弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

福島原発事故のよる放射性物質汚染に対する事後処理は進んでいるか

2011年08月02日 | 福島原発 東日本震災

3月11日の東日本大震災の尤も特徴的なことは原発事故です。
地震や津波については、東日本大震災が、極めて大きなものだったに
しろ、その損害や事後処理及び今後の予防を含めた対応については
これまでの地震や津波の被害と質的に変わりがあるわけではありません。
ただし、それすら十分に対応がなされているわけではないようですが・・・

一番難しいこと、しかも今後長期間にわたって国民の健康に影響があるのは
原発事故に伴うものです。
地震や津波の被害は目に見えます。
しかし、放射線は見えないので、どこに高濃度の放射線が蓄積されているのか
わかりません。
最近、わかってきた汚染牛のように、放射線物質汚染による被害は直接の被害地や
その近辺にとどまってはおらず、全国規模で拡大しています。

早急に原発事故に対する対策をすべきです。つぎの2点があります。
1 事故のあった福島第一原発そのものに関して
2 発電所から出た放射線物質に関して

今後の原子力発電所をどうするかはもちろん重要な課題です。
しかし、上記は、現に生じている事故による被害について
その拡大をストップできるかということです。

たとえると、今山火事が起こり、あちこちに飛び火しているとしましょう。
原発をどうするかを議論するのは、今後山火事が起こらないように
議論するのと同じです。
いくら議論してみたところで、今目の前にある山火事がおさまる訳ではありません。

まずは、今、起こっている山火事の被害をいかに食い止めるかです。
発電所から放出された放射性物質は確実に蓄積されていますし、
あちこちで火種がくすぶり続けているように、放射能汚染はあちこちに拡散して
います。
まず、どこにどのような汚染があるのか、どのように広がっているのかなどを
集中的に調査すべきです。系統的・組織的にです。
汚染牛のように見つかってから調査しても遅いです。

政府がそのような対策をしているという報道を聞いたことはありません。
1については東電が中心になってもいいかもしれませんが、
2は、国や自治体の責任です。広範囲にわたることを考えると国の仕事です。
今の政府の誰がこの責任者なのでしょうか。
どの大臣が担当しているのでしょうか。見えてきません。

8月1日の日経の切り抜きです。

東大の農学部がこのような調査をするとの記事ですが、
こういうことは、政府がやるべきだと、私は考えています。

政治の一番重要な仕事は、国民の生命・健康を守ることです。
原発をどうするかは、長い目でみたものです。

しかし、東大農学部がしようとしていることは、今現にある国民の命や健康被害
に関するものです。いわゆる、今そこにある危機です。
緊急を要する課題です。適切な対応ができれば、確実に被害の拡大は
防止できます。

汚染牛についてみればわかります。
稲わらが牛のえさに使われていたのですから、なぜこれについて、
有効な対策がとれなかったのでしょうか。

復興担当大臣ではなく、放射能汚染担当大臣をおいて集中的に担当させるべき
です。
あるいは、内閣総理大臣みずからが陣頭指揮をとったらどうでしょうか。
そうすれば、やめろコールもおさまると思います。

放射能汚染被害拡大防止対策をやること、これ以上に緊急で
重要な政治課題は、ありません。

今の政府は、損害が防げるにもかかわらず、それをせずに、損害賠償すること
だけを考えています。
しかし、国民が望むのはまず健康です。いくらお金をもらっても健康を害したのでは
意味がありません。
よく、命あってのものだね、というのも、そういうことです。


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