GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

外郎といえば山口県 御堀堂のういろう

2021-03-29 15:04:35 | FOOD&DRINK

御堀堂の外郎を見つけたので即買いした。

山口県には御堀堂と豆子郎という外郎の老舗があり、岩国にはふるたのういろうがある。今回見つけたのは御堀堂の外郎。

 

“外郎”と書いて“ういろう”と読むのだが、これを読める人は少ないと思う。そもそも外郎自体を食べたことがないとか、「ういろうって羊羹の柔らかいやつね」などと言う奴もいる。そんな人は秋芳洞に埋められてしまうかもしれない。

羊羹は小豆を主体にした餡を型に流し込み寒天で固めたものである。寒天が多いと硬い煉羊羹、少ないと水羊羹と呼ばれる。

一方山口県の外郎の原料はわらび粉である。従ってプルンプルンしてて官能的な食感である。

 

しかし、ここでまた厄介な問題がある。

ういろうは何故か名古屋(愛知)のものと勘違いされてるのだ。これは多分、青柳総本家のういろうのせいだ。

青柳のういろうは、東海道新幹線開通時にワゴン販売(車内販売)を許されたおかげで、サラリーマン出張族のお土産として全国に広まった。そしてテレビでの「シロ・クロ・マッチャ・アズキ(アガリ)・コーヒー・ユズ・サクラ」と軽快なメロディに乗せたCMを放送し有名になった。

 

この青柳の外郎の原料はうるち米の米粉である。繰り返すが山口県の外郎の原料はわらび粉である。材料が違うのに同じ名前の菓子なのだ。不思議だ。

従って青柳のういろうしか食べたことがない人は、山口県の外郎の官能的な舌触りを味わえていない。もったいない話だ。

 

全国に同じ名前のお菓子や名物があったりする。その中にはパンケーキとホットケーキのように「どこがどう違うの?」とわからんものから、材料や作り方、姿形が全く違うものまで色々ある。

同じ名前で同じような作り方なのに、名前だけが全国あちこちで違うというものなら、一番ポピュラーなのは回転焼きだろう。

 

回転焼き、今川焼き、大判焼き、太鼓焼き、御座候、太閤焼き、おやき・・・。地方によって呼び方が違うが材料もつくり方も姿形もほぼ同じだ。これをなんと呼ぶかで、だいたいその人の出身地がわかったりする。

 

同じ名前で材料もほぼ同じなのにつくり方が違うというものなら、一番ポピュラーなのはお好み屋きだろう。

広島の人間は「広島のがお好み焼きじゃ!大阪のは関西風お好み焼きでしかないけぇのぉ」とお好み焼きプライド(そんなのがあるのかどうかは知らないが)決して譲らない。

一方我が大阪は「大阪のがお好み焼きで、広島のは広島焼きやん」とは別に言わない。道頓堀ひっかけ橋のグリコの看板は有名だが、あの看板の真下には以前「金本知憲のお好み屋」ってのがあったのはあまり知られてない(本当)。

 

広島と大阪のお好み焼きの違いは、材料を最初から混ぜてから焼くか、鉄板の上で載せていくかの違いでしかない。

鉄板の上でてこ(コテ)で切りながら食うのは一緒。ソースがおたふくとかイカリとかの違いや鰹節や青のりをどうするかの違いはあっても、腹に入りゃ大阪風だろうが広島風だろうが一緒だ。

ただ広島のように焼きそばを入れたら、それは大阪ではモダン焼きと呼ぶ。ただしこのモダン焼きの「モダン」は決しておしゃれでハイカラのModernからつけられたネーミングではなく、盛り沢山の『も』り『だ』くさ『ん』からチョイスという、実にいい加減な大阪らしいネーミングだ。

 

ついでに言えば、秘密のケンミンショーでも度々取り上げられる「お好み焼きをおかずにしてご飯を食べるんですかぁ」論議、いわゆるお好み定食の是か否かはもう飽きてるからね。

W炭水化物とか大げさに言う人は「じゃぁあなたは、うどんとおにぎりは食わんのか?」

ラーメンとチャーハンと餃子なんてトリプル炭水化物だが、それでも「汁ものとご飯の組み合わせは別」とかぬかす奴もいる。じゃぁピザとパスタはどうなんだ?平気で食ってるだろう?

だいたい天丼やカツ丼の衣が何でできてると思ってるんだろうか。無知なのか?ただの弄りネタか?

 

同じ名前なのに微妙に材料や形が異なってるというものなら、一番ポピュラーなのは桜餅だろう。

皮であんを包んだ長方形タイプの長命寺、粒感を残した餅であんを包んだ扁平型の道明寺。

どちらも桜の葉でくるんであるのは一緒だが、関東の長命寺は小麦粉(または上新粉)、関西の道明寺は道明寺粉だ。(コンビニやスーパーで売ってるやつは多分どちらも小麦粉)。

 

ういろうは桜餅に似ているな。

青柳のういろうの原料は米粉で、御堀堂の外郎の原料はわらび粉。

 

あと違うのは賞味期限。

山口県の外郎の賞味期限はめっちゃ短い。真空パックにしてくれてるが、それでも1週間くらいしかない。これではお土産としては好まれない。出張や旅行から帰ったら、すぐ配らなければいけないからだ。

従って山口県のお土産は日持ちする「錦帯橋せんべい」とか「月でひろった卵」になってしまう。これでは青柳ういろう勢力図を塗り替えることはできない。

しかし、ここでまた問題がある。

「月でひろった卵」はどう贔屓目に見ても「萩の月」なのだ。パクリなのか模倣なのか、偶然似たのかリスペクトとかオマージュとかなのかはわからない。全国のいこういったお菓子は結構ある。

 

ってな話を友人としていたら、「ういろうは小田原じゃないの?」と、ここに来て第三の刺客が登場。そして京都にも「水無月」というお菓子があり、これもういろうの一種であることが判明。一気にバトルロワイヤルになってきた。

が、これだけは言える。外郎は美味しい。

それは間違いない。



post a comment