
宇宙戦艦ヤマト2203
ー新たなる航海ー
第二話
ー天の川銀河・大マゼラン銀河 銀河間空間ー
大小合わせて500隻にも及ぶ艦艇が、9ヶ月にもおよぶ大航海の末、この宙域に姿を表した。
「総統。まもなくバラン"ゲシュタムの門"です。」元ガミラス軍参謀次官ガデル・タランが口を開く。
「うむ。」
「ようやく我が庭先に戻って来たな。」エピドラ産の最高級酒を嗜(たし)み、ブリッジのやや後方に玉座に似た指揮官シートに腰を下ろすアベルト・デスラーが、返答した。
と同時にオペレーターによる慌ただしい報告が飛び込む。
「参謀!ゲシュタムの門管制室との通信途絶!」
「我々、ガミラスの艦艇とは異なる艦影を補足!」
「何ッ!!」身を乗り出すガデル。
そのガデルは望遠投影されたメインモニタの画面を、左半分に拡大投影させた。
円に近い艦影が、目視しただけでも数十隻は確認出来た。
ガデルが次の指示を飛ばす寸前、シートを「スッ」と立ち上がったアベルトが命令を下した。
イメージ曲「宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ちより」
「タラン!全艦艇に通達!」
「密集隊形でつづけ!」
「我が庭先に侵入する輩を排除する!」
間髪入れずにガデルは指示を飛ばし、戦闘体制を整わせた。
「全艦、第一級戦闘配置!」
「我が戦闘空母は第一、第二主砲、0.3秒間隔連射スタンバイ!」
「続いて戦闘甲板展開!」
「両舷4連装短ミサイル発射管、開け!」
「ゲシュタムシールド弾、装填!」
「第一主砲発射と同時に発射せよ!」
「全艦砲撃開始ッ!!」
逆V字に連なる500もの艦艇は、まるで獲物を捉え、猟場へ追い込む"鯱"の群れのようだ。
アベルト座乗の戦闘空母から撃ち放たれた、第一主砲の真一門に伸びる火線を合図に各艦艇から撃ち放たれる数百以上もの閃光。
瞬く間に夜空に花咲、花火のように輝かしい大輪の花を咲かせては、消えてゆく。
「……参謀!」
「一隻、砲火をくぐり抜け、突っ込んで来ます!」
「……あれは」
「あれは我が同胞のザルツ艦!!」
「ザルツ艦一隻、抜けて来ますッ!!」
「何だと!?ザルツが!」うろたえるガデル。
そんなガデルを他所にオペレーターからは間髪入れずに報告が飛び込んだ。
「ザルツ艦から映像通信!」
「強制介入されてます!」
「映像、メインモニタに!」
メインモニタに映し出された若きザルツの戦士。
その若きザルツの戦士は、こう告げた。
「我々はザルツ解放軍!」
「最早、ガミラスに忠誠は無いッ!!」
「我々には暗黒星団帝国がバックアップしてくれる!」
「イスカンダルを手土産に真の独立を!!」
ガデルの顔色が焦りに変わる。
「かっ!回避だ!」
「回頭、右舵90……いや、120度!」
「回頭!間に合いません!」
「ぶつかるッ!!」右往左往するブリッジオペレーターたち。
「撃ち墜とせ!」
「弾幕を張り続けろ!!」
「ザルツ艦!!強化型帯磁性特殊加工ミゴウェザー・ハイコーティングを施していると思われます!」
「ビームが弾かれてます!」
そんな最中(さなか)、一機の艦載機が戦闘空母の撃ち放つ弾幕とザルツ艦からの砲撃をすり抜けてゆく。
「ザルツ万歳ッ!!」
「グロロロローーーッ!!」深紅のツヴァルケの機銃が炸裂する。
全弾10000発の機銃弾が撃ち込まれ、ザルツ艦のブリッジは、そこにブリッジが有ったのかを思わせる程、形は残っていなかった。
「昔らか云うでしょ!?ビームが駄目なら実体弾ってね。」
アベルト座乗の戦闘空母のブリッジを霞め、深紅のツヴァルケが飛翔してゆく。

「あれは…」
「あの深紅のカラーリングにバタフライのエンブレム。」
「あれはディッツ提督の……いえ、メルダ大尉の機体(ツヴァルケ)。」ザルツ艦、轟沈に安堵の表情を覗かせたガデルはため息混じりに呟いた。
「ガデル参謀。何をしている?」
「ゲシュタムの門へ突入を。」
「突入と同時にハイパードライブを。」
「総統!お言葉ですが、亜空間内でハイパードライブを使えるのは、この戦闘空母と僅か数十隻余り。」
「残りの艦艇が付いて来れません。」
「タラン君。私はゲシュタムの門へ突入。突入と同時にハイパードライブと云ったのだよ。」
「ザルツの若者が云った言葉を忘れたかね!?」
「いえ……。」
「ハッ。ザーベルク!」ガデルは背筋を「ピン。」と伸ばし、右手を胸の高さに水平に上げ、肘から上を90度二曲げ、返答した。
「ガデル参謀。付いて来れない艦艇の一部と、あのツヴァルケを地球へ向かわせろ。」
「イスカンダルの危機を地球に……古代にも知らせるんだ。」
「残りはこのゲシュタムの門を死守せよ。」右拳を握り、黒々としたマントを翻したアベルトは眼前のゲシュタムの門を見上げた。
◆◆◆◆
ー太陽系最外縁部ー
「相原通信長。間違いないのだな?」
「はい。確認しました。間違いなくデスラー総統からのダイレクト通信です。」
その返答に古代は胸の前で腕を組、瞳を閉じた。
「艦長。行こうイスカンダルへ。」
そんな古代に一番最初に声を掛けたのは、航海長の島であった。
「イスカンダルには助けられた恩がある。行くべきだ。」
古代はまだ、瞳を開けない。
とその時であった。
地球連邦政府:藤堂長官からの映像通信が入った。
メインモニタに映し出された藤堂に軍式の敬礼で挨拶を交わした古代。
その古代はこう告げられた。
「古代艦長。連邦政府及び軍からの命令を伝える。」
「ただちに宇宙戦艦ヤマトは、現宙域を離脱、イスカンダルへ抜錨せよ。」
古代は了承し、改めて全艦に指示を飛ばした。
「現時点をもってヤマトは、テスト航海を終了とする。」
「これより、新たな命令に移行する。」
「ヤマトはイスカンダルへ向け抜錨する。」
「抜錨と同時に実戦に入る!」
「総員。第一級戦闘配置へシフト。」
「ヤマト抜錨!」
シフトが第一級戦闘配置となり、医療室で佐渡艦医のサポートをしていた森 雪は第一艦橋へと上がり、代わりに星名百合亜(旧姓:岬 百合亜)が佐渡艦医のサポートへ着いた。
「ワープ準備!目標、バラン星宙域!」古代の命令が下された。
航法システムのメカニカル音が、静かな第一艦橋内に響き渡る。
「ワープ3秒前!」航海長:島のカウントダウンとメカニカル音が、交差する。
「……1・ワープ!」
空間が「グニャリ」と歪むと白銀の光がヤマトを包み、点から点へ瞬間移動するかの如く、ヤマトは宇宙空間から消え、蒼白い残像が一瞬残った。
◆◆◆◆

「ほう。あれがヤマトか。」
「しかし、何と速いワープなのだ。」
スーパーステルスを纏(まと)う暗黒星団帝国銀河方面遠征部隊:先見艦隊帰艦グロリアスに座乗するアルフォンは呟くように口を開いた。
「閣下。我々も追いますか?」
「いや、放っておけ。いずれ手合わせする時が来るだろう。」
「デザートは食後の楽しみだ。艦長。」
「それよりは、あのヤマトの母星と周辺の星々の調査が優先だ。」

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つづく。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。