なぎのあとさき

日記です。

ルドン、強風の海

2021年01月19日 | 日々のこと


モンちゃんは毎日よく寝てよく食べ、よく遊んで元気。冷蔵庫の上からちゃんと自分で降りることができた。

15日に仕事の納品2つが終わって一段落。1月前半はみんなよく仕事した。いつもならみんなでパーッとうまい物食べに行くとこだけど今年は誰も行こうっていわない。



今年も黒カモが来てる。たぶんムクドリの大群もいる。庭には毎日メジロが来る。ヒヨドリも来る。


季節は小寒が終わって次は大寒。日中は5℃でも日が出ていて風がなければ、土手で本を読めた。

F井氏の「この道」、2017年~2018年の異常気象に揺さぶられる老体が描かれる、文章の格調が高くて、まるでその年の殿がつぶやいてるよう。
◯大雨はまだ降り続き、先の見通しもつかぬという。道理でここ数日のこの空気の重さ、この身体の苦しさだった、それほどの天候異変が予兆の内からも遠隔の地まで影響を及ぼさぬはずがなかった、と今になり思いあたる気がしたが、悔いに似た心が動いた。長年、所詮は安楽な暮らしに慣れて、ちょっとした日常の乱れに苦しむほどに、虚弱な存在になっていた。まして天変地異にはとうてい耐えられそうもない、と我が身のことがかえりみられた。
これほどの大雨は知らなかった、と土地の古老がつぶやく。知らなかった、予兆も見えなかった、と私もつぶやいてうずくまりこむことになるのか。

老い、病、死のこと、オリンピックのために封鎖された馬事公苑、オイディプス王、その他もの哀しいエピソードがはさまれ、暗く、今の季節にはしっくりくる。前に春に読もうとしてやめた気がする。

風呂で読んでる「失われた時を求めて」のラストも、登場人物たちの老いの描写が延々と続いている。語り手は相変わらずで、ジルベルトに「若い娘を紹介して!」と頼んでいる。
登場人物は中島みゆきの「糸」のように縦糸を横糸を張り巡らしている。

16日から4連休。
金曜はTも休みだったので、三菱美術館にロートレックとルドンを観に行った。
O町は、ミニ丸ビルみたいな建物がたくさんできて様変わりしてるけど、ところどころ懐かしい。
ふだん外出してないせいか、閑散とした高層ビルやイルミネーション、東京駅や皇居などの景色が物珍しくて、おのぼりさんのようにキョロキョロ見ながら歩いた。



コロナになってから、美術展もかなり減ったので、芸術をこの目で見るのも貴重なひとときで楽しかった。
ロートレックの「アリスティド・ブリュアン」と、ルドンの「青い花瓶の花」をメインに、モネやミレー、セザンヌも。
この美術館にはありがちだけど、断りもなくかさまししてくるので大量の展示だった。



ルドンは前期は暗い黒い絵が多いけど、後期にはパステルを使ってカラフルな絵を描いた。この花瓶の絵もパステル画。

せっかく丸の内まで出てきたのにTがまた胃をこわしており、外食はあきらめて帰った。

17日の土曜は、気温が19℃まで上がるというので前日からわくわくしていた。
昼頃にバラの鉢変えをやってのける間、春一番かと思った。




が、午後海に行ったら強風で、風速1メートルで体感温度が1度下がるといわれてるから、海では体感9℃くらい。
強風の日は横になっていると風をやりすごしやすいので、波打ち際にねっころがって目を閉じていたら気持ちよくて、うつらうつらしてたら遠くで「Nちゃん!Nちゃん!」と呼ぶ声が聞こえて目を開けたら、波が目の前に迫っていた。
風波が急に大きく寄せていたのだった。
間一髪で起きてシートと荷物を持って後退。あとちょっと遅れたらずぶ濡れになるとこだった。

シートを持ち上げた時に砂が舞い上がってCの顔に直撃したけど、そんなことじゃ怒らない。

T「ビーの、腹にいちもつある感じが描けてる」
腹にいちもつ。

これをスルーしたらもっといいものがでてくるわ。
ちもべたちがねしずまってから、ごみばこからアジのほねをだしてやるわ!
いまはしらんかおよ!

そう、ビーは腹にいちもつあることの多かった猫だが、猫は腹のいちもつさえ可愛さを倍増させる一要素である。猫の可愛さの要素は足し算ではなくかけ算である。

ああ、ビーよ。
腹のいちもつさえ愛おしい。

ちなみにモンちゃんは、腹にいちもつのかけらもない。
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