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正しい裁判を得るために

判事ディード 法の聖域 第20話 父娘対決

2011年08月01日 | 判事ディード 法の聖域

判事ディード法の聖域第20話は父娘対決(My Daughter,Right or Wrong)です。

事件としては、動物の権利保護活動家による殺人(MURDER)事件ひとつです。
そう難しくはない?と思いましたが、良く考えると、いろいろと込み入った事情がありそうです。

個人的に面白い、興味深いなどと感じたことはつぎのようなことです。

1 屏風のような大きなスクリーンでしたね。  
  今回は、証人を秘匿するために使われていました。
  随分大きいですね。
  私は、このようなスクリーンは、証人が被告人を恐れて、面前では証言をできない
  ような場合に使うのかと思っていましたが、こういう使い方もあるのですね。
  PII(Public Interest Immunity)というのは、証言や証拠書類の提出が公益を
  理由に免除されるという使い方が普通と思うのですが、こういう使い方もあるのですね。

2 法務長官が検察側の代理人とを務めることがあるなど、日本的発想では信じられない
  ことです。
  役所のラインでは法務長官の方が上です。これまで、何度も見てきました。
  ところが、法廷では、ラインの下であるはずのディードの指揮にしたがうことになる
  のです。
  しかも、法務長官は忙しく、議会に呼ばれると出向かなくてはなりません。 
  そのために、ピーターがサブとしてついています。
  実際、法務長官は最初の段階で少し法廷に出た程度で、後はピーターにまかせっきり
  のようです。

3 陪審員に対するディードの指示(DIRECT)です。
  ディードの方から殺人の証拠が十分でないので、無罪の評決をするように
  (return the verdict not giulty)と指示していました。
  書記官の質問に対し、陪審長は無罪だということ、全員一致だということを
  述べていました。
  これまで、何度も、判事室で、検察側、弁護人らと協議し、無罪だとか証拠不十分
  などと決まるところまでは見ましたが、陪審員との関係がどうなるのか疑問でしたが、
  形式的ですが、こういう作業があったのですね。

4 バリスター(法廷弁護士)が直接証人らと外部で接触することについて
  イギリスでは弁護士はバリスターとソリシター(事務弁護士)の2種類があります。
  バリスターが直接依頼者から依頼を受けてはいけない(ソリシターを通す)ということは
  聞いていましたが、証拠収集するための作業も本来はしてはいけないということの
  ようですね。
  こういう事前の料理はソリシターの仕事というわけです。
  ただ、最近、ソリシター、バリスターの関係についての法律が変わったということ
  ですので、これはあるいは法律の先取りかもと思いますが・・

5 ジュニア弁護士の着席位置について
  チャーリーは、単独の代理人になった後も2列目の席でした。
  1列目の席はシニア弁護士専用なのですね。
  ジョーがパートタイム判事(レコーダー)をした事件で、弁護人のカウントウエルが
  自分のジュニアに何かを言わせにいきました。すると検事側の代理人がそそくさと
  後ろの席(2列目)に移動しました。
  多分、そうではと推測していましたが、正しかったようです。

6 結局、この事件の真相は何だったのか。
  MI5は、動物保護運動を完全に潰したかったのです。
  それで、動物の5つ星ホテルといわれていた研究施設を爆破し、その責任を
  活動家のヘンリー・フリーに転嫁しようと企てたということだったのです。
  重要証人というMI5の工作員は、運動の状況を知るため潜入したのではなく、
  爆破工作を扇動するためだったのです。
  彼が近づいたのは、運動家というよりは、このような爆破工作に協力する人間
  だったのです。
  被害者の妻の証言でMI5の人間一人だけが夫の防衛にあたっていたことがわか
  ります。被害者は妻の証言するように癌で本来なら死んでいてもおかしくないほど
  重篤な状態でした。ノーベル賞を逃したという恨みもあったのです。
  チャーリーが鋭く迫って「報復のために」自殺することがあることを認めさせました。
  辞任したサイモンが、鋭く迫っていたように、被告人のヘンリーは犯人像に到底
  一致していたとはいえません。
  アリバイがなかった(本当はあるのですが、言えない)ということだけだったのです。
  重要証人が、ヘンリーとの関係について、当たり障りのない証言しかできなかったの
  も、実際、爆破というような違法な計画などなかったからです。

  冒頭の法務長官の説明で、2時45分警察に3時爆発の予告があったこと、ところが
  約10分早い2時47分に爆発が起こってしまった。
  この時間の食い違いが何だったかは(多分法務長官は知らない)、事件の真相が
  わかったところで、謎が解けたのです。
  被害者の教授は、みんなが避難したことを確認して、戻りました。
  研究に関する重要な書類を取りに戻ったとの推測でしたが、実際は、
  爆弾の引き金を引くためだったのです。 

  なお、チャーリーがaggrevated criminal damages に変更しないかというのは
  器物損壊でしょうか、何か意図があった可能性がありますが、ちょっとわかりません。

  いずれにしろ、検察はMURDER一本でいくことになりました。

7 こうして結果がわかってくると、法務長官が検察の代理人をすることにしたのは
  MI5の証人について、ディードに秘匿特権を認めさせるためだったのではないか
  と思うのですが、読み過ぎでしょうか。
  
  もし、この証人の名前や顔を見れば、被害者の教授と親しかったことや、大した
  話がなかったことはすぐばれるはずです。
  したがって、どうしてもスクリーンの後ろでの証言でなければならないのです。
  ディードがこういうことが嫌いなことは百も承知のことです。
  イアンも事前に根回ししています。

  しかし、さすがのディードも法務長官では断りにくいというわけです。

  法務長官というトップが検察の代理人になるということは、サイモンもジョーも言って
  いたように「負ける訴訟に出るわけない」「勝つからだ」という先入観をもちます。

  こういうお膳立てのためだったのではないかと思うのですが。

8 さて、ディードとジョーの関係はもう終わったのでしょうか。
  そうとは思いたくないですね。
  新しい恋人のマークですが、ジョーとはうまくいくのでしょうか。
  マークは細かいですね。ジョーがいい加減に置いた新聞やタオルをたたみなおしたり
  しています。これってどういう意味がるのでしょうね。

  それに気になることがありますね。ニールがジョージに、マークはイアンの手先(IAN's
  man)と言っていましたね。
  追加の補助金が決まったと喜んでしましたが、何かありそうですね。

  ディードとモラグも怪しいかも?
  モンティも気づきましたね。 
  2人の仲はどうなるのでしょう。

  またイアンも最近おかしいですね。何か企んでいるのかもしれません。

9 ディードによると、息子や娘が同じ法廷に立つことは、一応問題はないと
  以前、カウンセラーに話していましたので、法律的には問題がないのかもしれません。
  しかし、ディードの訴訟指揮は、私には、甘いように思いました。
  チャーリーでなければ、おそらく、もっと早い段階で、発言禁止、法廷侮辱で退廷だった
  でしょう。また、チャーリーも甘えていましたね。プロであれば、あるいは
  他人であれば、チャーリーのようにやりたい放題というわけにはいかなかったと
  思います。
  弁護士会に報告と言っていましたが、結局うやむやになるのではと思います。 
  ニールがイアンに、チャーリーはジョージの娘でもあるからと言っていましたね。

10 そういう意味では、法曹界、及びそれに近い政府機関、政治家たちの仲良しクラブ
  的なところもあるようです。

11 ニールやジョージがジョーの服装のセンスについて、軽蔑的発言をしています。
   今回も「オックスハム」以下のようなことを言っていました。
   オックスハムというのは「オックスフォード飢饉救済委員会」の略称です。
   そういうところで買ってきたのではないかということです。
   後半部分でのジョーのシャツとスラックス姿には、そういわれてもしかたないかな
   と思わせる野暮ったさ、安っぽさがありました。
   ついでに、モラグの髪型も気になっています。

回を重ねるにつれ、理解は深まっていきます。


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1 コメント

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Unknown (taira)
2011-08-03 22:05:34
公 益を理由とする秘匿特権(public interest immunity)・・・ 面白かったですね!
今回の目玉はこれでしょうか?
今回のエピと必ずしも一致はしませんが、私には小沢さんを起訴相当という議決を出した検察審査会を思い起こしました。
ある者を起訴しておいて、その実態がふせられるいかがわしさにアンフェアなものを感じていました。
確か・・・彼らの招待が曖昧にされたのも公益だかなんだか分からない理由で秘匿されたものです。

それと動物保護団体のテロは,例のシーシェパードを思い出しましたし、政府のやらせによる犯人捏造は 最近の電力会社、政府の原発推進のためのヤラセを想起しました。    
時事的な話題が生き生きと取り入れられ・・・・しかも洋の東西を問わず・・・なところも面白いと感じました。
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