弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

ハーパー・リーのGo Set A Watchman を読んだ!

2015年08月11日 | 日記

日本語版のアラバマ物語は読むのをやめた。
折角、買ったけれど、本を開いた瞬間、読む気がしなくなった。

紙の本は、紙質や装丁、字の大きさや太さ、フォントなど、内容以外の要素が
大きな影響を持つ。
今回に関しては、字の大きさ、太さ、フォントが、読者にやさしくないと思う。
既に映画も見ているし、原書の内容についてはネットで調べてある程度把握しているので
無理して読むことないと思った。
アマゾンで購入すると、現物を見ないので、こういうことになることもある。

その代りというわけでもないが、続編「Go Set A Watchman」については、旬がありそうな
気がしたので、アマゾンで購入。
到着に2週間ほどかかったが、この程度はやむを得ない。
ハードカバーだった。紙質や装丁、字の大きさや太さ、フォントなど、全く問題なし。
早く読んでみたいと感じさせた。

    

「Watchman」は、全面的に信頼してきた父アティカス、父の教えを絶対的なものとして信じてきた
主人公の娘ジーン・ルイーズ(リーその人本人)が父が教えに反する行動をとっていることを知った
とき、ジーン・ルイーズの世界は根底から崩れた。裏切られたと感じ、父を激しく非難するが、
アティカスは「I love you 」「As you please」と平然としている。
現実を見つめ、何とか折り合いをつけ、大人として出発する準備ができるまでを書いたものである。
連邦最高裁が人種隔離政策(racial segregation)を違憲と判断した時代の、南部の保守的なアラバマ
を舞台にするものであるが、理想と現実の落差に幻滅するのは大小の差はあっても、
大人になる過程で誰もが経験することである。
「Watchman」が先に出版されていたとすると、それほど注目を浴びるというものではなかった
と思われる。
「Watchman」は「To Kill A Mockingbird」を読んでいないと十分には理解できないと思う。

   

「To Kill A Mockingbird」は編集者のアドバイスで書き直したものであるが、作家自身、それが
「イル-ジョン」だとわかっているのである、しかも個人的に自己喪失を感じるほどにショックを
受けているのである。それがピューリッツァーを受賞し、しかも映画化されたものがアカデミー賞
を受賞したとなると、ハーパー・リーがその後一作も書かなかったというのは、わかる気がする。勝手な推測である。
(自伝的作品でなかったら、違っていたかも。)

   

結局、ハーパー・リーは「Watchman」のテーマである「Every man’s island, Jean Louise,
every man’s watchman, is his conscience.」のとおり生きたのだろうか?
「To Kill A Mockingbird」と「Go Set A Watchman」はワンセットで読むべきだと思う。

   

読後感は充実していました。

とりあえずの感想です。