風邪でダウンしている間に原作を再読し終え、アニメも全話見返したので、ちと振り返ってみようかと。
アニメの監督が正統なジュブナイルって言ってたけど、確かにそう思う。主人公をあくまで普通の高校生として描いた上で、現実とそうでないものの区別を明確に付けている点が他作品とは一線を画す。最初から虚構しかない世界観であったり、主人公が安易に虚構になじんでしまったりすると昨今のラノベやジャンプ系マンガのパターンに陥ってしまう。戦って強くなるのではなく、事件(超常現象には違いないが)を乗り越えて成長するという点が重要。
またSFとしての一面も見逃せない。というかハルヒはSFなんだと言いきってもいい気がする。SF的な要素をいろいろ取り込んで、それを消化した上で成り立っている話だと思う。萌え? そんなのは二の次三の次。作者の他のシリーズを見ても萌え要素はあるので、好きでやってるのかもしれないが、ラノベ読者を意識したおまけでしかない。さらには「ハルヒが望んだから」という理由でああいうキャラクターのメンバーが集まったことが正当化されており、単なる読者サービスではなく物語上の必然として処理されているのも面白い。
しかし、原作とアニメを見終えると、なんともいえない喪失感を味わう。理由は明確で、読者の99%が同じことを考えたんじゃないかと思うけど、「おれの高校時代はこんなことなかったよなあ」そして「もう一回高校をやり直したい」というしょうもない後悔とかいろいろ含んだ感慨だ。高校をやり直したって期待したようなことが起こるわけないんだけど、それでも、という。
もうひとつの理由は一向に出る気配のない原作の新刊と、期待していたアニメ2期への失望感。原作なんてアニメが始まる前は年に何冊も出てたのにねえ。原作が出ないならアニメをと思っても、それを期待した人が世界中に一人でもいるのかという信じられない結果になったし。あまりにいろいろ考えすぎると最初の予定とはかけ離れたものを選択してしまうことが日常にもあるけど、それか。たくさんのファンの期待を背負っている点ではそんなレベルの話じゃないので、頼むから考え直してほしい。