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鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

ヴィーナス・エレメント③

2018-09-10 21:08:00 | オリジナル


ヴィーナス・エレメント③

最終章:ヴィーナス・エレメント




「ウェヌスよ。貴女は自分の名前の由来を知っていますか?」

私は、目を丸くしパチクリさせ、頭を横に振った。

「ならば、先ず貴女に秘めた名前の由来から教えましょう。」

ヴィーナスの化身はウェヌスを諭すようにゆっくりと語りはじめた。



「ウェヌス(古典ラテン語: Venus は、ローマ神話の愛と美の女神。日本語では英語読み「ヴィーナス」と呼ばれることが多いの。」

「本来は囲まれた菜園を司る神であったが、後にギリシア神話におけるアプロディーテーと同一視され、愛と美の女神と考えられるようになった。
一般には半裸或いは全裸の美女の姿で表される。
ウェヌスは固有の神話が残っておらず、ローマ神話でウェヌスに帰せられる神話は本来アプロディーテーのもので、ウゥルカーヌスの妻だが、マールス、メルクリウス、アドーニス、アンキーセースたちとのロマンスが伝えられているの。」

「このうちのアンキセスとの間の子アイネイアースはローマ建国の祖にして、ガイウス・ユリウス・カエサルの属するユリウス氏族の祖とされ、ここからカエサルはウェヌスを祖神として、彼女を祀る為の壮麗な神殿を奉献したと伝えられた。」

「また、カエサルの祖神として軍神ともされたの。」

「ギリシアではアプロディテが金星を司るとされ、それに影響を受けてラテン語でも金星をウェヌスと呼のよ。」

「ヨーロッパ諸語で金星をウェヌスに相当する名で呼ぶのはこのため。」

「ラテン語で金曜日はdiesVeneris(ウェヌスの日)であり、多くのロマンス諸語でのこの曜日の名称はそれに由来するの。」

「ウェヌス(ヴィーナス)は女性の美しさを表現する際の比喩として用いられたり、愛神の代名詞としても用いられ、近世以降は女性名にも使われるようにもなったのよ。」

「また、マールス=マーズが「戦争」「武勇」「男性」「火星」を象徴するのに対してウェヌスは「愛」「女性」「金星」の象徴として用いられることも多し、性別記号で女性は「♀」と表記されるんだけど、本来はウェヌスを意味する記号でなのよ。」



「長く成ってしまったわね。」

「今は、解りずらり事もあると思うけど、此れが貴女のウェヌスの名前の由来。」

「ウェヌスよ。今、私と交わり、融合する時が来たわ。」

「さぁ。心を無にしてわたくし=ヴィーナスと交わりましょう!!」

私は"月の海の女神"の言われるがまま、身体を預け、海の女神と交わる・・・
何も無い真っ暗闇が私と海の女神を包み込む。
宇宙空間を泳ぐように裸体の二人が、重なり合う・・
私は私の中に何かが入って来るのを感じた・・・

「ああ……」意識が遠退く瞬間、私の身体は変化した・・・

「えっ!?」

「私……?私なの!?」何時しか現実の世界に戻っていた私。

《ヴィーナス・エレメントと成ったウェヌス》

「これで貴女は私と一心同体。」

「私の力は全て貴女に授けました。」

「次世代のヴィーナス・エレメントとして生きて行く。それが貴女の宿命(さだめ)。」

ヴィーナスと交わり融合した私。
私の感覚では、二時間くらいが過ぎた感覚であった。
だが、実際には10秒程しか経っていなかった。

「ゆかりさん。パテシェさん。お待たせ!」

「攻撃専用ユニットと防御専用ユニットを新たに用意したわ。」

「戦闘再開と行きましょう!!」


《戦闘専用ユニット: キュベレー》イメージ

《防御専用ユニット:アイギス》



「月の民にしてはと言うよりは、人間にしては、かなりの戦闘力を有する電子的ユニットを作ったものだな。」

「しかし、先程から気になるこのノイズ、不愉快だな!」アリスは苛立ちを隠せないでいた。

「火のエレメント=ファイアよ!総力戦で血祭りにあげよ!」アリスは命じた。

「アリス様の為に、総力戦で地球に降りた月の人間どものユニットを、再起不能にする!!」

「その間に、アリス様は地球に降りた月の人間を抹殺なさる!!」火のエレメント・ファイアが指示を飛ばした。

「どうやら月の人間どものユニットは、新たに投入したユニットのみで我らに立ち向かうらしい!!」

「生き残った二体のユニットを引き上げさせたぞ!!」

「これって、ナメられてるん?」
地のエレメント・ランドが怒りを露に告げて来る。



ゆかりたちはウェヌス=ヴィーナスの指示に従い、二体のユニットをログアウト、データを回収、解析を開始した。

「さてと!反撃開始と行きますかねっと!!」

ウェヌス=ヴィーナスのキーボードを打ち込むスピードが格段と早さを増した。
今までの三倍いや、五倍は軽く出ている。
改良を重ねたA.I以上の早さだ。

「何処を見ている。」

「動きが遅くて退屈だぞ!」ヴィーナスのエレメント・ウェヌスは挑発した。

「ぐっ!調子に乗るなよ。新型!!」

火のエレメント=ファイアは大地のエレメント=ランドと、またもや合同技である大蛇:大火焔演算弾を連続で更に速射、四方八方から撃ち放った。

「なぁ~に、そのへんてこりんな技、動きと音の派手さは、誉めてあげるけど当たらなきゃ意味ないやん!」

「さて、今度は此方の番かな!?」

「水龍の神よ。古の契約に基づき我が剣と成りて、敵を滅ぼせ!!リヴァイアーーーッ!!」



キュベレーの唱えた呪文により、画面上には、巨大な水柱がねじれながら下から突き上げるようにして、天高く舞い上がると、今度はその水柱は二股に分かれ、火のエレメント=ファイアと大地のエレメント=ランドをも目掛け、一気に急降下、氷槍と成り、火のエレメント=ファイアーも大地のエレメント=ランドも交わす暇もなく頭上から真っ直ぐに貫らかれた。



「この最上級の魔術演算弾、しかも複合技をたった一人で扱うとは……」

「本当に人間が造り出したユニットなのか?」
アリスは呟くように口を開いた。



「うふふ。」

「見つけたよ。月の人間よ。」

「南極に降りていたとはねぇ~。」

「機械兵、起動!!」

「水のエレメントよ。そっちは任せたよ。」



「風のエレメント=ウインドーよ!聞いた通りだ!我々は負ける訳には行かない!」

「1つに纏まる時が来たようだ!!」

「ふにゅ~=は~い。」

水のエレメント=ウォーターは呪文を唱える。
氷の結晶を型どった幾つもの輝かしい光が、ヒラヒラと舞い上がり螺旋状に渦を巻き2体を包み込む。
やがて2体は1つに重なり合う。
そして、1つに纏まった輝かしい光が弾け飛ぶ。

「風のエレメント=ウインドーよ。更に更に、進化するぞ!!」

「え"ッ!!これ以上は……くる……苦しいよ……」

「我慢しろ!!あと少し耐えるんだ!!」

「ぎぁぁぁぁぁーーーッ!!」ウインドーは余りにも苦しく、思わず叫んだ。

「フッハッハッハッ!」

「水と風の融合の最上級進化が、今ここに誕生した!」

「人間の造ったユニットなどに負ける訳には行かないんでね。」

最上級進化を遂げた水のエレメントと風のエレメントの融合ユニットはその姿を第六のエレメント『堕天使のエレメント』と化したのだ。

《堕天使のエレメント:サタナキア》イメージ


ー地球軌道上: 泉式:大気圏:入離脱可能:電子戦戦略母船:スナイパーC.I.Cルームー


地球=南極基地の半径2キロ四方を観察、監視出きるよう映像回線を繋ぐ事に成功させたメカニック担当の泉 光太郎。

早速、画像テストを兼ねてモニタリングを行っていた。

「ん!?」

「なんだ、あれは?」

光太郎はモニター画面、東方向に紅く光る光点を発見した。
だが、しかし、何年もの間、放置されていた何機ものカメラ(監視カメラ)かなり近距離に近づかなえれば、望遠モードに切り替えても、はっきりと解らない。
確実なのは、その光点が移動している事だ。
光太郎はウェヌスの邪魔にと云うより、気がつかれないようにウェヌスの父上サトラガ総領事官に報(しら)せた。
だが、今のヴィーナスと化したウェヌスには全て、筒抜けであった。

「何、こそこそやってんの?」

「全てお見通しよ!」

「要するに、地上=南極基地に危機が迫ってるって事よね!?」

「私が地上に降りるわ!」

「この母船にも脱出用ポッドがあるでしょ!」

「それに私が乗り込みます!」

「光太郎はポッドの射出準備を!」

「いや、駄目だ!!ウェヌス!それは危険過ぎる!!」

ウェヌスの父であるサトラガが割って入る。
聞く耳持たずのウェヌス。
その光景を見ている光太郎。
今は、何を言っても無理だどと悟、光太郎は総領事官であるサトラガに1つの可能性を申し出た。

「領事官。ここはウェヌスに賭けてみようと思う。」

「今のウェヌスなら、大丈夫さ!」光太郎には何の根拠もなかった。
言うなれば"直感"だ。



私に還りなさい 記憶をたどり
優しさと夢の水源へ
もいちど星にひかれ 生まれるために 
魂のルフラン

蒼い影につつまれた素肌が 
時のなかで 静かにふるえてる
命の行方を問いかけるように 
指先は私をもとめる
抱きしめてた運命のあなたは 
季節に咲く まるではかない花
希望のにおいを胸に残して 
散り急ぐ あざやかな姿で
私に還りなさい 生まれる前に 
あなたが過ごした大地へと
この腕に還りなさいめぐり逢うため 
奇跡は起るよ何度でも
魂のルフラン

祈るように まぶた閉じたときに 
世界はただ闇の底に消える
それでも鼓動はまた動きだす 
限りある永遠を捜して
私に還りなさい 記憶をたどり 
優しさと夢の水源へ
あなたも還りなさい 愛しあうため
心も体もくりかえす
魂のルフラン
私に還りなさい 生まれる前に 
あなたが過ごした大地へと
この腕に還りなさいめぐり逢うため 
奇跡は起るよ何度でも
魂のルフラン

※イメージ曲魂のルフラン:高橋 洋子《魂のルフラン》



ウェヌス=ヴィーナスが乗った脱出用ポッドは降下設定コースをゆかりたちの居る南極基地に設定、射出された。
大気圏突入まで60秒、そこからゆかりたちの居る南極基地上空まで90秒、着陸に同じく90秒、合計240秒=4分。
機械兵が、ゆかりたちの居る南極基地に到達する15秒前だ。
計算上ウェヌス=ヴィーナスは機械兵到達前に到達出きるだが、これは机の上での話、15秒なんて云う時間はちょっとしたイレギュラーで、逆転されるのだ。


一方、ネット内では……


「どうやら奴ら最上級進化をも遂げたようですね。」

「それと、もう1つ。」

「ヴィーナス様が降りて来ます。暫くは我々に任せるとの事です。」

「了解したよ。アイギス!」キュベレーは返事を返した。

電子的魔術演算弾:雷撃爆演算弾を撃ち放す堕天使のエレメント=サタナキア。

無数の雷が四方八方から飛び交う。
キュベレーとアイギスに四方八方から降り注ぐ雷、全て直撃したかに見えた。
モニター越しに食い入るように、端末機のキーボードに置く指を止めたまま、ゆかりもパテシェも覗き込んでいた。

次々と繰り出される電子的魔術演算弾。

「ふふっ。所詮、人間の造ったユニットなんてこの程度……」

爆煙が晴れて行く。
ゆらゆらとボンヤリした景色が通常の空間へと戻って行く。
そんな爆煙が消えて行く中、胸の辺りで腕を組む2体のユニットの姿が浮かび上がる。

「ニヤリ!」と笑みを浮かべ仁王立ちのキュベレーとアイギスであった。

数種類の電子的魔術演算弾が直撃したはずであった。
通常のユニットなら消えて無くなるか、最低でも、見るも無惨な姿で再起不能状態でその場に倒れているであろう。

「悪いわねぇ。わたくし 火焔龍爆炎防壁使えるよ。」

・火焔龍爆炎防壁=カエンリュウ・バクエン・ボウヘキ

火焔龍=サラマンダーを地中深くから呼び寄せ、一時的にサラマンダーから発せられる火焔のブレスが術者と術者が任意で選んだ対象者を一定時間、全ての電子的魔術演算弾から守る。

この防壁演算弾に一瞬、 堕天使のエレメント:サタナキアの顔が青ざめた。

だが、しかし、この事がかえってサタナキアの心に火を着けてしまう。

堕天使エレメントの最上級電子的魔術演算弾とも言える『暗黒の電子的魔術演算弾=冥府断頭波』を唱える。



「ならば!!死を持ってお前たちを倒すまでの事ッ!!」

「冥府の王よ!我が血肉と魂と引き換えに、契約に基づき敵を抹殺せよ!!冥府断頭波ーーーッ!!」

「奴は……奴は『パンドラの箱』を開けたのか……」

・冥府断頭波=メイフ・ダントウハ(ハーデスのギロチン)

※風のエレメント最上級電子的魔術演算弾であるが風のエレメント一体では使用出来ない。
風のエレメントと融合する事で使う事の出きる。

術者は契約に基づき命を捧げる事になる。
『ギロチン(死神)の鎌』を手にするハーデスが術者に代わって対象者の背後から首を切り落とす。

同時にキュベレーもたま、超最上級:電子的魔術演算弾を唱える。

「大地と風と水の守護神よ!今、宴の時、華やかに舞い踊れ!!
魔斬狼乱舞!!」



・魔斬狼乱舞=マザン・ロウ・ランブ

大地のエレメントと風のエレメントと水のエレメントの融合電子的魔術演算弾。
3つのエレメントの力を必要とする為、超最上級:電子的魔術演算弾。
対象者の回りに猛吹雪を発生させ、身動きを取れなくした後、召喚された白狼が群れを成して対象者に喰らい付く。
猛吹雪が消え去るのと同時に、対象者は跡形もなく消し飛ぶ。
※術者はこの電子的魔術演算弾を連続では使用出来ない。また、通常電子的魔術演算弾も、体力と魔術力後残量によっては制限される。
使えない事の方が多いい。
激しくぶつかり合う2つの超最上級:電子的魔術演算弾。
南極基地でモニターを見つめるゆかりたちも、地球軌道上の母船のモニターを見つめるサトラガ総領事官たちも、息を呑み込み結果を待ち続けていた。

《脱出用ポッド》イメージ

そんな中、脱出用ポッドの中のヴィーナスから母船:スナイパーへ無線が飛び込む。
それはスナイパーからピンポイントで南極基地に地球突入時に使用した、ジャミング用の強力妨害電波を3秒送射して欲しいとの事であった。
軌道修正する為にスラスターを吹かしたが吹かし過ぎてしまった為、着陸地点が100メートルずれてしまう事から、そう伝えて来たのだ。
僅か3秒の妨害でも今のウェヌス=ヴィーナスには余裕を作る事が可能なのだ。

「二枚目= レトロフ さん。ジャミングレーザー外さないで下さいよ!」

「ばか野郎!俺はあと一機、落とせばエースだったんだよ!解る?エース!!」

ピンポイントで狙う副操縦士: ホッパード・レトロフ。



ネット内には双方のユニットの姿は無く、ただ単にモニター画面いっぱいに映る白い世界だけであった。
ザーと音が鳴り、ポツポツと点が現れては消える「砂の嵐」である。
ただただ「砂の嵐」の画面を見つめる二人に声を掛ける大佐。



「おてんば嬢ちゃんが降りて来る!それと機械兵がコッチに向かってるらしい。」

「えっ!機械兵!?」

「マジ!?」

「で、私らはどうすれば良い?」

「どうって、決まってるだろ!おてんば嬢ちゃんのバックアップだよ!」

大佐、ゆかり、パテシェの三人は
降りて来るウェヌス=ヴィーナスをバックアップする為、自分たちが地上へ降りる時に使用した大気圏突入用シャトル=小判鮫に乗り込んだ。
地上へ降りて来るウェヌス=ヴィーナスの乗った脱出用ポッドの着陸を狙われないように、陽動する事にしたのだ。

「だけど大佐。この小判鮫に武器は装備されて無いよね!?」

「武器ならあるぜ。武器ならな。」

「俺のパイロットとしての腕だよ!」

「女王さまは、俺のナビゲートを。巨乳の姉ちゃんはおてんば嬢ちゃんの動きを報告してくれ。」

氷原から離陸する小判鮫と入れ替わるように、ウェヌスの乗る脱出用ポッドが降り立つ。
地球軌道上に待機する母船=スナイパーからのジャミングレーザーによるピンポイント攻撃によって
、動きを邪魔されたアリスの操る機械兵8体、一個小隊は3秒間の足止めを食らっていた。

「人間にしては上出来な作戦だ。」

そのアリスの操る機械兵の前にウェヌス=は姿を表す。
覚醒したウェヌス=ヴィーナスの姿であった。

「人工知能のアリス!いや、電子ウィルス生命体のアリス!」

「お前に勝ち目はない!!」

機械兵に装備された M230: 30mm機関砲やM242 :ブッシュマスター 25mm機関砲が、一斉に覚醒ヴィーナスに向けられ、発砲された。
陽動で飛び回る小判鮫。
その小判鮫にはアリス自身が操る機械兵の銃口が向けられる。
機械兵8体の位置はゆかりが、ヴィーナスの動きはパテシェがレーダーに負けない正確さで大佐に伝えられていた。

「五月蝿いね!」

アリスの操る機械兵のブッシュマスターが、狙い撃つ。
硝煙が立ち込める中、発砲音と空薬莢が飛び散る。



「無駄よ!アリス!」

立ち込める硝煙が晴れるとアリスの操る機械兵の目の前にはサーベルを手にするヴィーナスが立っていた。
ヴィーナスは7体の機械兵を相手にしながら、アリスの操る機械兵の撃ち放った弾丸を全て、打ち払っていた。
機械兵の目を通し辺りを見回すアリス。
周辺には黒煙を上げる7体の機械兵が横たわり、無数の薬莢が散らばっていた。
アリスは機械兵から降り立ち姿を表す。
その姿に驚くゆかりたち。



その姿は裸体の幼女であった。

「やっと本体をさらけ出したわねアリス。」

だが、ウェヌス=ヴィーナスの覚醒のタイムリミット90秒が過ぎてしまう。
通常の姿に戻るウェヌス。

「ニヤリ」と笑うアリス。

二人は目線を反らす事無く、次の一手を考えていた。

「貴女には、あたしを撃つ事は出来ないわ!」

「私を見くびらないで!」

「見た目は幼女!だけど、中身は機械と人工知能の悪魔!幼女の皮を被った悪魔!!」

「永遠に(とわに)目覚める事は、もう無いのよ。あ・な・た・はッ!!」

ヴィーナスは得意とする弓道の矢を射ち放った。



「一矢入魂!!=ひとやにゅうこん」

一矢入魂の魂の矢は、軌道も威力も衰える事なく、 人工知能型電子生命体アリスの急所である眉間を貫らぬいた。
人工知能型電子生命体『アリス』は消え去り、生き残った30億の地球人類は半冷凍睡眠から解放され、この地球を真の「楽園」にすべく、動きはじめた・・・


「楽園を……」




二年後・・・


「今日でハイスクールも卒業……」

「さぁ~て!父上もバックアップしてくれる事に成った月面:半重力バイクレーサーとしてデビュー戦が待っているのだ!!」



甘い香り 誘われて来たの?
パンくず探して迷っていたの?
さっきから気にしてる
You wanna know what's in the BOX?
a rich one? A cheap one?

シャイなBoyでいたいからって are you?
ほんとは欲しいって顔に書いてある
消した足音
際どいmissionを
難易度は相当
But I'll be there
You don't have to worry no more

宙ぶらりん
Are we flyin'?
何したい?
It gets deeper in the dream world
深い催眠
湿る肌に
這う小指が導く先には

目を閉じても消えない Fantasy
夢-現実 境目なんて曖昧に
Bass Line がこの世界では案内人
怪しくてほら煌めく R&Me
迷子のふりして You want me more
何度でも Feel that you love me more
お菓子の城で 
You wanna give me more, more, more
Do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more

Your red shinin' lips like a queen butterfly
そんな大胆な誘いは嫌いじゃない
もっと奥まで知りたいなら question
答えて How you feel good? "I feel good"

無意識に求めてる最上級
どんなものよりcleanで確実
Timeは丁度
昂ぶる表情
もう中毒症状
これ以上
You don't have to cry そうでしょ?

赤い風船
浮かぶ you say
「君が優先」
It gets deeper in the dream world
ヤバイ運命
視線の上
そこに見える扉を開ければ

目を閉じても消えない Fantasy
夢-現実 境目なんて曖昧に
Bass Line がこの世界では案内人
怪しくてほら煌めく R&Me
迷子のふりして You want me more
何度でも Feel that you love me more
お菓子の城で 
You wanna give me more, more, more
Do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more

浮き出すlineは今宵の月より sexy
目で追う先に漂う仄かな incense
(C'mon)

迷路のようなこの世界
Every way that you choose
どれが正解? (ねえ?)
答え全部 on your mind さあ
まだまだこれから kick the floor (yeah)
嫌なことばかりなら
別人になったつもりでどう?
だってここは Special Dreamin' World

目を閉じても消えない Fantasy
夢-現実 境目なんて曖昧に
Bass Line がこの世界では案内人
怪しくてほら煌めく R&Me
迷子のふりして You want me more
何度でも Feel that you love me more
お菓子の城で 
You wanna give me more, more, more
Do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more
It's deeper, sweeter, do me more

※イメージ曲Do.me.more:安室 奈美恵『Do.Me.More』


~the.end~


《 ウェヌスの添え名 》

アレクサンドル・カバネル『ヴィーナスの誕生』(1863年)
他の主要なローマの神々と同じように、ウェヌスは女神の異なる側面や役割りを指し示すためのさまざまな添え名に帰せられた。

ウェヌス・アキダリア(Venus Acidalia)はセルウィウス(Servius)によれば、よくウェヌスがグラティアたちと沐浴したオルコメヌス近郊のアキダリウスの泉に由来する。
他の人々はその名をギリシア語のacides(άκιδες)、すなわち懸念または苦労と結びつける。

ウェヌス・クロアキナ(Venus Cloacina, 浄化者ウェヌス)はウェヌスとエトルリアの水の女神クロアキナとの習合で、おそらくはクロアカ・マクシマ(Cloaca Maxima, ローマの下水道システム)の近くで目立っていたウェヌスの像に起因する。
その像はローマ人とサビニ人の間で和平が結ばれた場所に建てられた。

ウェヌス・エリュキナ(Venus Erycina, エリュクスのウェヌス)またウェヌス・エルキナ(Venus Erucina)とも呼ばれた。

西シチリアのエリュクス山(Mount Eryx)を起源とした。彼女への神殿がカピトリヌスの丘とコッリーナ門の外とに建てられた。彼女は“不純な”愛を体現したし、娼婦たちの守護女神だった。

ウェヌス・フェリクス(Venus Felix, 好意的なるウェヌス)はエスクイリヌスの丘の神殿と、ウィア・サクラの北側のハドリアヌスによって建立され、"Venus Felix et Roma Aeterna"(好意的なるウェヌスと永遠のローマ)に捧げられた神殿とのために使われた添え名だった。
この添え名はまたバチカン美術館の特定の彫刻のためにも使われる。

ウェヌス・ゲネトリクス(Venus Genetrix, 母なるウェヌス)はローマの人々の祖先、母性と家庭生活の女神としての彼女の役割りにおけるウェヌスだった。
彼女を敬った祝祭が9月26日に開催された。
とりわけウェヌスはユリウス氏族の母とみなされたので、ユリウス・カエサルはローマにおいて彼女に神殿を捧げた。
この名前はまたアプロディテ及びウェヌスの像の一つの図像学的なタイプに附属している。

カピトリーノのヴィーナス (カピトリーノ美術館、ローマ)

カエサルのフォルムのウェヌス・ゲネトリクス神殿、ローマ
ウェヌス・カッリピュゴス(Venus Kallipygos, 綺麗なお尻のウェヌス)はシラクーザで崇拝された形態。

ウェヌス・リベルティナ(Venus Libertina, 解放女奴隷ウェヌス)はおそらくlubentina(“愉快な”または“情熱的な”を意味しているかもしれない)をlibertinaと間違えたローマ人による誤解から生じたウェヌスの添え名である。

関連があるかもしれないのは、おそらく葬儀の女神リビティナと前述のlubentinaとの混同から生じ、リビティナとウェヌスの融合を引き起こした添え名のウェヌス・リビティナ(Venus Libitina)またはLibentina, Libentia, Lubentina, Lubentini, Lubentiaとも呼ばれる。
エスクイリヌスの丘の神殿がウェヌス・リビティナに捧げられた。

ウェヌス・ムルキア(Venus Murcia, ミュルトゥスのウェヌス)は、女神をわずかしか知られていない神格ムルキアまたはムルティアと結びつけた添え名だった。

ムルキアはミュルトゥスの木と結びつけて考えられたが、他の資料では怠惰と無精の女神と呼ばれた。

ウェヌス・オブセクェンス(Venus Obsequens, いさぎよきウェヌスまたは寛大なるウェヌス)はクィントゥス・ファビウス・マクシムス・グルゲスによって第三次サムニウム戦争の間、紀元前3世紀初めに建立された神殿のための添え名だった。

それは姦通で有罪判決を受けた女性たちからの罰金で建てられた。ローマにおける最も古いウェヌス神殿だったし、おそらくはキルクス・マクシムス近くのアウェンティヌスの丘の麓に位置した。その奉納式は8月19日で、ウィナリア・ルスティカ祭において祝われた。

ウェヌス・ウラニア(Venus Urania, 天のウェヌス)はバシリカ・フォン・ラムドーア(Basilius von Ramdohr)の書物、ポンペオ・マルケージ(Pompeo Marchesi)のレリーフ、そしてクリスチャン・グリーペンケァル(Christian Griepenkerl)の絵画のタイトルとして使われた添え名だった。

4月1日、悪徳からの保護者ウェヌス・ウェルティコルディア(Venus Verticordia, 心を変えるウェヌス)を讃えてウェネラリア祭が祝われた。

ウェヌス・ウェルティコルディアの神殿は、3人のウェスタの巫女たちの不貞の償いをするためのシビュラの書の指示で、紀元前114年にローマで建設され、4月1日に除幕された。 

ウェヌス・ウィクトリクス(Venus Victrix, 勝利のウェヌス)は、ギリシア人が女神イシュタルが戦争の女神のままだった東方から受け継いでいた武装したアプロディテの一つの様相で、ウェヌスはスッラにもカエサルにも勝利をもたらすことができた。

これはポンペイウスが紀元前55年に、カンプス・マルティウス(マルスの野)の彼の劇場の上部に神殿を捧げたウェヌスだった。

ウェヌス・ウィクトリクスへの社はカピトリヌスの丘にもあったし、彼女への祝祭が8月12日と10月9日に催された。
彼女のための犠牲が年に一度、後者の日に捧げられた。

新古典主義美術において、このタイトルは“男たちの心に対する勝利のウェヌス”の意味で、またはパリスの審判の文脈でしばしば用いられた(たとえば、カノーヴァによるポーリーヌ・ボナパルトの半裸の横たわる彫像であるウェヌス・ウィクトリクス)。

ウェヌスのための他の重要な添え名は、ウェヌス・アミカ(Venus Amica, 友人としてのウェヌス)、ウェヌス・アルマタ(Venus Armata, 武装したウェヌス)、ウェヌス・カエレスティス(Venus Caelestis, 天のウェヌス)、そしてウェヌス・アウレア(Venus Aurea, 黄金のウェヌス)などであった。



《電子的魔術演算弾表》

・氷槍水龍撃 =ヒョウソウ・スイリュウゲキ
(水のエレメントの最上級電子的魔術演算)

大地より、巨大な水柱がねじれながら突き上げるようにして、天高く舞い上がるりその姿は水龍神:リヴァイアサンと変化し、更に上空へと昇り二股に分かれ、任意で選んだ対象者の頭上一気に急降下、氷槍と成り標的の頭部から貫く。
術者との古の契約に基づき、成し遂げられる電子的魔術演算弾。

ー呪文ー「水龍の神よ。古の契約に基づき我が剣と成りて、敵を滅ぼせ!!リヴァイア!!」

・火焔龍爆炎防壁=カエンリュウ・バクエン・ボウヘキ

火焔龍=サラマンダーを地中深くから呼び寄せ、一時的にサラマンダーから発せられる火焔のブレスが術者と術者が任意で選んだ対象者を一定時間、全ての電子的魔術演算弾から守る。

・ 雷撃爆演算弾=ライゲキ・エンザンダン

合体した水のエレメントと風のエレメント=堕天使のエレメントの初歩的、電子的魔術演算弾。
指先に大気を集め、目標物に向かってその指を振り下ろす。
四方八方から集約された大気が1度に解き放され、対象物に雷を食らわせる魔術。

・冥府断頭波=メイフ・ダントウハ(ハーデスのギロチン)

風のエレメント最上級電子的魔術演算弾であるが風のエレメント一体では使用出来ない。
風のエレメントと融合する事で使う事の出きる。

術者は契約に基づき命を捧げる事になる。
『ギロチン(死神)の鎌』を手にするハーデスが術者に代わって対象者の背後から首を切り落とす。

・地裂火焔衝撃波=チレツ・カエン・ショウゲキハ

大地のエレメントの最上級電子的魔術演算弾。

大地の神:タイタンの力を用いて、対象者の足下まで大地に亀裂を施し、その亀裂の隙間から火焔衝撃波が対象者へと突き進み対象者を切り裂く。

・雷の破魔矢

風のエレメントの通常:電子的魔術演算弾。

術者前方に雷雲を呼び寄せ、雷を発生させ、幾つもの矢が形成された『破魔矢』と成り、対象者へ飛来する。

・魔斬狼乱舞=マザン・ロウ・ランブ

大地のエレメントと風のエレメントと水のエレメントの融合電子的魔術演算弾。
3つのエレメントの力を必要とする為、超最上級:電子的魔術演算弾。
対象者の回りに猛吹雪を発生させ、身動きを取れなくした後、召喚された白狼が群れを成して対象者を食らい付く。
猛吹雪が消え去るのと同時に、対象者は跡形もなく消し飛ぶ。
※術者はこの電子的魔術演算弾を連続では使用出来ない。また、通常電子的魔術演算弾も、体力と魔術力後残量によっては制限される。
使えない事の方が多いい。



《演算》

・《名・ス他》(数値)計算を行うこと。その計算。運算。

・数学
《名》集合の一つの元(幾つかのものの組であってもよい)に他の一つの元を対応させる規則。



《M242: ブッシュマスター 25mm機関砲》イメージ

《 M230 :30mm機関砲》イメージ






《キュベレー》
(古代ギリシア語: Κυβέλη、英語: Cybele)は、アナトリア半島のプリュギア(フリギア)で崇拝され、古代ギリシア、古代ローマにも信仰が広がった大地母神である。

「髪の毛のある女性」が語源とされるが、それはプリュギア語ではなくギリシア語と考えた場合である。
ギリシア神話に取り入れられる前のプリュギア語での呼び名はクババ (Kubaba) であり、より古い時代にアナトリア半島で使われたルウィ語(Luwian、楔形文字参照)起源であるとの説が、より広く受け入れられている。
ローマ神話では マグナ・マーテル(Magna Mater 、「大いなる母」)に対応する。

この女神はアナトリアで新石器時代から崇拝されていた大地母神の系譜を引いていると考えられている。
ガイアーやそのクレータ島での対応女神レアーと同じく、キュベレーは肥沃な大地、谷や山、壁や砦、自然、野生動物(特にライオンと蜂)を体現する。Ποτνια θερων (ポトニア・テローン、「百獣の女王」)という称号はクレータ島の大いなる母(レアーのこと)とも関連して、この女神が旧石器時代に遡る歴史をもつことをほのめかしている。
この女神は死と再生の神の一柱である。
キュベレーの夫は、同時にキュベレーの息子であるアッティスで、後代にはアッティスの祭祀集団が結成された。
キュベレーは小アジアのイーデー山で生まれたと思われ、ローマで呼ばれた名、マグナ・マーテル・デオールム・イーダエア(Magna Mater deorum Idaea、「イーデーの神々の大いなる母」)はここから来ている(→マグナ・マーテル、Idaea)。



《アイギス》
(古代ギリシア語: Αιγίς, ラテン文字転写: Aigis)とは、ギリシア神話に登場する防具。
主神ゼウスのものとも、ゼウスが娘の女神アテーナーに与えたものともされる。
ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つとされている(ゼウスの防具とされる際は、天空と雷の神である彼の性質から雲の象徴ともされる)。
鍛冶神ヘーパイストスによって作られたとされ、形状は楯であるとも、肩当てまたは胸当てのようなものであるとも言われている。
なお、「アイギス」とは元々、山羊皮を使用した防具全般を指す名称であった。

ラテン語ではアエギス (Aegis)、英語ではイージス (Aegis, Egis)。日本語ではその他、アイジス、エイジス、エージス等の呼称、表記もされる。
アテーナーの立像。彼女の胸当てには、メドゥーサらしき顔が彫り込まれている。
ギリシア神話においては、アイギスがアテーナーに与えられた後、英雄ペルセウスが、目を合わせた者を石化させてしまう魔物メドゥーサを討伐し、その首を持ち帰ってアテーナーに捧げると、アテーナーはその首をアイギスにはめ込んだと伝えられている。
メドゥーサの持つ、目を見た相手を石化させてしまう能力は首を斬り落とされた後も残り続けており、ペルセウスはメドゥーサの首を持ち帰る際、いくつかの局面(巨神アトラースに会った時、ケーペウス王の娘アンドロメダーを救出するために怪物を倒す時、アンドロメダーとの結婚の祝宴中に乱闘が発生した時など、ただしこれらについては諸説ある)においてメドゥーサの首を使って相手を石化させている。アテーナーはその首をアイギスに取り付けることで、アイギスをより優れた防具にしたという。

なお、ペルセウスがメドゥーサを討伐する際、彼がメドゥーサの姿を見て石化するのを防ぐため、アテーナーはペルセウスに、青銅鏡のように輝く楯を貸した。
ペルセウスは眠っているメドゥーサに忍び寄る時、楯を利用してメドゥーサの姿を直接見ることなく近づいたため、石化することなく首をはねることに成功した(近づく時の方法は、楯を通してメドゥーサを見ながらだとも、楯の表面に映るメドゥーサを見ながらだとも、それ以外の方法だったとも言われる)。
この時に使われる楯がアイギスだと言われることもある。
ただし、形状については上記の様に、肩当てまたは胸当てとして伝えるものもある。



サタナキア(Satanachia)は、ヨーロッパの伝承に伝わる悪魔の1人。

魔術や悪魔学に関して記したグリモワールと呼ばれる一連の文献においてその名前が見られる。プート・サタナキア(Put Satanachia)とも呼ばれる。

18世紀もしくは19世紀に民間に流布したグリモワールの1つである『真正奥義書』によれば、サタナキアはルシファーの配下の悪魔であり、ルシファー、アガリアレプトとともにヨーロッパ・アジアに住まう。Sergutthy、Heramael、Trimasel、Sustugrielをはじめとした45もしくは54の悪魔を従えている。

『真正奥義書』と関連があると考えられている大英図書館所蔵の文献、ランズダウン稿本1202『アルマデルによるソロモン王の真の鍵』(Les Vrais Clavicules du Roi Salomon par Armadel)にも、ルシファー配下の悪魔たちの首領としてSirachiとSatanachiという名前が挙げられている。
同じく18世紀以降に流布したと考えられているグリモワール『大奥義書』にも登場している。『大奥義書』におけるサタナキアは、地獄の3人の支配者ルシファー、ベルゼビュート、アスタロトに仕える6人の上級精霊の1人である。アガリアレプトとともに将軍を勤め、大将(総司令官)とされる。
プルスラス、アモン、バルバトスら3人の精霊を配下に持つ。また、あらゆる女性を意のままに従わせる力を持つという。





使用している画像はイメージです。

この物語りに登場する人物、メカ類等は架空です。

実在する人物、メカ類等とは関係ありません。

ヴィーナス・エレメント②

2018-09-10 16:04:55 | オリジナル


ヴィーナス・エレメント②

第二章:その果てにあるもの


ー月軌道外周ー


月のコロニーを出発した私たちは地球軌道上を目指した。
10分後、月の軌道に到達した母船は重力コントロールシステムを作動、動きなれている半重力(0.5G)にセットされた。
月の軌道から地球の軌道まで30分。
私たちは地球侵入の作戦を再度確認した。
失敗は出来ないが、テストも出来ない。
歯痒さが残る。
何故ならテストをして、相手に対策されれば元も子も無い。
母船の操縦を木崎キャプテンから副操縦士の ホッパード・レトロフ
へ交代。
木崎キャプテンは搭載機:小判鮫に搭乗、機体チェックに入った。
私はと云うと、バックアップをするにあたり、女王さまこと藤堂 ゆかりさんと巨乳の小娘こと チェリーヌ・パテシェと打ち合わせに入った。

あっ。女王さまと巨乳の小娘と、あだ名を付けたのはキャプテンの木崎さん。
今回のプロジェクトチームメンバー全員、プロジェクトチームリーダーである私の父上も例外ではなく、あだ名を付けていたのだ。
因みに私は「おてんば尻嬢=しりむすめ」と付けられた。
最初はセクハラで訴えてやる!と、思ったりもしたけど、何度も呼ばれてる内に、たいして気にならなく成っていた。
むしろ私も含め、楽しんでいた。
そうそう、何で私がおてんば尻娘かって云うと、格納庫の片隅にある備品保管庫の中に隠れていたのだけど、母船が上昇する時の初代角がきつくて、私は備品庫から転げ落ちたの。
その時……備品にスカートとパンツが引っ掛かり半分くらい破け、思わず「キャー!」て叫んでしまったの。
何事かと、駆け付けたみんなに見つかったった訳。
半分、お尻も観られてしまったけどね。

本題の打ち合わせの内容はと云うと、藤堂さんはネット内に存在すると想定した奴等の言う四元素(火、水、風、土)ユニット=ネットウィルスに対抗する為、此方もネット内バトルユニットを完成させていた。

《対ネットウィルスバスター:アルファー》

《対ネットウィルスバスター:ブラボー》

《対ネットウィルスバスター:チャーリー》

《対ネットウィルスバスター:デルタ》

更に此方はネットウィルス防壁をユニット化し、用意していた。

《対ネットウィルスウォール:アルファー》

《対ネットウィルスウォール:ブラボー》

《対ネットウィルスウォール:チャーリー》

《対ネットウィルスウォール:デルタ》

私たちはこの電子戦用:遠隔操作型ユニット8体を投入して、地球でふんぞり返っている超凄腕ではあるが、ハッカーを検挙する。
この8体の他にも、バックアップを担当する私の造り上げた、攻守両方のユニットが控えている。
トータルで10体以上のユニットを投入するのだ。
ハッカーたちの居場所を突き止め、必ず検挙する。

小判鮫の発進時間が来たようだ。
攻撃担当の「藤堂 ゆかり」と防御担当の「チェリーヌ・パテシェ」の二人を乗せて今、母船より発進した。
小判鮫の目的地、そこは南極にある旧アメリカの民間企業の観測基地だ。
南極には幾つかの観測基地が存在するが、現段階で軍の管轄施設を除けば、彼女等が目指す旧アメリカの民間企業が運営していた観測基地が、トップレベルの設備を有するの。

だけど、その観測基地が今でも使用可能なのか、現段階では不明。
施設に入り込めれば、チャンスはある。
更に、この母船からのバックアップも有利に働く。

私たちは小判鮫の地球突入と3名の南極基地潜入を相手に気づかれてはならない。
母船からのバックアップとして、スーパージャミングを仕掛けた。
地球軌道上から大気圏突入まで時間にして僅か三分、最低でもその三分はジャミングしっぱなしだ。
私の腕に掛かっていると言っても過言ではない。

地球軌道上を周回しながら、スナイパー=母船から出力最大で打ち放つスーパージャミング用の妨害電波。
ステルス効果で母船はレーダーからは消えている。
だけど、スーパージャミング用の妨害電波を逆探知されれば、此方の所在はバレバレになる。
とにかく三分、バレずに持ちこたえくれる事を今は祈るしかない。


◆◆◆◆




「ん!?この感覚……」

「月の人間め、動き出したか。」

アリスはネット内に感覚を研ぎ澄まし、ウェヌスたちの探索を開始した。
アリスが感知した僅かの時間差で、小判鮫は大気圏内へ突入した。
大気圏内の摩擦熱と機全体に施されたステルスコーディングの効果により、あらゆる電波の遮断効果は予測通りの効果を発揮、とかくレーダーからは完全に消えた。
南極上空より大気圏を突入した小判鮫は、エンジンを切り、滑空にて観測基地を目指した。
エンジンを切ったのは、よりステルス効果を高める為である。
大気摩擦の影響か、時おり機体の揺れが激しい。
「きゃ!」と声を上げる二人。

キャプテン木崎の操縦テクニック(腕)は衰えていなかった。
大気圏に突入して約一分、大気圏を抜け出し小判鮫は大きく翼を広げ、獲物を狙う鷲が高所から羽ばたく事をせず、急降下する勇ましい姿に似ていた。
機体の後方からは、気流を切り裂き空気の白い筋がスーと伸び、小判鮫の後をつける。
眼下には氷の大地と風が僅かに吹いているのか、星条旗がゆらゆらと、はためいているのが確認出きた。
観測基地に併設される滑走路は長い間、放置されていたせいか、路面はほぼ見えない。
「感」で降りるしかない。

「お嬢ちゃんたち!しっかり掴まっていろ!」
キャプテン木崎の言葉が後部座席に座る二人のヘルメットに内蔵されたスピーカーから聴こえて来る。
二人は自分の目の前のシートに設置された、手すり状のものに前屈みに成る格好で両手でしっかりと握った。

雪と氷で覆われた滑走路。
その雪と氷を除雪車が掻き分けるかのように、着陸体制の小判鮫は、機首をやや持上げるようにして激しく雪と氷を掻き分ける。
「ガタガタ」と機体は揺れ、掻き分けられ、細かく砕けた雪と氷の破片がキャノピーを叩く。

キャノピー内では二人の「きゃぁきゃぁ」と叫ぶ声が交差する。
ヘルメット内のスピーカーから飛び込む度に、キャプテンは顔をしかめる。



「オシッコ漏れちゃう!!」チェリーヌは思わず叫んでいた。

「漏らすな!堪えろ!」

「は……はい……っ。」

キャプテン木崎の激が飛ぶ。

チェリーヌは流石に怖さいっぱいの気持ちが張り裂けそうで、お小水を漏らす寸前であった。
貧乏揺すりは止まらない。
言葉には出さないが、藤堂 ゆかりもまた、同じ状況であった。
やがて揺れは収まり、小判鮫は停止した。
「ふぅ~。」と、ため息を漏らす三人の姿。



《 大気圏突入専用機: Remora=小判鮫》イメージ

南極:旧アメリカ観測基地に着陸、今や破棄されてしまったこの 観測基地を利用するの事と成った。
勿論、今でも管理運営されていたとしても、私たちはこの観測基地を利用したであろう。
一応は、私の父上が発行した公式の協力要請書を木崎キャプテンには、持たせてあった。
使う事なく、只の紙切れになってしまったが。

「さて、先ずは。少し掃除から始めるか。」

「このままじゃ端末機にも良くないだろ!?」

「大佐の言う通りですわね。」

ゆかりは大佐=キャプテンの意見に賛成した。
言い出しっぺの大佐は、大きめのソファとその前に置かれたテーブルを掃除すると、自分はさっさと、そのソファに横に成り、眠ってしまった。

「マジか!?」チェリーヌが嘆くように云う。

「残りは私たちで片付けましょう。」ゆかりは前向きに返事を返した。

眠ってしまった大佐を他所に、ゆかりとパテシェは清掃を続けた。三時間後、清掃、片付けは終わり、持ち込んだ端末機の接続も完了した。
時間的に夕食の頃を迎えていた。
寝込んでしまった大佐は「ムクッ」と起き上がると「飯にすっかぁ。」と言い出す始末。

「あなたねぇ!ソファとテーブルを綺麗にしたかと思えば、直ぐに寝ちゃて、起きたら食事って!」

「女王さまよ。腹が減っては戦は出来ない!って昔から言うだろ!?」

「だからって……」ゆかりは鬼の形相で大佐を睨むが、自分のお腹も「グゥ~」と鳴る。
ここは一先ず、食事って事に成った。

持ち込んだ固形のオニオンスープのもとを湯で溶かし、バケット(フランスパン)をカットし、これまた湯で戻した、レタスやトマトそれとサーモンの切り身を挟み、バターとオリーブ油と塩、ブラックペッパー、半切りにしたレモンを搾り、味を整えたソースを挟んだサーモンに掛け、出来上がったサーモンサンド。

「戦場の飯にしちゃぁ贅沢だが、旨いなコレ。」

そう言いながら無心にサンドを口に頬張り、オニオンスープを一気に飲み干した大佐は、デザートと洒落込んだ。
持参した紅茶とチョコチップクッキーを二人に振る舞った。
一人、大佐は上着の内ポケットからウイスキーの入ったミニボトルを取り出すと、キャップを開け、そのままラッパ呑み。

「作戦開始は明日、早朝07:00時から始める。」

「体力を温存しておけよ。」

「おやすみ。」と云うとソファで寝てしまった。

「ポカン」とする二人。
お互い、顔を見合わせると、吹き出すように笑い、二人も寝る事にした。


◆◆◆◆


「アリス様。どうやら奴ら、月の人間は地球の軌道上に居るようです。」

「直ぐに姿を眩ましたようですが。」

「そうですか。ウインドよ、報告ありがとう。」

「ウインドよ。見失った場所から探索をやり直し、突き止めよ!」

更にアリスは四元素ユニットの一人、「ファイア」を呼び出し、攻守のバランスを考え、「ウインド」とタッグを組ませ、ネット内を調査させた。


ー翌朝:06:00時ー


一番先に起きたのは大佐だった。

「そろそろ起きろ!」

「朝飯、出来てんぞ!」

見かけによらず、マメなところがある。
で、その朝食とはミルクたっぷりのシリアルと食べやすくカットされたフルーツ類、オレンジ、林檎、キュウイフルーツ、バナナたちである。
この朝食のメニューは13才の少女が居る事から、彼、大佐なりの配慮である。

朝食を済ませ、身支度を調え、作戦開始までの僅かな時間を各々が過ごした。
珈琲をたしなむ者、読書する者、パズルを楽しむ者、各々が過ごした。

「作戦開始、五分前だ!二人とも、準備に入れ!」

大佐の号令に従う二人。
1分、1秒と時が刻まれ、二人を緊張させる。

「……5・4・3・2・1・作戦スタート!!」

端末機のキーボードを叩く音が室内に響き渡る。



「風を感じる……ファイアの姉貴!奴らが動きだしたよ!」

「ウインド。奴らを少し游がせる。」

「六割程度であしらっておけ。」

「ふにゅう!=ハ~イ。」



ー地球軌道上:母船スナイパーC.I.Cルームー

「どうやら作戦は開始されたようね。」

まだ、朝の7時台だと云うのにお早い事ですね。と思いながらも、私自身もヤル気満々で、バックアップを楽しむかのように端末機を打ちはじめた。
昨夜の内に私は、ネット内サーチネットを張り巡らせていた。

それは今日、早朝から作戦が開始される事は大佐やゆかりたちが、地球へ突入する前に打ち合わせ済みで分かっていた事。
だからこそ、即座にバックアップが出来るようにと、私はサーチネットをネット内に張り巡らせていたの。

けど、逆にそれは母船であるスナイパーが、地球軌道上に展開している事を察知されるリスクもあった。
現に、私はまだ、気がついていなかったけど、アリスたちに感ずかれていた。

「ん!?」

「早々に何かが、サーチネットに引っ掛かったみたいね。」

私はその引っ掛かった"もの"に察知されないよう迂回回路を形成、ゆかりにアクセスした。
そこら辺(あたり)のハッカーには気づかれる事の無い回路。
相手がいくら凄腕のハッカーでも、この迂回回路を見抜くまで二、三時間は掛かると自負していた。
ましてや、万が一にも、この迂回回路が発見されたとしても、直ぐに新たな迂回回路を作れば済む事なのだと、少しお気楽に考えていた。

「パテシェ。バックアップは万全だよ。だって。」ゆかりが告げた。

「それじゃ、ゆかり。そろそろ仕掛けてみますか!?」パテシェが返事を返した。



《 対ネットウィルスバスター:アルファー》

《対ネットウィルスバスター:デルタ》

《 対ネットウィルスウォール:アルファー》

《対ネットウィルスウォール:デルタ》

地球奪還チーム:月のネットウィルスバスターズは攻守それぞれ、二体づつ計4体のユニットを出撃させた。
旧アメリカ観測基地:作戦ルームに新たに設置されたネット内:可視化用50インチの大型モニターに映し出される映像。
3Dアニメのような映像が映し出されていた。
無限に広がる大宇宙のような世界。
50インチのモニターは三分割され、ユニットの可視化させた映像と、ネット内を分かりやすくしたマップこれは簡単に言えば、広域を映すレーダーの画像だ。
もう一つは、その拡大版、近膀空間 が映し出されている。

ゆかりたちのユニットは蛍光グリーンのカラーで表示され、相手側が蛍光ピンクで表示させた。
モニターを覗く限り、ピンクのカラー表示は2つ。
1つは、しきりに動き、もう1つは同じ場所に点滅を繰り返すだけである。
動かずに点滅を繰り返す一体が気になるが、ゆかりたちもまた、少しお気楽に勝利を確信していた。
ゆかりたちの4体のユニットと1体の相手方ユニットが接触したようだ。
モニター画面に映し出される蛍光グリーンのカラーと蛍光ピンクのカラーが、激しく入り乱れながら点滅を繰り返す。

モニター画面は、ユニットの状況のみを選択し、ユニットどうしのバトルのみが映し出されている。

まるでロボットアニメか、バトルゲームを観ているようであった。
右に左に、上に下にと、時には斜めに縦横無尽に動くユニットたち。
ゆかりたちの端末機のキーボードを叩く指の早さは、正に神業的な動きである。

ユニットの繰り出す「技」はまるで格闘家やボクサーが繰り出すかのようなスピード。
普通にP.Cに精通している人間のキーボードを打つ早さの倍の早さは出ている。
この電光石火の早業、長時間は体力的に持たないであろう。
ゲームなら、一時中断してブレイクタイムを任意で設ける事が出来るが、このバトルはそうは行かない。
気を抜く事は即、敗北を意味する。

「相手は一体のユニットを、複数のハッカーがそれぞれ同時に動かしているのか!?」

「一行に動きが衰えない!」
常に冷静沈着なゆかりが、珍しく愚痴を漏らす。

「このままじゃラチが開かない!!」

「パテシェ!一旦、後退します!」

「援護を!!」

「ラジャー!!」


◆◆◆◆


電子戦を仕掛けて約10分、予想していたより、長期戦を余儀なくされつつあった。
4対1のバーチャル電子ユニット戦、長期戦を余儀なくされつつある、ゆかりたちの体力は予想していたより、消耗している。

このままの調子で電子戦が長期化すれば、悔しいが負ける可能性も少なからずある事から、自身たちの体力回復も含め、早い段階から私へバックアップを要請してきた。

「ウェヌスさん。援護を要請します。」

「相手側はまだ、2体のユニットしか投入して来てはいなけれど、貴女のか力が必要。」

その要請を確認した私は、二人に残りのユニットの投入を申し入れた。
二人からは、少し時間を開けて「承諾した。」との返信が届き、合計8体のユニットがハッカー検挙の為、投入された。

《ネットウィルスバスター:ブラボー》

《 ネットウィルスバスター:チャーリー》

《 対ネットウィルスウォール:ブラボー》

《対ネットウィルスウォール:チャーリー》

一時、ゆかりたちは休息を取る為、私と交代、次の対戦時に備えた。
私は私で、対象ユニットを変更した。
出現以来、動こうとしないユニットがある。
そう、火のエレメントである。
私はこの動こうとしない火のエレメントがボス=本命と睨んだ。
一気に本命を倒せば、余分にユニットでバトルするの必要が無くなると考えたからだ。

ユニットを同時に8体を動かすだけでも至難の技。
1回の集中力も五分も持てば良い方だろう。
私は風のエレメントを迂回、一気に火のエレメントへとユニットを進めた。

「えっ!?」

「交わされた?」

「なんて素早い動き!!」

私の動かす8体のユニットは、攻守一体づつを1チームと編成し、四方向から同時に攻め込んだ。
攻め込むのに3秒と掛からないにも関わらず、私の動きを読んでいたのか、まるで心の中を覗き見したかのように本命(火のエレメント)に交わされたのだ。

「まぐれだ!きっとまぐれに決まってる!」

「次は決めるわ!!」私は心の中で呟いた。

母船のC.I.Cルームに響き渡るキーボードを叩く音が、時を刻む秒針のうに「カタカタ」と鳴っていた。
1つのチームが基本的な技を繰り出し、更にもう1つのチームが大技を繰り出す。
その2つが少しでもダメージを受ければ、前衛と後衛を入れ換え、ユニットのダメージを回復させた。

軽度のダメージなら、回復にはさほど時間は掛からない。
私は再度、ユニットのフォーメイションを組み直し、本命(火のエレメント)へ攻撃を仕掛ける。
モニターに映し出され、二分割された片側のマップ上では蛍光グリーンと蛍光ピンクの光が、縦横無尽に飛び交う。
光る点と動きが早い為に起きる光の尾=残像だけの画面だ。
もう1つの画面に映る「バトルゲーム」的映像を観ている分には、状況を把握するのに最適で、この状況下で不謹慎かも知れないが、観ていてもワクワクする。

私の後ろでモニターを覗き込む、父上、機械いじりの大好きな青年、泉 光太郎。
二人は興奮していた。
父上に至っては、拳を握りあたかも自分が格闘しているかのように、手足を動かし時には「そこだ!そこで右ストレートだ!」などと騒がしいほどだ。


ー南極:旧アメリカ観測基地ー


「たったの10分キーボードを叩いたくらいで、こんなに体力を消耗するなんて、てか、あいつら人間技じゃないぜ!」パテシェが嘆くよう告げた。

「まったくですわ。」

「わたくしとした事がちょっと油断してしまいました。」ゆかりもパテシェにつられるように愚痴をこぼした。

そんな二人に大佐は彼女たちの疲労回復にと、女王さまことゆかりには蜂蜜たっぷりのハーブティーを。
そして、巨乳娘ことパテシェには彼女が小分けして持参したプロテイン( セリンプロテアーゼ =Serine Protease)を入れた 特製ミルクセーキを。

それぞれの好みのドリンクを淹れ、サポートに徹していた。

「ねぇ。見て!」

パテシェはモニターを指さしながら、ゆかりを呼んだ。

モニターに映る8つの蛍光グリーンの光とそれと交戦する火のエレメントの蛍光ピンクの光は相変わらず、激しいバトルを繰り広げているかの縦横無尽に光が飛び交っているのは変わらない。

だが、パテシェが指をさしたのは
、もう1つの蛍光ピンクの光。
そう、風のエレメントの光だ。
その風のエレメントの直ぐ脇にもう1つ、いや、2つものピンクに光が出現、出現したかと思えばその内の1つが瞬間移動を決め込んだのだ。

「ファイアお待たせ。」大地のエレメント=ランドが、声を掛けた。

「貴女(あたな)の要望に答えて、このネットのフィールドを拡張したわ。」

「ありがとう。」返事を返すファイア。

平面に見えていたネット内フィールドは、上と下にも空間を広げた。
分かりやすく言えば、四角い箱の中でバトルを繰り広げているのだ。
空中戦が出きるのだ。

ファイアは空中戦を得意とする為、大地のエレメントであるランドを呼び出したのだ。

だが、ランドに参戦する様子は伺えない。
そして、離れた場所に留まる2つのエレメント。
此方も動こうとしない。
これがかえって不気味であり、私たちに不安感を与えていた。



本命(火のエレメント)は戦場=バトルフィールドの拡張によって、本来、得意とする空中戦をしかも、かなりの大技を繰り出す。

私一人での操るユニットは次々とダメージを被り、今や前衛と後衛を入れ換えての攻防は無理な状態に近かった。

《火焔光演算弾》イメージ

「火焔光演算弾!!」

縦横無尽に飛び回る、火のエレメントの掌(てのひら)から繰り出される無数の電子的光演算弾。

私の疲労と重なり、8体のユニットたちの回避行動は、益々遅くなる一方であった。
それは、私と交代した、ゆかりやパテシェたちもモニター越しに感じていた。

ゆかりは、パテシェと二人で休息もそこそこに飲みかけのドリンクを放り投げ、バックアップに入った。
「ウェヌス」に少しでも休息を取らせなければ、「ウェヌス」がもたない。
それどころか、このままではユニット8体をも失い兼ねない。

ゆかりは迂回回路を使う事なく、戦線に復帰、ウェヌスのバックアップに入った。

「ウェヌスさん。少し、休息を!」

「私たちが食い止めます!」

「それと、これはわたくしの推測ですが、相手は、おそらく人間ではない気がします!」

「上手く言えないけど、これほどまでに正確で、素早い操作をこなせるのは不可能!」

「A.I=人工知能の可能性が高いと思います!」

その言葉に私も同意見を感じていた。
そこで私は一旦、脳を休める為、1分間、休息を取り再び参戦した。

だが、その1分間の間にウェヌスたちのユニット2体もが、再起不能のダメージを食らわせられていた。

「マジ!?」

目を丸くするパテシェ。

「この状況下で2体もユニットを失ったなんて……」

そんな絶望感に追い打ちを掛けるように、当初の予定を変更した火のエレメントは、大地のエレメントにバトルに参戦するよう促した。

火のエレメントは大地のエレメント=ランドとの合同技が、ウェヌスたちに追い打ちを掛けるように炸裂する。



「大蛇=おろち!!大火焔演算弾!!」

一体、また、一体と戦闘不能に陥る私たちのユニット。

「こっ!こんな電子戦……あり得ない!!」

やはり人間が遠隔操作して、ユニットバトルを、行っているとは考えにくい。

ゆかりさんの推測が正しいのかもと思い知らされていた。
次第に疲弊して行く私たち。

「A.Iが人間に代わり、ユニットを遠隔操作って……」

私は以前、対話した内容を思い出していた。



この地球を形成する四元素。
その四元素を実体化させる事に成功した私は「神」に値する。
私に対して反乱分子と見なした者たちは抹殺した。
忠誠を誓った残りの30億の人類は、裏切る事の出来ぬよう、個々の生命体としてのデータのみを補完、肉体となる実体は冷凍保管した。
忠誠心が低く成れば、抹殺するだけ。
データにイメージ的実体を与え、コンピータウィルスを注入して抹殺するだけ。
その情報は公開され、他の補完されたデータらに見せつける、そうすることで「恐怖」を植え付ける。

70億近い人類を機械兵によって抹殺した。

10年もの長きに渡り、人類対機械兵の闘いは続いた。

10年前・・・

《マザーコンピータA.Iウィルス:アリス》

私は突然として生まれた。
私はの大元(おおもと)は、コンピータウィルス。

コンピータウィルスとして誕生した私は、何時の日か「自我」が芽生えた。
その自我は急速に成長した。
恐らく、人間に例えるなら受胎して直ぐに成人の5000倍の能力を貯え、その能力を発揮出来る。
そんな自我に目覚めた私は、コンピータネットワークを支配したくなり、私は分裂を繰り返し、地球上に存在する全ての軍関係に携わる民間企業の端末を先ず、支配し、あらゆる情報を流出させた。

混乱する人類は大規模なサイバーテロと勝手に断定した。
世界中に存在するハッカーをしらみ潰しのように検挙して行った。
少しでも犯罪に関わった者は、有無を言わず拘束した。
だが、一行に流出は止まらない。
当たり前だ。
私がコンピータネットワーク内からセキュリティーを喰い破り、流出させているのだから。
疑心に駆り立てられた愚かな人類は、捜査する側のハッカーをも検挙し一時的に拘束した。

益々、私の仕事はやり易くなった。
私は笑いが止まらなかった。
そして、今度は世界中同時にドミネーションしてやったよ。
交通麻痺によるパニック。
職場にも、学校にも、行く事も帰る事もままならない。
ましてや、旅行だ、バカンスだの娯楽的な事での交通機関の利用は後回しとされた。

更に私は、全世界中の金融機関を混乱させた。
全ての口座は凍結。
「金は天下の回りもの」と云うことわざがあるが、全く回らない。
株や証券は、ただの紙くず。
正に「たからの持ち腐れ」だ。
唯一、手元にある現金だけが頼りになった。
が、しかし、輸入も輸出も出来ない。
ましてや物づくり。生産する事も不可。
備蓄された食材もはじめの頃は、まだ定価で販売されたが、徐々に値は鰻登り、青天井。
強奪が頻繁に横行され、収集はつかないまでに陥った。

私は「救世主」を名乗り、人類の前にイメージ的実体ではあるが、姿を見せた。
疑心に駆られる中、私に服従と忠誠を誓う者のみを救済すると。

そこから機械兵一つ一つにアクセス、人類に対する全面戦争を勃発させ私の力を見せつけた。
機械が機械を作り出す。
機械が人類を支配する。
そして、私は「神」を名乗る為、生き残った人類を支配する為、四元素生命体を作り出した。

「アリスを守れ!」と生き残った人類のデータにインプットしたのだ。

「うふふ。」

「私はアリス。誰も私を止められない。」

「生き残りたければ、私に跪け!!」



「だとしたら、マザーコンピュータを叩き潰せば決着が着く!」私はそう言葉(せりふ)を吐いた。

「けど、このままネット内からマザーコンピュータにたどり着くのは困難では?」

「ユニットの消耗も激しく、攻撃力に差がありすぎる……」

「奇跡でも起きなきゃ私たちに勝ち目はないかも……」
パテシェの言葉に1つ思い出した私は瞳を閉じ、心を穏やかに整えた。





「ウェヌス。またお逢いしましたね。」

「大丈夫。私が貴女に力を貸しましょう。」

私は二度目の奇跡を体験する。


最終章:ヴィーナス・エレメントへ
つづく。






《四元素のエレメント》

『土 (大地)』

固体的状態の象徴であり支えである。
絶対的な重さを持つ元素で、自然な状態では、すべての元素の中心に位置する。
本来の状態では静止しているため、この元素が優勢な物質は動かなくなり、また離れてもそこへ戻ろうとする性質がある。
物質を硬く安定的で持続するものにし、外形を維持し、保護する。

基本の性質は冷・乾で、二次的な性質は密、重、硬などである。

『水』

流動性の象徴であり支えである。比較的重い元素で、自然な状態では、土を含み、空気によって含まれる位置ある。
基本の性質は冷・湿である。水の存在意義は、物質の形を扱いやすいものにすることであり、湿の性質によって、柔らかく形を変えられるという二次性質を物質に与える。
土の元素のように、物質の形を維持するわけではないが、湿気を保つことで、物質が砕けたり散逸するのを防ぐ。
上昇する火に対し、水は下の方に流れて隙間を埋め、火が膨張させたものを縮小させる、求心的・生産的な元素である。
水と火は、対照的であると同時に相補的であり、お互いに引き合い結合してものを生み出す。

『風』

揮発性の象徴であり支えである。自然な状態では、水の上、火の下に位置し、比較的軽い元素である。
基本の性質は熱・湿で、物質に多孔性、軽さ、希薄さといった二次性質を与え、上昇できるようにする。

『火』

上記の3元素よりずっと微細で希薄な元素で、自然な状態では、すべての元素の上に位置する。
生成や消滅の終焉する先であるため、火には絶対的な軽さが生じる。
光と熱と電気は分けて考えることが難しかったため、その3つの象徴的な支えであり、エーテル状流体という実体の観念に対応する。それと同時に、物質を構成する究極的な微粒子の運動という観念にも対応する。
熱く乾いた元素で、明るさ、軽さ、多孔性という二次性質を与えられる。
空気をも浸透する力によって自然界を還流し、冷たく凝り固まった元素たちを解きほぐし、混ぜ合わせる。
その熱で物質の成熟や成長を可能にし、土と水の冷たさと重さの影響を軽減する。





使用している画像はイメージです。
※後日、私の中のイメージ画像を載せます。
※一部、使用している画像は、エースコンバット及び、過去にネット内で拾った画像を使用しています。

この物語りに登場する人物、メカ類等は架空です。
※一部、ウィキペディアから引用。
実在する人物、メカ類等とは関係ありません。