今回は、前々回の続きです。DTMやコンピュータによるピアノ演奏についてご興味のない方は、スルーしてくださいね。
STEIBERG社のピアノ専用ソフト音源「The Grand」について、ベーゼンドルファー インペリアル290の「本物らしさ」を聴いていただきました。今回は、ヤマハとスタインウェイのピアノ曲を聴いていただきましょう。
音楽制作ソフトバンドル版Steiberg「Cubase LE5」のmidiトラックと録音トラックの画面
テンポトラックのテンポの変化の様子(かなり揺れ動かしています)
その前に、生のピアノ演奏と違って、コンピューターで鳴らしていると言うことから、演奏者(パソコン上のプレイヤーと言うことですね!)は非常に楽ちんと思われがちですが、、、。どうしてどうして、DTM(DESKTOP MUSIC、つまりmidi打ち込みによる曲の演奏や再生と言うことになります)でピアノ曲を鳴らすには、当方の場合自由な時間があまり無かったせいでDTM用ソフトの使い方がなかなか覚えられなかったせいか、はたまた曲についての分析や感性が足りなかったせいなのか、結構ここまで来るのに相当な時間を要しています!
前回のヘンデルの「愉快な鍛冶屋」についても言えることですが、大部分のピアノ曲は、生身の演奏者が弾くことを前提に作ってあります。そのため、楽譜通りに音を鳴らしても、まったくの機械が鳴らしているかのような無機的な演奏になってしまって、作曲者が描いたであろう曲のイメージを大変に歪めたり、ぶち壊したりもします。特に、音楽的な速度の微妙な「揺らぎ(専門用語ではアゴーギグと言います)」などや楽譜に書かれていない部分などの音の強弱等など、楽譜に書かれていない様々な音を鳴らす要素を加味しないと、曲として成り立ちません!
突き詰めると、生のピアノとは違うものの、楽曲を様々な面から捉えて、自分なりの「表現(ここはゆっくりとか、ここの部分はペダル無しでとかとか、、、ずば抜けた表現力を持っていたら、多分現実のピアノ演奏を凌ぐことも可能かと、、、?)」を考えていかないと、陳腐な演奏(midiの再生)になってしまいます。つまり、生のピアノを弾く感覚や感性(当方はピアノの実力は大昔になりますが、バイエルどまりでした!)が、多少なりとも必要だと考えています。ちょっと、midi打ち込みの解説的なものが長くなりましたので、この辺にしましょう。
ちなみに、上の画面はヘンデル作曲「愉快な鍛冶屋」の最初の部分です。
前回の続きとしまして、ヤマハC7とスタインウェイmodel Dの音にて、モーツァルト作曲ピアノソナタK570、第16番第一楽章と、ショパン作曲ノクターン第7番Op.27-1を演奏してみました。
モーツァルトのピアノソナタ第一楽章は、以前から興味があって、midi打ち込みが終わっていたままものです。モーツァルトが自然の森の中で、聞こえてきた野鳥の声を、そっくりそのまま音楽のメロディーに取り入れたような感じがして、とても興味があってmidiで再生したいと考えていました。何か「癒やされる」感覚のする楽想がふんだんに盛り込まれていて、味付けはモーツァルトならではの曲となっていまして、普段あまり聴かないモーツァルトも、これはOKですね!
★モーツァルト作曲ピアノソナタk570 第16番第一楽章
ショパンのノクターン第7番は、YouTubeで色々聴いている内に気に入った物です。中間部のドラマチックな展開は、「The Grand」でようやく可能になりました。メロディーがハッキリ聞こえつつ、迫力が増していく様は、ショパンの造形美学によって初めてなしえたもので、クライマックスに置かれたマズルカ風のメロディーも素晴らしいですね。最後は、大海の水平線にに朝日が昇るさまを見つめるような「決して挫けない大きな精神力と揺るぎない自信」の現れでしょうか?
★ショパン作曲ノクターン第7番Op.27-1
以上、「ベーゼンドルファー インペリアル290」「ヤマハ C7」「スタインウェイmodel D」の三種類のピアノの音をお披露目いたしました。
これらのピアノの音色の特徴を、当方の感じるままに簡単に説明しますと、「ベーゼンドルファー インペリアル290」は豊かで暖かい木の響きを伴った音色で、やや強弱のダイナミックレンジには不足しますが、特に古典波からロマン派までのピアノ曲には打って付け音色と思われます。いわゆる輝かしいリッチな響きとでも言えましょうか?
後発ではありますが、アップライトなどを含んだピアノの総生産台数が最も多い日本の誇るヤマハのグランドピアノ「ヤマハ C7」は、透明感に溢れ、強弱のダイナミックレンジも広く、癖のない音色ですね。もちろん高音の繊細な感覚も巧みに演出していて、海外の著名なピアニストでも、C7を愛する人は多いようです。
クラシックのコンサート用に最も活躍している「スタインウェイmodel D」は、モノトーンの地味な音質ながらも、深々とした響き、ダイナミックレンジが最大で、どんな時にも悲鳴を上げない強靱なタフさが「売り」です。現実のピアノは、フルオーケストラにも負けない力強い響きを出せると言われていますが、まさに力強さと繊細さを併せ持ったピアノです。
2回に渡って、STEIBERG「The Grand 3」について、色々と説明してきましたが、これを充分に使えるようになるにはまだまだ時間を要します。使えるようになって自信がついたら、色々とクラシックのピアノ曲を再生して、YouTubeにでもアップしたいと思っています。