「六夜 ★病室」 から
≪形見なの穢れぬうちに升に落ち 永久に息づけ実践理性の≫
盆まえから危篤状態が続いていた。
映画みたいな花嫁(昨日の投稿)にはなれなかったが、
避けられない歴史に生きた。
暁にならない時刻、
精気窄める灰器に・・・
八月二十五日、夜明け前、永眠。享年二十八歳と一ヶ月。
謙遜と服従の教義を貫いた。
「許せん」
血潮は猛々しく煮えたぎる。
「今になって・・・・・何を言うのか・・・・・
ふたつとない春花秋月、そうこう肝要な音域は天界に生まれ立ちそうになって聞き始める。
「(こうして居る)」という映像化だけの入院中が消え入りそうになる真っ只中、
「(彼女が私に)会いたがっていた」なる言葉を聞いた。
何を言ってんのか、さっぱり分からなかった。
「(哀れな妹)」呟いた。
彼女に対する同情っぽい言葉はこれだけだ。
が、これにしても真意が何処にあったのかは分からない。
私が思うに〝院長自身が彼女にした性犯罪〟を思い出したのだと考える。