司書教諭日誌

福島県の公立小学校勤務。小規模校勤務ですが、司書教諭に任命されました。
日々の取り組みや学級指導を綴るブログです。

校地除染ほぼ終了

2014-01-31 21:12:07 | 震災
この2週間ほど、雪が横に降る寒い日もつららの解ける小春日和の日も、校地除染が進められていました。

震災の夏に土を入れ替えたのは校庭のみで、その他の花壇や校舎のノリ面などはそのままでした。
PTA奉仕作業で、草を刈ったり枯れ草を集めたりはしましたが、土はそのまま。
それを、今回の除染で一気に、全部やりました。

大雑把に書きますと、植え込みの植栽は上の葉を少し残しただけで、枝をバチバチ切ってしまい、下の方まで手が届くようにします。
表面の土を、根っこが見えるほどとって袋の中へ。
これらの細かい作業は、主に年輩の方々がやっておられました。

校舎脇のジャリは、ジャリを掬い取って下のコンクリート構造までむき出しにし、水(?)できれいに洗浄します。
この機械、一見ポリッシャーのようで、トラックに積んである大きなタンクなどからのびる太い・細いホース2本で繋がっています。
水を高圧で噴きつけ、さらに強力バキュームで吸い取るので周囲に飛び散らないようです。
コンクリートやタイル、ブロックの場所はすべてこれできれいにしていました。

土という土をすべてえぐりとり、屋根から水が落ちるあたりは30センチくらい掘っていたようです。
そこに、新しい土をもってきて盛り、大体もとの高さに戻します。
木の周りと他の場所の土の色が違うので、違う種類の土のようです。

集めた土は、校庭の真ん中に台形の山を築いてパワーショベルで突き固めます。
風で飛ばないようにしているのだと思います。
その上に、ブルーシートをかけて土嚢でとめていました。

最後に、校庭に25mプールほどの大きな大きな長方形の穴を掘ります。
中に人間が立つと頭が穴の縁から出ませんでしたから、1.7m位はあるようです。
校庭の地層を、思わぬ形で見てしまいました。
掘った土も台形の形に突き固めます。
穴に黒いシートを敷き、集めた土を入れ、またシートで覆って、掘った土をかけてできあがり。

本当に、お疲れ様でした。

場所的に、教室の窓のすぐ外でパワーショベルがアームを動かしているので、すごい迫力!
子どもたちはかぶりつきで作業を眺めていました。
そして作業員の方々に「ありがとうございます!」「お疲れ様です!」などと手を振るのです。

線量は、以前は0.25μsv位をしめしていたメーターが、作業後は0.15位まで下がりました。
ほぼ半減したといってもいいと思います。
メーターは、脇を通るたびに見ているのですが、いつも数字が違います。
おととしは0.25以上だったのですが、昨年あたりから0.25を越えることがほとんどなくなりました。

「数値が半分になりましたね」と、
よかったですねというニュアンスで同僚に話しかけたら、
「コンマ0.2が0.1になったからといって、どれだけ違うっていうの?
 たったそれだけのために費やされた、この膨大な労力とお金は、次世代の負担になるのよ。
 これだけのお金があれば、他にいくらでもいいことができるでしょう。なのに。
 そういう負の遺産をこの子たちに負わせていいと思うの?」
と、切り替えされてしまいました。
いつもながら、この方の見識には、はっとさせられます。

線量が下がると、それだけでほっとしたような気持ちになっていたのですが、
同時に、一度に6~70名の作業員が多数の重機とともに押し寄せた大工事にものものしさを感じていたことも確かです。
ただ、厳寒期にもかかわらず一日中野外で作業し、休憩や食事も自動車の中でとっている作業員の方々のご苦労には頭が下がる思いでした。

「除染」と一口で言える作業が、これほどまでに膨大で、気の遠くなる人々の労力の果てにあるのだということを、今回、間近で見て実感しました。

除染は学校だけでなく、地域でも進んでおり、汚染物質の管理場所も決まりつつあります。
つい先日、町内会の回覧板で埋め立て管理地が決まったという案内が回ってきました。
地図上に線引きしてあり、A地域は市役所の駐車場、B地域は近所の広い公園といった具合です。
その公園には、背が高くて素晴らしい柳並木があって、毎年夏になると緑のカーテンのようだったのですが、
先日見たら無残な姿になっていて、涙が出そうでした。
柳は枝が生え変わるのだから、そんなに根本から切らなくてもよさそうなものなのに・・・

失ったものを思うとやりきれない気もしますが
現状を少しでもよくしようと、努力することに決めた県や国の方針は、私は悪いことではないと思います。

宮澤賢治の未完の作品「学者アラムハラドの見た着物」には、学者が子どもたちに
「人が何としてもそうしないでいられないことは一体どういう事だろう」
と問う場面があります。
一人の子どもが
「人は本当のいいことが何だかを考えないでいられないと思います。」
と答えたので、学者は
「人は善を愛し道を求めないではいられない。それが人間の性質だ。」
と答えます。
(このシーンの言葉が、とても美しい・・・!)

賢治の言葉は、ほの暗い夜をとぼとぼ歩くときの目印になる、小さな灯りのようです。





実践のまとめ、完成

2014-01-28 20:20:56 | 研修
市の教職員研究物展に、「学校図書館教育の実践~司書教諭と司書による協働の記録~」を出品しました。
執筆したのは私ですが、実践は司書さんと一緒にしてきたので、グループ研究枠で出しました。

本論18p、資料編約140p、扉などを入れると166pになりました。

元々泥縄タイプなのと体調をずっと崩していたこともあって取り掛かりが遅く、
締め切り前日は18時間くらいぶっ通しで取り組んでいました。
「あっ、耳(タックインデックス)を付けるのを忘れた!」
と気付いたのは、提出会場の駐車場だったという体たらく・・・。

そして、作りながら、そういえばアレは入ってないなあ、コレは入れるとこないなどと
ポロポロ抜けたものもありました。
細々としたものです。
たとえば図書委員の棚整理当番シールの工夫とか。
私が国語の読書単元でやってきたリテラチャー・サークルの実践は入れましたが、
公開授業をしたペア読書やブッククラブの実践記録は入れませんでした。
指導案もあったのですが、あまり入れると司書教諭としてのまとめとしてどうかと思い、外しました。
逆に、ブッククラブのとき、市内の学校から連絡車で本を集めたときの文例を入れておくとよかったのかも。
細々すぎるので、どうでもいいですね。

   *  *  *  *  *

絵本賞の本のためし読み希望を回覧したら、今のところ、ほとんどの担任が希望日を書いてくれています。
「担任が出張のときに、いかがですか?」という一文がきいたのかしら?

「そうだよね、担任がいるときはもったいないけれど、出張のときなら(ためし読みをやっても)いいよね」
と、ある先生がおっしゃるので、すかさず売り込みました。
「そうですね、ただ漠然と『図書館で読書』にするよりは、やることがはっきりして取り組みやすいでしょうし、
 コメントカードが残るから、出張から帰ったときに子どもがちゃんとやっていたかどうかもわかりますよ」
はてさて。














「ためし読み」のすすめ

2014-01-26 00:50:16 | 司書教諭日誌
職員会議と生徒指導全体会のあとで、時間があったら「ためし読み」の実習をする予定でしたが、
実際には、職員会議が終わって生徒指導全体会の資料を配る間、
その1~2分間を空けるのが惜しいとばかりに「今の時間に実習を」と声がかかりました。
慌てて立ち上がり、説明と読む時間を含んで5分以内で、あっという間に「ためし読み」実習が終わりました。
会議の前に本とワークシートを配っておいたのでスムーズに運んだようです。
あまり上手に説明できなかったのが力不足を感じます。
少しでも関心をもってくれるといいのですが。

終わったあと、絵本を読んだ先生たちと立ち話。
「この本はダメですね、涙が出てきます。読み聞かせなんてできません」
「お昼ね券っていいですね、欲しい」
栄養教諭はいつもちゃんとコメントを書いてくださってありがたい。

絵本賞候補の本セット貸し出し予約表を作成して、回覧する予定です。


   *  *  *  *  *

実践のまとめは、締切りに追われて鋭意製作中です。
総論が20頁くらいになりました。
「たったこれだけ?」と思うこともあり、
「こんなに!」と呆れることもあり。
図書館教育というものに、傍から見れば呆れるくらいの時間を費やしてきたことだけはよくわかりました。


"物語"の力が社会を変える

2014-01-21 20:10:31 | その他
NHKクローズアップ現代 1月7日放送の番組
「シリーズ未来を開く(2)”物語”の力が社会を変える」よりメモ

NPOや社会活動家たちの研修会

マーシャル・ガンツ博士(ハーバード大)によると
人々に行動を促すには、心に訴えかける「物語」が必要である。

物語の3つの要素
・story of self セルフ
  自分の活動の背景、自分の物語(自分はなぜこの活動をしているのか)
・story of us アス
  その価値観を相手と共有する、私たちの物語
・story of now ナウ
  なぜ今、行動しなければならないか伝える、今の物語

人々が行動を起こすのは、理念ではなく感情に響いたときだけ。
大事なのは、自分をつき動かす動機。
その根底にある価値観を言葉で表わし、相手と共有すること。

まずセルフ自分の物語を語ることから「共感」は生まれてくる。
体験を聞いて「ああ」と思ったこと。
「私はわかった」ではなく「私たちはわかった」ということ。
体験を共有する瞬間を作ることが重要。

一人ひとりが「物語」で繋がれば、いずれ社会はよりよく変わっていく。

支部会の話題

2014-01-19 19:23:16 | 研修
18日は、学図研の支部会で、年間活動計画や全国大会について話し合いました。

それぞれの勤務校で所蔵しているマンガについてリストアップしたものを見たら、
学習漫画の延長線上にあるものや、「マンガで読む心療内科」などのハウツーもの(?)
「日本人なら知っておきたい日本文学」などのコミックエッセイなどが多く、
「宇宙兄弟」「ちはやふる」など人気コミックがあったかと思うと・・・

「司書の私物です」
えっ!?
「県費でマンガを買うのはちょっと・・・予算が限られているので」

たしかに、うちの県立高校の年間図書費は信じられないくらいシビアですし(うちの市立小学校の予算よりずっと低い)
コミックスは巻数が多いし発行ベースが早いので図書館に入れるのは難しいですが、私物とは……!

我が身を振り返って、うちの学校のマンガはといえば、
「マンガ日本の歴史」や「○○のひみつ」といった学習漫画は200冊以上ある一方、
いわゆるコミックス(このへんの定義は適当です)は寄贈された「ONE PIECE」しかありません。
そして、寄贈されたものが多く(世界名作の漫画化など)、自校で買ったものがあまりありません。
「しずくちゃん」は絵本でしょうか?
「シッタカブッタ」や「よこしまくん」も絵本?
まあ、以前に「空想科学読本」のマンガ版が市の会計担当者からはねられましたので
はなからマンガ購入の伺いを出さないのですが。

いろいろ話すうち、学校図書館にマンガってどうなんだろうと疑問が膨らんできました。
 高校だったら、もっと所蔵してもいいのかな。
 でも、予算が問題か・・・
 小学生に読んで欲しい、図書館におくべきマンガってなんだろう?
 「花もて語れ」を置いている小学校もあるときくけれど、
 「進撃の巨人」を入れてと言われたら、さすがに無理だろうなあ・・・
 (子どもたちは大好きでコミックスも持っているようですけれど)

そして、個人的にはこんなにマンガが好きなのに、
学校図書館とマンガの間には知らないうちにシャッターを下ろしていたのではないかと気付かされました。
マンガとの付き合い方、どうしたらいいのでしょうか。


   *   *   *   *   *

ところで、「日本人なら知っておきたい日本文学」は、切り口が楽しくて大好きです。
これだったら小学校の図書館にもいいかな・・・?

日本人なら知っておきたい日本文学 ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典
クリエーター情報なし
幻冬舎