌーですけど、実はカヌーは早口へ置いてあるんです。それで川下だりするんです。』 『カヌーかね、早口へ誰か居るんかね?』 『いえ、誰もいません。私一人ですから…。』 『一人でやってるの?』 『はい、一人です。』 『早口へどうやって行くのかね?』 『自転車で、』 『えっ、あっ、自転車?そりゃ大変だ!』 『イエイエ、カヌーだけでなく、自転車も楽しんでいるんですよ。』 『へー、そんなもんかね~?』 『そうそう、昨日言っていた、写真撮らせていただけませんか?』 『じゃあ、二人、一緒に並びましょう。』パチリ。
親切にしてくださったお二人さん
 『私はご飯の支度があるから、これで失礼します。頑張ってくださいね。』 『ありがとうございます。米代を楽しませていただきます。』 『わしの家、すぐそこだから、後で来なさいよ。』 『ありがとうございます。どこですか?』 『あそこの大きな木があるだろう、あそこだ。この土手行くと一箇所だけ駐車場がある、そこだ!』 『分りました。ただ、正確な時間が約束できませんので…。』
 この野田(仮名)さんが今朝一瞬車を止められた人だと理解できた。「日本一週川下り」の文字がやはり気になられたのだろう。

 愛艇の待つ、早口めざし、出発。二ツ井から早口まで距離があるから、少々きついが頑張るより無い。
 2時間弱、やっと到着。自転車は土手の上の木に番をしてもらう。
 カヌーも、勿論無事だった。『あれ、カヌーポートが池になっている。』夕べの内に水が少なくなり、湾口が陸になったのだ。 数人の釣り師が雑談している。
 その池にカヌーを浮かべ、ロープを引こうとしていると、一人の釣り師、その池にジャブジャブ入り、『引っ張ってやろう!』とカヌーを引いてくださった。『ありがとうございます。』と、言ってる最中、『おっ、鮎だ。好い型だ。』手づかみしようと両手を突っ込んだ。この小さな池の中に鮎が閉じ込められていたようだ。他の一人は網を出した。鮎釣り師はさすがに鮎を見ると目の色が変わるようだ。

 スタートするとすぐ下側で、3人が竿を振っていた。急ぎ、沖出しし、竿からはるか離れて通過した。
 ここから、二ツ井町銀杏橋の河川公園まで29kmもある。風は向かい風、きついぞ~!さあ、頑張ろう!
 米代は「旅本」に出ているので、下見もせずに楽に行けるが、「大巻の船場跡」や「長坂の瀬」「水制」など注意場所や事項も出ていてありがたいものだ。

 雨の多い今夏、米代川も水量が多く、黄河の様相を呈しているけれど、おかげで流れは多く楽だ。これもありがたい。
 トロ場に入って、川辺でごそごそ音が聞こえ、草がゆれている、カモ達が陸から草を分けながら、親について子供たちも水面へ降りてきた。が、こちらのカヌーに気がついて、また、来た道へ上がって行った。まだ、子供が幼くて飛べないから、岸へ上がって行ったようだ。こんな様子を見せてくれて楽しい。
 それにしても今日は風がきつい、向かい風だからコントロールがうまくきかない。二ツ井までは大分遠い、今のペースで行けば、6時着。それでは遅すぎる。と言って、鷹巣では近すぎるけれど、鷹巣過ぎたら、二ツ井まで上陸地は無いと早口で釣り師に聞いている。野田さんのお家へも行けない、ただ、自転車も無い、鷹巣は国道筋からも離れているので、二ツ井まで行くのに楽ではない。ヒッチハイクするかな?それも面白い。止まってくれれば良いけど、こんなおっさんを乗っけてくれるお方が居られるかな?ここが思案のし所と色々考慮した結果、一寸早いけど、鷹巣で上がろう。いや、上がるべきだと結論!

 鷹巣着。鷹巣は大太鼓の古里、道の駅「たかのす」には直径3、8mもの大太鼓があるそうだ。牛の皮だから大きな牛を育てることから始めたことだろう。各町内が祭りや雨乞いに大太鼓を使い、競い合って、どんどん大きくなり、ギネスブックに、認定されるようなものまで作ってしまったそうだ。
 さすがに今日は疲れた。今まで、沢山の川を下ってきたけど、余り疲れを感じたことは無いのだけれど、今日は疲れた。カヌーを上げて、濡れた靴をグチャグチャ言わせながら、土手へ向う。近くで工事が行われている、ダンプが見える。良かった!人が居る。
 土手に着くと丁度すぐ近くに、ロードナビゲーターがいた、何と若い美人、確かに最近は女性の人の仕事になっている、あちこちで見かけているが、こんな別嬪さん始めてだ、こんな人だったら、運転手さんもうれしいだろうなぁ!

 『一寸お聞きしたいんですけど、電車かバスに乗れるところへ行くにはどう行ったら良いのでしょうか?』 『私はよく分らないから、知ってる人に聞いてみます。』と、無線で尋ねて下さった。『その人がこちらへ来られますので、直接、聞いてください。』表現は以上だが、可愛い秋田弁が混じり楽しい。
 藤原さん(仮称)がこちらへ来られ、『お仕事中、わざわざ、おいでくださってごめんなさい。』 『あぁ、良いよ、良いいよ!ここからは30分以上かかるな?あー行って、こう行って、こう行けば、鷹巣駅へ行けれる。』 『電車の回数はあるんですか?』 『いや、一時間に1本位だから、一寸待ってよ、』と、電車の時間を事務所に無線で尋ねて下さった。『2時過ぎの次は4時過ぎ、今からだと4時にしか間に合わない。』藤原さん、向こうへ行かれる。ナビ嬢『車で送ってくださるそうよ。』私『んだか?』ナビ嬢『んだ!』 『それはありがたい。うれしいなぁ。』
 藤原さん『さあ、乗りなさい!前山駅の近くまで送って行くからそこから歩いて10分ほどだから、2時17分に間に合う。17分だよ!』と、車中での話。『仕事中なのに、申し訳ありません。』 『こちらを通れば見つからないから、…。』と、裏道を通って連れて行って下さった。 駅まで歩いて10分の信号の所で、お別れし、お礼を言い、そこからは懸命に歩いた。
前山駅
 無人駅、前山へ着いたのは、7分前。切符は売っていない。どうするんだろうか?どちらのホームか分らない。駅で工事している人に教えてもらう。 電車が入ってきた、ドアが開かない。見ると「押す」の文字。ボタンを押してみた。ドアが開いた。自販機のチケットを抜き取る。『この辺ではこんなにしてドアを開けるんだ。』車内には数人が乗っているだけだった。ドアのところを見ると、車内側では、「閉」と「開」がある。色々考えてみた。下りる時には、「開」を押す。では「閉」はいつ使う?人が降りた後、中の人が閉める?人がいないときどうなる?おかしい。そう言えば自分が乗ったとき、誰もドアを閉めなかったが、閉じた。閉じるときは車掌さんが閉める。でないと危険だもんな。では、なぜ「閉」がある?疑問だ!不思議だなぁ?考えた。
 ・・・・『そうかっ!わかった!』はたと気がついた。あなたは分りましたか?『そう、ここは雪国!寒い!そんな時、車掌さんがドアを閉めるまで、ドアが開いていては客は寒くて困る。だから、必要なくなったドアをすぐ閉められるように、それぞれに内側に「閉」ボタンがつけてある。キット正解だ。なるほどっ!』と、感心した。また一つ賢くなった。

 二ツ井駅着。駅前の地図、駅からまっすぐ行くと土手にぶっつかる。それを右へ進めばテントが待っている。
 駅前は商店街、夕べの「はたはた」は駄目だったので、「生を」と思っていたので、「鮮魚」の看板、はたはたがあるかな?と覗いたら、『あった!やった~!今夜は美味しい「はたはた」が食べれるぞ~!』と、思ったが、今は歩きだから、買えない。後で、車で来よう。
 大きな木!駐車場?の前を通り、野田さんの家辺り『この辺だな』と確認しておいた。

 やっとテントの待つところへたどり着き、今度は自転車を取りに早口へ戻る。
 自転車を積んで帰る途中に、先の魚屋さんへ寄ったところ、はたはたは売り切れていた。「がっくり!」仕方ない、今夜はサンマにしよう。
 野田さんちらしき所へ行くが結構家が沢山あり、お名前聞いていなかったので、確定できない、聞くこともできない。仕方なく帰り、夕食の準備をしていたら、可愛い声で『こんばんわ、「しょっつる」娘の所で作った試験品だけど、食べてみない?それから、冷たい梨、みょうがは好き?美味しいから食べてご覧。』と、沢山下さったのは、あの秋田美人の吉永さん(仮名)だ。『えっ、嫁がれているほどの娘さんがいらっしゃるの?』 『孫もいるわよ!』 『え~、ウソー、信じられないな~?若いおばあちゃんですね~!』 『うまいこと言って!』 『いえいえ真実ですよ。それは恐れ入ります。遠慮なくいただきます。ありがとうございます。私から何も差し上げるもの無いので、申し訳ありません。』 『そんなこといいのよ。元気で、頑張って一周してくださいね。』 『はい、楽しく、頑張ります。ありがとうございます。』
《二ツ井河川公園泊》

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