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正しい裁判を得るために

イランの核問題を巡るネタニヤフ首相の演説について

2015年03月05日 | 日記

イスラエルのネタニヤフ首相がオバマ大統領の明示の意思に反する
形で、米議会で演説しました。
ネタニヤフ首相はバッド・ディールならしないほうがいいというものです。
なぜ悪いかというと、合意はイランの核開発を結局は正当化するものだと
いうものです。

一方オバマ大統領は一定の期間(10年とか15年)核開発活動凍結の
合意ができれば、その間はイランの核開発計画をコントロールできる、
もし合意がなければイランは勝手に計画を進めるというものだと思う。

結局オバマもイランが核開発をするつもりだとみているのだと思います。
10年間は凍結できればいいのではないかということなんでしょうかね。
ネタニヤフ首相は絶対に認めないという立場ですから
両者が対立するのは当然だと思います。 

イランとの交渉が難航しているのは現在課されている経済制裁をどのように
解除していくかということのようです。
イランは当然、合意成立と同時、オバマは合意の履行状況をみてということ
なんだと思います。

詳細な条件次第だとおもいますが、重要な問題は凍結期間満了後、
どうなるのかということです。
SUNSET CLAUSE (適用期限を限定する条項)がどうなるのかというです。
期限到来後について定めがなければ、その後は制限がなくなるわけですから、
イランは自由に核開発できるという解釈になるのだと思います。

となると、 結局は特定の国家が断固として核開発するとの意思を持つときは
これを防止する方法はないということを認めることになるわけです。 
経済制裁を覚悟しさえすれば(それもいずれは解除されるわけだし)、
核を保有することは正当となる、というわけです。
ただ、そこまでして核開発をしようとする国はないだろうということかもしれない。

しかし、一旦どのような形であれ例外が認められるようになると、手を挙げる国が
出てくるかもしれない。そういう国が二つ、三つと出てくれば(中東については大いに
ありうる)、経済制裁のマイナス効果が世界経済に及ぼす影響が大きくなり過ぎ、
経済制裁を課することが事実上できなくなる可能性がある。
「壊すには大きすぎる」という例がすでにある(金融機関)。

短期的にみればオバマ大統領の10年間コントロールできればいいとなるし、
長期的にみれば、イランのビヘビアが変わらなければ(核開発の意図はないと
明言しているが、行動からもそれが示される)認められないというネタニヤフ首相の
言い分に理がある。
オバマはネタニヤフは政治的に行動していると非難しているが、イスラエルは直接の
利害関係者なので、時期等に問題があるとしても、イランの核武装は深刻な恐怖である、
一方オバマは任期も2年弱を残すだけとなり、政権のレガシーについて考えている
はずであり、政治的とみることもできる。
密室の交渉なので詳細はわからないが、したたかなイランがこういう状況を見透かし
交渉を有利に進めている可能性もありうる。 

外交の分野では何が正しくて何が悪いとは一概に言えない。 
立場によって異なるものだろう。 

     

             

 


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