ウェヌスとローマ神殿(ラテン語: Templum Veneris et Romae,イタリア語: Tempio di Venere e Roma)は古代ローマで既知の最大の神殿。フォロ・ロマーノの東端、コロッセオの近くにあり、女神ウェヌス・フェリクス(好意的なウェヌス)と女神ローマ(永遠なるローマ)を祭っている。ローマ皇帝ハドリアヌスが設計した。建設は121年に始まり、ハドリアヌスにより公式に公開されたのが135年、アントニヌス・ピウスにより最終的に完成したのが141年である。
9世紀初頭の大地震で、再びこの神殿が損傷を受けた。850年ごろ、教皇レオ4世がこの神殿の廃墟に新たな教会サンタ・マリア・ノヴァ教会の建設を命じた。この教会は1612年に大修復されサンタ・フランチェスカ・ロマーナ教会となった。このとき、かつての女神ローマの内陣が鐘楼として組み込まれた。
ハドリアヌス帝は、巧妙な仕掛けを施していた。ウェヌスは愛の女神であり、ラテン語で「愛」は "AMOR" である。これを逆から綴ると "ROMA"(ローマ)となる。つまり、ウェヌスとローマを背中合わせにして対称な神殿とすることで名前も対称になっている。ウェヌスの内陣には新婚のカップルが生贄を捧げる祭壇もあった。