追憶のBEIJING

2005年03月22日 | 随想

今日の昼下がりに浜辺を散歩していると、「BEIJING」と記されているポリタンクをみつけた。

「はるばる大陸から東シナ海を超えて、この島に漂着したのだろうか。」

そんなことをぼんやりと考えていた刹那、
鼻腔の奥底から、北京の匂いが蘇ってくるのを感じた。

満員のトローリーバスの人いきれ。
胡同の飯屋の刀削面の歯ごたえ。
茉莉花茶の喉ごし。
天安門広場の空高く舞う凧。

自宅近くの歩きなれた浜辺を散歩しているはずの僕は、
いつしか遥かなる大陸のあの喧騒の街をさすらっていた。

ああ。
思えばこの僕もまた、漂泊者なのだ。
太陽の熱に焦され、波のうねりに翻弄され、
いつ海の藻屑と消えるか知れない漂泊者なのだ。

十二分に晴れ渡った青空の下で、
胸いっぱいに息を吸い込んで、
僕は新たな匂いを刻みつける。





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4 コメント

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せつない (お玉)
2005-03-23 00:37:04
気のきいた感想を書きたいけど、うまくかけない。

なんかね、胸がいっぱいで、息がつまる。



あの海と、そのまた向こうの大陸に

気持ちが飛んでせつない。

ただ、この余韻にひたっていたい。



今、ここにはあの頃の情けない小娘が、いるだけです。

ごめん、芸人さん。





いつか、なんか描けたら、お玉もここにもってくる!

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ありがとう (芸人)
2005-03-23 01:04:54
今さっき降りだした雨が、トタンを強く叩いています。

昨日のお昼間は、あんなに晴れていたのにね。

ほんとうに、この島の天気は気まぐれです。

こんな夜は、ふと旅の余韻に浸りたくなってしまいます。



ほんとうに、ありがとう。

おやすみなさい。

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北京ですか (Ojar)
2005-03-24 09:03:44
何か小物一つで物語りが始まるって素敵ですね。

北京かぁ。まだ行ったことないです。



石垣は雨なんですか?

こちら大阪は雨が上がった朝模様です。
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Ojarさん江 (芸人)
2005-03-29 21:19:34
石垣島を代表する民謡『とぅばらーま』に、



『山ゆ見りば 八重山(やいま)思(うむ)いだし(ツィンダサヤー ツィンダサー) 

  海見りば 生(ま)り島思いだし(マクトゥニ ツィンダサヤー) ンゾーシヌ 我が島(すいま)ヨー





という一節があります。

いつかどこかでこの島のことを想うとき、

こんな気持ちになるのかなぁって『とぅばらーま』を聴くときに思ったりします。

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