鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白色の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝ー第三十二話

2019-01-20 23:40:44 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第三十二話


クラウスの傷の治療が済んだその日の晩、私はクラウスに呼ばれた。
スパイであった私が、いくら艦長が皆の前で敵視するなと云ったからといって、全員が「はい。そうですか。」とは行かない。
空間騎兵隊をはじめ、航空隊のメンバー、ヤマトのクルーの三分の二は私を疑っている。
「言葉には出さないけどね。」

「見張られている……。」
そう心に思いながら、クラウスの待つ独房へ。
もう今では、独房としては機能していない。
主に負傷者の部屋と化しているのが、現状だ。
使えるものは何でも使う。である。
見張っている者の中に玲も確認できた。
私はわざと笑みを浮かべ、ウインクを飛ばした。
目線を反らし、顔を明後日の方へ向けた。
ヤマトは、ワープを重ねて36時間で地球圏に到達する位置にいる。
敵であるガトランティスは、微塵も感じない。
それもそのはず、地球が絶対防衛ラインとした火星圏を突破しようと、総力戦を仕掛けているのだから。

私はクラウスの部屋へ入った。
鍵は掛けない約束に、私は従った。
鍵を掛けないどころか私は、数センチの隙間をわざと開け、入室した。
覗く気に成れば覗けるし、会話を聴こうと思えば聞ける。
そんな事は私には、お構い無しなのだ。
むしろ覗き見、盗み聞き歓迎だった。
噂として拡散(ひろまれ)ば良いとさえ思っていた。

部屋へ入るなり、クラウスは、こう話を切り出した。

「サーベラー。お前を死なせたくはない。」と。

「あら、どうして?」
「私はヤマトを窮地に追いやった張本人よ。」
「たまたま、デスラー戦で加勢した。ただそれだけでしょ!?」
私はクラウスの問いかけに、そう答えた。
同時にドアの影に人を感じた。
"玲だ"と解った。
私は気がつかない素振りを見せ、話を続けた。

「何故、素直にならない。」
クラウスは告げて来る。

「素直な女が好み?」
「それなら、貴方が素直にしてみれば?」
そう云って私はクラウスが横たわるベッドへ歩み寄る。



「私はゼムリアの巫女。戦況を占う巫女。」
「勝利へ導く、白色の巫女と異名を持つ女よ。」
「跪付いて命乞いなんてしないわ。」私はそう云いながら瞳を潤ませた。

私を見つめるクラウス。

「お前らしいな。」
そう云いながら「ムクリ」と上半身を起こし、私の瞳の真下を人差し指の指先で、潤んで溢れた涙を拭き取るようになぞった。
私は震える身体でクラウスに抱きついた。
クラウスが「ギュッ」と抱き締めて来る。
髪を解かすよいに撫でてくる。

「……死にたくない………。」
私はクラウスの耳元で、震える声でそう答えた。
クラウスがまっすぐ私を見つめる。
唇を重ねて来る。
私は瞳を閉じ、クラウスのリードに身体(み)を任せた。
ソフトなキスから愛を感じるキスへと変わってゆく・・・

ドアに隠れるように室内の様子を伺っていた玲は、そっと姿を消した。

「うふふ。」と心の中で微笑んだ。



私はクラウスの上に乗るように、ゆっくりと腰を沈めてゆく・・・
やがてクラウスの息が早くなるのと同時に、私は腰を深く沈めて、全てを受け止めた。
私はクラウスの腕の中で、一枚のシーツに包まれ眠りに着いた。

24時間後、受精した事を確認出来た。



「これでゴレムによって消滅させられる事はないわ。」
「大帝、貴方はこれでチェックメイトに一歩近づいたわね。」

宇宙戦艦ヤマトは24時間後、最後のワープに入る。
決戦に備え準備に入った。


◆◆◆◆


上級士官用のビッフェバーから戻ったメーデュース大佐は、数体のガミロイドを連れ、惑星ビーメラに降り立った。
目的は、ビーメラの大地に眠るシュヘラザードの回収である。
ユリーシャが残したシュヘラザードとビーメラの大地に眠るシュヘラザードで、最低限の防衛ラインを築こうというものでもあった。

外観こそ草木やそれらのツル等が絡み、朽ち果ているように見えるが、内部は330年以上も放置されたとは思えない程、正確に機能していた。
此を修復して使わない手は無い。

防衛ラインと云っても、ここビーメラに集結した艦隊を守る程度であり、ビーメラ星全体を守れる訳ではない。
あと三日もすれば、ユリーシャをイスカンダルへ送り届けたメルダも帰還する。
それまでには修復を終わらせる。

そう成るはずだった・・・



「……問題は提督だけね。」
ブリッジから眼下を眺めながらエリーサは、そう呟いた。


第三十三話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。

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