鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

白色の巫女ー桂木透子ー宇宙戦艦ヤマト2202外伝:第二十五話

2019-01-08 01:13:27 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝

第二十五話




「どうやらあの子が動きはじめたようね。」
「一瞬だけど、感応波を感じたわ。」
「力強い感応波をね。」

まだ零歳だが、この年齢が一番、感応波が強い。
それは大宇宙誕生時に起こったビッグバンに匹敵するほどである。
A.I以上の学習能力を有し、観たもの聴いたものを全て吸収する。
それを上手く引き出す事が鍵と成る。
一般的な人間は、上手く引き出す事が出来ない。
いわゆる"凡人"である。
一部を上手く引き出す事が出来る人それが天才と云われる人である。
だが、両者とも感応波を忘れてゆく。
凡人は感応波自体を持っていた事すら記憶から消えている。
天才と云われる人は、特化した能力に力を注ぐあまり、感応波を忘れてゆく。
そう。だから零歳児の時が感応波が一番強く放たれる。
意思の疎通手段なのだから。

私たちゼムリア人は、その疏通手段を年齢を重ねても忘れず、引き出せるように訓練してきたの。
何代も何代も、代を重ね強化して行ったわ。
一部の民はその能力を特化し、アケーリアスの遺跡の眠る惑星シャンブロウを目指し、旅立った。
そして、そのシャンブロウを聖地とし、守り人を残して新天地を求めた。
たどり着い惑星(ほし)それがジレル。
決まった軌道を持たず、自由軌道惑星と呼ばれる惑星(ほし)。
蒼き肌を持つ民族に侵略され、滅ぼされた哀しき惑星(ほし)。
僅かに生き残ったのは、守り人としてシャンブロウに残った者たちのみ。

そのシャンブロウがテレサの感応波と共鳴し、この銀河に向かっている。

「何故解るかって?」
「それは、あの子がこの宙域を通過する時に教えてぐれたからよ。」
「星たちが動きはじめたと。」
この広大な宇宙で惑星(ほし)ごと空間跳躍を出来る惑星(ほし)は三つだけ。

「テレサの住むテレザート。」

「ガトランティスの王ズォーダーの滅びの方舟:白色彗星。」

「ジレルの守り人が住むシャンブロウ」

この三つだけ。



「そして、その三つが一つの銀河に集まる時、新たな銀河が産まれる・・・」

私がこのヤマトから解放される時が近いわ。
それにはズォーダーの"代理人"ミルとやらを先ずは倒さなければならない。
私は加藤は使い物にならない事から、山本玲を呼び出した。

「キーマン中尉の援護を!?」

「そうよ。クラウスの援護。」
「今、デスラーの艦(ふね)に乗り込んだでしょ!?」

「貴女も知っているようにクラウスとアベルトはデスラーの一族。」
「そのアベルトの側近がクラウスを煙たがっているわ。」
「ガミラスをガトランティスの傘下にする為にクラウスは邪魔な存在。」

「ここまで話せは解るわね。」

「それに"チャンス"があるかもね。」



玲は真剣な眼差しを覗かせると、無言で私の前から去って行った。

「うふふ。」


◆◆◆◆


「ワープアウトします!」

市瀬が告げると同時に飛び込んで来た眼前に広がる光景に、フィーニクスのクルーたちは、言葉を失っていた。
何万ものガイゼンガン兵器群カラクルム級の残骸が第十一番惑星を覆い隠すように浮遊していたのだ。
250万ものカラクルム級の大半はそれでも、メーザー提督の指揮の下、ヤマト追撃に随行した。
結果は道中、朽ち果てたものが大半で僅かに30から40隻はデスラーの粛清によって消滅した。

艦隊の指揮を取る相馬が命令を下した。

「試射を兼ねて、このカラクルム級を一掃する!」
「日下部戦術長。艦首波動ショック砲(カノン)スタンバイ!」

「了解。」
「一番から三番、輪胴射出砲、撃ち方はじめ!」日下部は自席正面のキーボードを弾いた。
連射され撃ち出される量産型波動コア。
瞬く間に眼前の宙域に拡がった。

「コスモシステム内、波動共振波136.000を超えます!」

「波動共振波18.000臨界へ!」

「波動ショック砲(カノン)てぃーーーッ!!」



一筋の巨大な閃光が静かに消えてゆく。
宇宙の塵と化したカラクルム級。
その直後、極大まで増強された波動エネルギー共振波は、ショックウェーブを乱舞させ、該当宙域を凪ぎ払う。

静けさを取り戻した第十一番惑星宙域。
眼下に覗く第十一番惑星は、開拓前に戻ったように、凍てつく大地をさらけ出していた。
そこにかつて人々が暮らした形跡は、伺えなかった。

「これが……これが"コスモリバースの真の力なのかも知れない。」
「惑星(ほし)を再生する力が本当は負の力……」
「……だから時間断層=反重力特異点のようなものを産み出した……」
波動ショック砲(カノン)の威力を目の当たりにした藤堂は呟くように云った。

その言葉を聞き逃さなかったメルダが口を開いた。

「その通りかも知れない。」


第二十六話
つづく。


使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。

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