鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第五話

2019-10-12 13:02:52 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



白銀の残影ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー

第五話


クローン体が変態し、10日が経過、完全体と成った。
ガトランティス女性士官は眼を覚ます。

ガーランド大尉が入室すると同時に球体状のカプセルの中から「約束の時が来た。ここから出して貰うか。」と口を開いた。

「ガトランティスの士官よ。早起きだな。」
「あと少し、君をそのカプセルからは出せない。」
「もう一人、信頼出来る研究者が来るまでは、出せない。」

「ビィー。ビィー。」と二回、入室を求める呼び鈴が成った。

ガーランドは訪問者を確認する為、モニターを覗いた。
IDをかざした新見が確認出来た。
ドアのロックを解除し、新見を招き入れた。

「あら。もう、お目覚めしていたのね。」

薫のその台詞(ことば)に反応するかのようにガトランティス女性士官は、薫を睨んだ。

「さて、全員揃ったので約束通り、ガトランティスの士官よ、君をカプセルから出しましょう。」
ガーランドは、カプセルの液体をゆっくりと抜いて行く。
カプセルのほぼ真ん中辺りに浮遊するガトランティス女性士官もまた、液体が抜ける速度に合わせ、カプセルの底に近づく。

液体が完全に抜け、カプセルが真ん中から縦に割れるように左右に開く。
一歩、二歩と確かめるようにガトランティス女性士官は、歩き出し、ガーランドたちの前に立った。
液体で濡れた髪の毛の先から滴が幾つも落ちた。

「……やっと人間らしく行動が出来る。」
「私はバギーナ・ストレイガー。」
「第072群・都督と呼ぶ者も居る、いや居たが正しいかな。」

「では、改めて本題へ入るとしよう。」
ガーランド大尉が、話を進めた。

「先ず、ストレイガー都督。君が以前、条件があると言っていたが、その条件を先ずは聞こうか。」

「ガーランド大尉と言ったな。貴様の持つ科学力で、この企みが上手く行ったなら、サーベラー様同様に、人間としてのD.N.Aをこの身体に付け加えて貰おうか。」
「これが条件だ。」

「人間としてのD.N.A!?」
側に居た新見が口を挟んだ。

鋭い目付きで薫を見るストレイガー。
「貴様も、人間。種を残す事の出来る人間なのだろ!?」

ガーランドも薫も「ハッ!」と心に思う。

「分かった。その条件を約束しよう。」
ガーランドの言葉に薫は言葉を飲み込み、今はこの件に関して口を挟むのを止めた。

「で、条件の話は分かったわ。」
「大尉の"企み"とやらせたを聞かせて頂きましょうかしら。」
「私が用意出来るのは、乗艦が可能なタイプよ。」

「これを見ながら話すとしよう。」
ガーランドは空間プロジェクターを起動させた。
約2メートル四方のホログラムモニターが浮かび上がる。
「これは我々の誇る技術である物質転送システムの図面だ。」
「新見少佐も体験した事は有るはず。」
七色星団戦で体験した事を思い出した薫は、食い入るように見つめた。

これで今でも動き続け、小笠原海溝に存在する"コスモリバースシステムの"核(コア)"。
この核(コア)を利用して、あの高次元と言われる次元へゆく。
深海9.000メートル以上も潜る潜水艇を調達するのは、我々には無理。
そこで、少佐が解析しているカラクルム級が必要なのだ。

「カラクルム級で深海をって解釈で良いかしら。」

「その解釈で合っている。」

「でも、物質転送システムは人間も転送出来るの?」

「可能だ。」
「ガミラスの戦闘機は基本的に無人ではないからな。」

「確かに云われてみれば……。」

「勿論、戦闘機を使う訳ではないが。」
「特殊スーツを着ての転送になるがね。」

「そして、高次元でサーベラーと言う方を救いだすのね。」
「テレサが許すかしら?」

「……救うと言う表現は間違いであるが、完全な間違いではない。」

ガーランドのその言葉に軽く頬を膨らませる薫。

「高次元では彼女、ストレイガー都督の力が役に立つだろう。」

「我、感応波か。」

「そうだ。」

「リスクが大き過ぎるわね。」
「カラクルム級を動かせば、否応なしに軍も連邦政府も動き出すわよ。」

「それにはご心配無く。」
「深海9.000メートル以上も深く潜れる戦闘艦は悪いが、地球には無い。」
「例えヤマトでも、1平方センチメートルに約900キログラムもの圧力には、耐えられない。」
「だが、拡散波動砲に耐える事が出来たカラクルムの殻(甲羅)ならば可能だ。」

新見は「なるほど。」と言う顔を覗かせていた。

「話はだいたい解ったわ。」
「でも、カラクルムも素晴らしい図面も画期的な作戦、全て魅力的なのだけど、どうやってカラクルムに転送システムを装備するつもり?」

薫の質問にガーランドは左の口角を上げ、こう告げた。

「そう来ると思っていたよ。少佐。」
この計画は自分が月面大使館から、この研究施設に赴く時点から始まっている。
約半年の時間を掛け、システムに必要なパーツは既に運び込んでいる。
先日、デスラー総統の話をしたと思うが、自分が技術将校として赴く時点で総統が一枚噛んでいるのでね。
「解析に必要な資材」として、少しずつ運び込んだと言う訳だ。
そして、「既に物質転送システムは完成している。」
「半年かけ、コツコツと組み上げたよ。」

薫は目を丸くして驚いた顔を覗かせた。
「だから、この部屋に、これだけシステムが設置されていてクローン体も産み出す事が出来た訳ね。」

ガーランドは後ろを振り返り指を指した。
薫とストレイガーは、白いカーテンで仕切られた先に円台のようなシルエットを確認した。

「さて、質問がなければ次の段階に移行したいのだが。」

「……。流石に彼女、ストレイガーさんの……その魅力的な……裸体では局内を歩けないわね。」
同性である薫も、見とれる程のプロポーションしかも裸体ではマズイだろうと。

「少佐。貴女の服を貸してくれないか?」

「……戦闘服ならカラクルムに行けば直ぐに手に入るぞ。」

「あは。いやストレイガー都督。カラクルムに行くまでの服だ。」

「私の服……。」薫はサイズ的に彼女には小さいかもと思う。
「ちょっと待ってて、今、取って来るから。」

ー30分後ー

「これで良しと。」
「ウィッグにメイク、ボディーメイク。何処から観ても地球人ね。」
薫はウインクを飛ばしながら云った。
同時に「やっぱり私のサイズだからピチピチね。」「無理もないか彼女、170Cm/88/60/90だもの。」と心に思う。

「大尉。準備、出来てよ。」

「では、早速、少佐とストレイガー都督はカラクルム級へ移動してくれ。」
「自分は物質転送システムの起動チェックを行う。」
「地球軌道上の少佐の管理するカラクルム級に乗り込んだら、連絡を。」

「ストレイガー都督。君が我々の運命を握っている。」

「大丈夫だ。我はガトランティス!」

「……少し、この服キツイが、カラクルムに着いたら我が戦闘服に着替えて良いのだろう!?」

「勿論だ。」

右側の口角を上げ、笑みを浮かべるバギーナ・ストレイガー都督。


◆◆◆◆


※伊豆・小笠原海溝は、日本の房総半島沖から南東方向に連なる海溝。
マリアナ海溝と合わせて伊豆・小笠原・マリアナ海溝(IBM海溝)とも呼ばれる。

フィリピン海プレートに太平洋プレートが沈みこむことによってできた海溝で、最も深い所では海面下9780mになる。
母島の南東にはやや浅い部分(母島海山)があるが、ここが伊豆・小笠原海溝とマリアナ海溝との境界点とされることが多い。
北に日本海溝および相模トラフ、南にマリアナ海溝が連なる。


◆◆◆◆


第六話
つづく。


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。

最新の画像もっと見る