星港、香港、そして上海流れ旅

シンガポールから香港へ、そして上海で働くことになったオジさんエンジニアの日常

「龍柱」上海の伝説

2012年02月28日 | 日記
上海にはパワースポットが何処かに無いかWebを探してみた。
そして見つけたのが「龍柱」。パワースポットではないけど、
この下に龍の死体が眠っているらしいのだ。

昔々といってもホンの10年位前の話。
世界的大都市を目指す上海にとって、高速道路交通網の整備は急務であった。
そしてその形は「申」の形をデザインしていたという。

この形の一番重要な場所はどこかと言えば、当然の事ながらその中心。
複数の高速道路が一斉に交差する場所になる。
道路の起結点であるこの場所の工事に掛かったところ、不思議なことが起きた。
何度柱を打ち込んでも、すぐに倒れてしまうのだ。
当時最高の土木建築技術をもってしても、柱は安定しない。
そのうち誰言うともなく「この場所は呪われているのでは」と言われ始めた。
物事を科学的に分析している技術者も、あまりの不思議さに手を引き始めたころ、
上海でも有名なお寺の高僧が工事現場に呼ばれた。

説明を聞きながら現場を見廻っていた高僧の顔が、深刻そうに見え始めた頃
技術者が工事が進まない原因を尋ねると、高僧はポツリと
「教えても良いが、おそらく私の命も長くあるまい。」と答えた。
高僧曰く、この柱を打ち込もうとしている地下には、龍が眠っている。
龍はあと10年は眠り続けるであろう。その後で工事を進めるのは問題ないが、
丁度柱は龍の頭を貫こうとしている。このままでは工事を進める事は出来まい、と。

それでも何とかならないかと懇願された高僧は、諦めた顔で地鎮の祈りの準備を
始めた。祈りが済んだあと、合図と共に打ち込んだ柱は、何の問題も無く立ったそうだ。
そして高僧は、その一週間後に静かに息を引き取ったという。

そして龍と高僧の命と引き換えに建てられた柱には、上海でも唯一「龍柱」と
呼ばれ、全面に龍のレリーフが施されているという事だ。


この話は、上海人では誰もが知っているらしく、偶然バスで合った同僚の子供も
知っていた。ただ、伝言ゲームで伝わった話なので、アチコチでアレンジの入った
話を聞く。例えば柱は龍の頭でなく背骨に刺さっているとか、龍を刺し殺したのでは
なく、龍にどいて貰う代わりに命を捧げたとか、死んだ高僧は1人だったり2人だったり。

我が家からバスで1本、高速道路の交差する延安路近くでバスを降りた。
そこから徒歩で数分。沢山の高速が重なっている場所が見えてきた。


更に近づくと、おぉ、これがその「龍柱」なのか?でかい。


柱の下は自動車オンリーなので、グリーンベルトに入り込んで接近してみた。
やっぱりデカイ。柱の周りには円形に歩道橋が作られているので、一周ながら何か
説明文でも無いかと探したのだが、そんなものは無し。ただ、この伝説は有名なので、
写真を移しているのは私だけではなかった。


見上げてみると、8本の高速がこの柱で支えられているのが分かる。
言ってみれば、ここが上海の交通の中心なんだろう。
高僧は将来の上海の発展を思って、自らの命を捧げたのかな。


十二支の中で「龍」だけ架空の生き物だと言われているけど、中国の人にとってみれば
実際に生活の側に居る生き物なんだと思う。ただ普通の人間には見えないだけで。
噂の一つにこんなのがあった。
「柱の下で眠っていた龍は、高僧の説得に応じ、彼の命と引き換えに場所を動く事と
これからの上海を見守る事を約束した。そして場所を空けた龍は現在、大空に居て
空から上海の発展を見守っているそうだ。」
ほんとにそうなら、ちょっと良い話だね。

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