LSP
Labor Scheduling Program
レイバー・スケジューリング・プログラム
業務量よりも、従業員が多いと人件費が過大となり、逆に少ないと顧客サービスが低下してしまう。
自店の曜日、時間滞ごとの業務の実態を調査して、合理的なシフトを組む必要がある。
無駄のない、シフト、作業割り当てを行う手法に「レイバー・スケジューリング・プログラム(LSP)」がある。
J-NET21より
【1.レイバー・スケジューリング・プログラムとは】
レイバー・スケジューリング・プログラム(LSP)とは、「誰が」「何時から何時まで」「どの作業を」「どの程度」行うかを決める計画のこと。
作業割り当て計画と表現されます。
LSPは、経験や勘ではなく科学的データに基づいた作業の割り当てを行うことにより売場の生産性を向上させます。
【2.LSPの導入ステップ】
(1)LSP導入目的の明確化
まずは、LSP導入目的を明確化することが必要。
どのような目的でLSPを導入するのかにより導入効果は変わる。
(2)現状分析
各部門ごとで、現状を分析し標準時間等の数値を明確化する。
(3)現場への説明や教育
現場の従業員がLSPを理解して実行しないと良い効果はでない。
なぜ、LSPを導入するのか、どのような行動や判断が必要なのかを浸透させる必要がある。
また、効率的な業務を行う為にもきちんとした教育を行う必要がある。
マニュアル等も活用すると効果的である。
(4)実施
ある程度の準備が整ったらLSPを実施します。
(5)評価
LSPは、一度導入して終わりではない。
実施した結果(データ)をもとに、計画との差異、問題点を明確にして継続的に改善するサイクルを構築する必要がある。
また、チェーン展開している店舗では、実験店舗でLSPを導入・確立し、そのノウハウを他の店舗に浸透させるなど、段階的な導入が望ましい。
しかし、店舗により特性や売り場面積が異なるので、店舗ごとの状況に合わせる必要がある。
【3.作業の分析】
LSPを行うには、各部門ごとに作業分析を行う必要がある。
各部門ごとの業務においてどのぐらいの時間がかかるのかをストップウォッチなどで時間を計る。
作業分析により計測した標準時間をベースに各時間滞の必要人数を算出して、シフト、人員配置を行う。
また、作業の標準化を行う必要があるので、マニュアル等の作成と従業員教育を合わせて実行する。
○レジ部門 (必要人数)
時間 |
9時 |
10時 |
11時 |
12時 |
13時 |
14時 |
15時 |
16時 |
17時 |
18時 |
19時 |
20時 |
人員 |
3人 |
3人 |
7人 |
8人 |
6人 |
4人 |
4人 |
4人 |
7人 |
8人 |
6人 |
4人 |
例えば、作業分析のデータにより算出した13時~の必要人員は「6人」となっています。6人より多ければ、従業員のアイドルタイム(暇な時間帯)が増えて人件費の無駄が発生します。
逆に6人より少なければ、お客様のレジ待ちが生じてサービスレベルが低下します。レジ待ちが長いと、単品商品を購買するお客様は、並ぶのを嫌がりコンビニ等で購入してしまうなどが考えられます。
【4.販売管理マニュアル】
売場の生産性を向上させるためには、各部門(レジ、売場、バックルームなど)ごとに販売マニュアルを作成する必要がある。
販売マニュアルで出来るだけ作業の標準化を図ることが、LSPをうまく機能させるために必要な要素となる。
特に、小売業などはパート・アルバイトの比率が高い為に、始めから一定レベルの業務スキルを達成するにはマニュアルが効果的である。
また、新人がある程度仕事を覚えてきたら、マニュアルばかりではなく責任と権限を付与し、柔軟に店舗業務が行えるようにするのが望ましい。
【5.作業の割り当て】
従業員が何の業務を行えばいいのか明確でない場合には、作業の生産性が低下してしまう。
従業員が出勤したら、自分は本日どのような作業を行うのかを確認できるように日誌等に記載しておくなどの仕組みを取り入れる。
次の作業までの余裕が多い、もしくは次に行う作業が明確でない場合には生産性は下がる。
【6.経験も考慮したシフトの工夫】
ベテランの従業員と新人では、業務スピードが違う。
例えばレジ業務では、土日の忙しい日や忙しい時間帯(17~20時など)にはベテランの従業員さんを配置し、暇な平日や時間帯(13時~17時)には、新人を配置するなど工夫をすることで生産性やサービスレベルが向上する。
上記のように、作業分析により必要人数等を数値化して、シフトや作業割り当てを行うことにより、無駄な人件費を削減できサービスレベルも向上するであろう。
レイバー・スケジューリング・プログラム(LSP)の 導入手順と留意点