鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー第二章:第三話

2020-04-24 21:24:00 | 宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち




宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー
第二章:第三話◇サーシャ 脱出◇


古代はいや、第一艦橋のクルーたちは目を丸くし、メインモニタを覗き込んでいた。

「……あれは、あれはイスカンダル星じゃないのか?」
沈黙する第一艦橋のクルーたちに先駆け、古代が口を開いた。

「まさか?168.000光年も彼方から太陽系に……あり得んでしょう?」
古代の問いかけに返したのは、航海長の島だった。

「いや、そうとも言い切れん。」
その島の返しに真田が口を挟んだ。
「島ならマセラニックストームを知っているだろう!?」

「確かにマセラニックストームは知っている。イスカンダル航海時に計画はされたが、リスクが高過ぎると没になった。」

「マセラニックストーム?」監査官さとみが割って入った。

「マセラニックストーム。簡単に云えば銀河間宇宙気流です。」
「ワープ航法よりは速度的に遅いのですが、上手く気流に乗る事が出来、また分岐点を間違えなければ、大マゼラン銀河まで僅か3ヶ月、往復6ヶ月で可能です。あくまで計算上ですが。」




【マセラニックストーム】
大小マゼラン銀河の近くに広がる中性水素のガスである。
異常な視線速度をもつガス「星雲」がこの領域に存在することが知られていたが、ガスの位置と広がりは正確に把握できず、マゼラン銀河との関係も不明であった。
その後の観測でわかったガスは大変長く、その形状は銀河系などと比較するとかなり直線状である。
この領域としては視線速度差が異常に大きく、周辺銀河の視線速度パターンに同期するものではない。
高速度雲(HVC)としては古典的な例である。

階層型クラスタリング研究からわかるのは、小宇宙が長い時間をかけてより小さな小宇宙の衝突により形成されたことである。このような衝突・合体の副産物としてもっともよく知られ研究されてきたのがマゼラニックストリームである。

「では、イスカンダルは3ヶ月前に何らかの影響で、マセラニックストームに乗り、この銀河系まで流されたって事?」
更にさとみが質問した。

「…あり得ない。」
「意図的な何かが分岐点で軌道修正しなければ……或いは流れに任せて半年以上を費やし、たどり着いた。としか考えられない。」
真田は顎の下に軽く握った拳をあてがい、腑に落ちない様子を見せた。

「……意図的だとしたら誰が何のために…?」

そんな時であった再びイスカンダルの火山の噴火。
加速をはじめるイスカンダル。
同時にイスカンダルから複数の物体が飛び出した。

「……ガミラス艦艇多数をキャッチ!」慌ただしく森雪が告げだ。

「ガミラス艦艇だと?」
「そうか!」真田は左手の手の掌の上を右手で軽く「ポン。」と叩いた。

「古代!イスカンダルはガミラスによって意図的にマセラニックストームに乗せられたんだ!」



「古代艦長。調査する必要を感じる。と言いたいが、その必要も無さそうだ。」
「向こうら教えて貰えそうだ。」

メインモニタを見詰めながら、古代は全艦戦闘配置を実戦である事を付け加え、命じた。


スターシャの居る女王の間には隠し部屋が有る。
その隠し部屋からサーシャが、こっそりとスターシャの前に姿を現した。
周りをキョロキョロと見回した。
母親であるスターシャしか確認出来なかった。

「お母様。」

「サーシャ。」
スターシャはサーシャを呼び寄せると「ギュッ。」と抱き締めた。

「サーシャ。どうやらわたくしたちは、イスカンダルは銀河系まで流されたようです。」
「流されたと云っても意図的にですが。」

きょとんとする顔を覗かせるサーシャ。

「サーシャ。隠し部屋から地下に降りる階段が有るのは、知っていますね。」
「地下に降り、イスカンダルから脱出なさい。」
「ここからなら、地球もさほど遠くないはず、地球へ逃げなさい。」
「サーシャ。貴女の事はお父様の弟、叔父にあたる方が力を貸してくれるでしょう。」
「そして、叔母であるユリーシャを救い出して欲しいのです。」



「ハイ。お母様。」
「必ず、助けを連れて戻ります。」
真剣な眼差しを見せるサーシャは、「コクリ。」と頷くと、隠し部屋へ戻り隠し階段を降りた。

「こんな事もあろうかと、メルダにマニュアルの操縦を教わっておいて良かったわ。」
日頃、母親のスターシャの目を盗んではメルダにわがままを云って、操縦を教わっていた。
ただこれはスターシャが知らないフリをしていただけなのだ。




第二章:第四話へ
つづく。

この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2205ー新たなる旅立ちー》の二次創作です。
もしかしたら、永遠にまでを含めた「起承転結」の四話(四章)に構成されるのかもと思い書いてみました。

使用している画像はイメージです。また一部、Ps版「宇宙戦艦ヤマト・ イスカンダルへの追憶」等の設定資料から引用。拾い画を使用しています。