司書教諭日誌

福島県の公立小学校勤務。小規模校勤務ですが、司書教諭に任命されました。
日々の取り組みや学級指導を綴るブログです。

まちとしょテラソ

2013-07-29 21:47:37 | 読書録
学図研ニュースで紹介されていた本を読んでみました。

はなぼん ~わくわく演出マネジメント
クリエーター情報なし
文屋


小布施町立図書館「まちとしょテラソ」の前館長・花井裕一郎さんが書いた「わくわく演出マネジメント」というサブタイトルのついた本です。
単なる図書館の施設紹介ではなく、小布施の町作りという広い視野から図書館を作っていった様子がわかります。

花井さんは、テレビ番組などを制作する映像演出家でしたが、取材で訪れた小布施の町と人々に魅了され、家族で引っ越してきます。
新しく図書館を作る町民の会に入り、さらに公募された館長に応募し、見事に選ばれます。

小布施は江戸時代に商業の町として栄え、他の土地から文化や技術をもっと客人を受け入れる伝統がありました。
高井鴻山という豪商が招いて世話をした北斎は、小布施にたくさんの作品を残しました。

現代の北斎のように、花井さんはそれまでのキャリアで得た人脈や映像・演出の技術を、図書館の運営に生かしていきます。
まちとしょテラソは、図書館の施設そのものよりも、町民の交流や文化交流の拠点としての活動が評価されているようです。
旅行口コミサイトの「死ぬまでに行きたい世界の図書館15」にも選ばれています。

感想

・「わくわく」や「ときめく」など、人が行動する原理に感情を据える手法があるのだな、と思いました。
  ときめかないものは捨てるとか、「わくわく」するにはどうすればいいか考えること。
  頭ではなく、気持ちで動くというのは、プリミティブな分だけ強いかも。

・デジタルアーカイブに力を入れているところが、さすが映像のプロ。
  人脈を生かして呼んだゲストの講演会もDVDにして貸し出しているという。
  これ、ぜひ学図研の全国大会でもやってほしいです!!
  いつも出る分科会をどれにしようか迷うのです。どれも見たい、聞きたい、学びたい!
  DVDにして、支部会でだけ上映可、複製禁止などの条件をつけて貸し出しできるようにしたらいいのに・・・
  などと思ってしまいました。

連想検索「想」
  公共図書館でこれを設置しているって、進んでいるなあとうなってしまいました。
  情報提供に関する意気込みや心構えが違うって感じ。
  私も、自宅でカーリルやwebcat+で検索して図書館にリクエストしたりしますけれど
  あくまで図書に限られています。
  もっとも、スマートフォンがこれだけ普及したご時勢ですから、こういったサービスもすぐ普及するかもしれません。
  ここの取り組みがよいお手本になるかも。

・振り返って
  うちの学校の視聴覚教材も整備すれば、図書館で貸し出しできるようになるかも?
  (司書さんに聞いてみたら、本の付録CD・DVDなどは貸し出しているという)
  地図を拡大して床に敷くアイデア。
  うちの学区の航空写真が何枚かあるので、そんなふうに使えないか?




ためし読み

2013-07-27 22:36:15 | 司書教諭日誌
小教研学校図書館教育研究部「夏の研究協議会」で、ちょっとしたオマケで紹介した方法です。

「ためし読みで 本との出会いを *30分でできる読書指導*」

■「ためし読み」とは?
 「ためし読み」は、子どもたちがさまざまな本と出会うための一つの方法です。

 ふだん、あまり読書をしない子や読書を面倒くさがる子のほとんどは、自分が興味を持てる本を手に取る機会がありません。
 また、読書好きな子は自分の好きなジャンルの本は読みますが、なかなか他のジャンルには広がらない傾向も見られます。
    
 そこで実際に本を手に取り、ためしに読んでみる機会を設けることで子どもが本と出会う場を作り、さまざまな本を「読みたい」という気持ちを育てるのが「ためし読み」です。本が好きな子は楽しく、そうでない子も無理なく参加できます。

■「ためし読み」 2種類のやりかた
 
 1 好きな本を持ち寄る方法
   参加者が好きな本を1冊選んで持ち寄り、短時間(3~5分)で回し読みをします。

 2 選ばれた本と出会う方法
   司書や教師が選んだ本や、ブックリスト等を元に選んだ本を準備し、短時間(3~5分)だけ読みます。

■「ためし読み」の約束
  
 ○ 決められた時間、黙ってその本を読む。
 つまらないと思っても、時間が来るまでは手元に置く。
 ただし、読まずに挿絵を見たり、解説を読んだりするだけでもよい。

 ○ 友だちが選んだ本は、けなさない。(マナーとして)
  
1 好きな本をもちよって、ためし読み      

《進め方》
  ① 前もって「自分が好きな本」を一冊準備するよう予告しておく。
  ② 5~8人程度の小グループを作り、それぞれの本を準備する。
  ③ 最初に、自分が選んだ本についてグループの人にごく簡単に紹介する。
     ・ どんな本か (題名、ジャンルなど)
     ・ どこがいいと思って選んだのか (おすすめポイントなど)
  ④ 制限時間内(3~5分間)に、本をためし読みする。
      読み方は自由。本のどこを読んでも見てもいいことにする。
      ・ あとがきを読む ・ はじめのページだけ読む ・絵や写真を見る ・ぱらぱら読む
  ⑤ 本が一周したら終了。
    読んだ本について自由に話したり、もっと読んでみたい本のメモをしたり時間があるとよい。

《その他》
 ・ 高学年~中高校生の場合は、本のおすすめポイントを記入した記録シートを本に挟んでいっしょに回覧し、ためし読みした人のコメントを書いてもらう方法もある。
 ・ 制限時間は、教師が声で告げてもいいし、タイマーを使ってもよい。あまり音量の大きくないものに。



2 選ばれた本と出会うためし読み

《進め方》 ※小グループに分かれても、クラス全体で行ってもよい。
  ① 教師や司書補や教師があらかじめ本を選び、人数分以上の冊数を準備しておく。
  ② 小グループの場合
   グループのメンバーが、選ばれた本の中から面白そうな本をそれぞれ1冊ずつ選んでテーブルに持ってくる。
   制限時間内(3~5分間)に、本をためし読みをする。時間がきたら次の人に本を回す。あとは「1」の方法と同じ。
  ③ クラス全体の場合
     広いテーブル等に本を面出しして準備し、各自面白そうだと思った本を選んで読む。
     本を選ぶ時間(1分間位)と読む時間(3~5分間)を交代で設け、時間になったら必ず本を交換する。
  ④ 本が一周したら、あるいは授業時間を見て終了する。
     

《その他》
 ・ 国語の教科書巻末の図書リストや、既存の推薦図書リストなどを利用してもよい。
 ・ 本の情報(どんな内容の本か、あらすじ、おすすめの言葉など)を帯やPOPで添えたり、リストにまとめたりして提供してもよい。リストを活用し、もっと読みたいと思った本にチェックしておくと、その後の自由読書に繋がる。
 ・ 小グループ内で回し読みした本の中から人気投票をして、選ばれた本を学級で紹介すると全体で交流できる。


   *   *   *   *   *


要するに、本の実物を手にとってみる時間を設けようと、ただそれだけの実践です。
実際に本を手に取ってちょっと読んでみる・・・それだけの時間やきっかけってなかなか取れない子もいるんですよね。
子どもたちの多くは決して読みたくないわけじゃなくて、手に取る機会がなかなかないのです。
だから、ブックトークで紹介してもらった本を教室に置くと、どんどん手が伸びます。

でも、担任の先生なら、国語の読書単元の発展学習などに時間が設けやすいはず。
そして、実際に体験してもらえば、よさが体感できるのでは―――と考えて、提案させていただきました。


「ためし読み」のベースは、以前、学図研の全国大会ナイターで支部が担当した「味見読書」です。
しかし、「味見読書」は熊倉先生の実践名として確立しているようですし、その後自分なりに実践してみてどんどん簡単にしていったので、「ためし読み」という名にしました。



気持ちよかった

2013-07-26 21:14:31 | その他
自宅の話題です。
今日は記念日かもしれないなと、ふと頭に浮かびました。

震災後、本棚が崩れた自宅の本部屋はずっと放置したままでした。
工事が入ったので、とにかく分別もせず段ボール箱につめ、あちらの部屋からこちらの部屋と移動するだけでした。
でも、今日、諸帳簿を提出して身軽になったので、重い腰を上げてみる気になりました。

今の家には5年前に引っ越したのですが、その時の念願の一つが自宅図書館を手に入れました。
一つの部屋をすべて本のために使って、
壁一面の書架、スチール書架が7つ、スライド式書架が1つを置きました。
コミックスは、著者の50音順に左上から並べるというこだわりも実現。
友人からは「マンガ喫茶のよう」と言われたほどです。
タイトルが見やすくなって、シリーズの中の買い忘れも発覚しました。
手持ちの本が大体収まり、嬉しかったのもつかの間・・・
どうもイマイチなのです。
本がぎっしり、本でいっぱいの部屋が嬉しくないはずはないのに、あまり足が向きません。
本を取り出したり片付けたりする以外、決して長居することもありませんでした。

そこに起きた震災。
いちばん大きな本棚が崩れ、本の重みで部屋の戸が開きませんでした。
なんとか隙間をこじあけ、本を一冊ずつ掻き出して隙間を広げ、床に地層を成して散らばった本と、その上に倒れる書架を見て呆然としました。

その後、こつこつと倒れた書架を廃材にして学校に持って行ったり(結局はゴミになりました)
本をすべて段ボール箱に納めたりしましたが、本部屋そのものは手付かずでした。
どのように再編したらいいか、わからなかったからです。

元々、イマイチだと思っていたので、震災前と同じように復元しようとは思いませんでした。
じゃあ、一体どうすればいいのかと考え、やっと今日になって分かりました。
私は、書庫が欲しかったのではなくて、本が機能している部屋が欲しかったのです。
本が機能的に収納され、「あそこにあの本がある」と分かり、不要な本がなくて、すっきりきれいに本が並べられた部屋が欲しかったのです。
本の倉庫ではなくて、「自宅図書館」と呼べる部屋が・・・。

手始めに、寝室にスチール書架を2つ移動させました。
棚を作っているときに、自分でも驚いたことに、なんだかわくわくしました。
スチール書架の1つはひしゃげたので、その棚板を使って、別なスチール書架の棚を増やそうとしただけですが
ここに、これから本を並べようと考えただけで、喜びが湧いてきました。

段ボール箱から読みたい本を発掘するのも、もう飽き飽きです。
復旧から復興へビジョンが転換し、新鮮な感覚を味わいました。
今日は記念日かもしれないなあと思った次第です。

小教研学校図書館部会の研修会

2013-07-24 23:24:28 | 研修
7月24日、市の小教研、学校図書館部会の研修会がありました。
県立図書館児童サービス担当者が、とてもすばらしい講話をしてくださいました!
感動しながら聞いていた、あっという間の90分間。
著作権法で訴えられない程度にまとめてみたいと思います。
以下、レジュメの項目を元にしていますが、詳細は私の感想です。

「学校図書館の効果的な活用のために」
  県立図書館資料情報サービス部 児童資料チーム主任 Y氏

1 「子どもの本を知る」

 ○NDCから

  まずは、「おはなし(9類)以外にもたくさん本がある」という話。
  表を見ながらだと、「あ、9類って1/10なんだ」と視覚的にわかります。

  さらに、絵本は形式で分けられるので、NDCの枠外に置かれることが多いとのこと。
  確かに、3類などにはよい科学絵本があったりします。

 ○本を読み比べてみる

  ここでは「ダンゴムシ」を扱った科学読み物を何冊か紹介していただきました。
  写真絵本、ちぎり絵の本、調べ学習用に特化された本・・・
  
  Yさんの解説がいいなあ!と思いました。
  「勿論、実物を見るのがいちばんいい。
   でも、興味をもった子に、そっと寄り添う本があるといいなあと思います」

  具体的にページをめくって紹介していただいたあと、
  Yさんが「ダンゴムシは虫ではない」という視点を与えてくれました。
  ダンゴムシは甲殻類でエビやカニの仲間だけれど、そのことをきちんと書いている子ども向けの「科学読み物」って、案外少ないのだそうです!

  「科学的に正しく書かれているか、という点は大事だと思います。」
   ごもっとも。

  さらに、「3びきのこぶた」を2冊、まるまる読み聞かせしていただきました。
  一冊は、瀬田貞二さんの訳したもの。(学級文庫に入れ、読んでショックを受けたもの)

  昔話には残酷な表現も多いので、子どもむけに書き直されることはしょっちゅうです。
  でも、その翻案の過程で、昔話の本質や魅力が失われていないか・・・?

  「骨のしっかりとした物語を読むことが、子どもにとっていかに大事なことか」 
  具体例で教えていただきました。

 ○ 本を探すためのツール

  これは少々専門的すぎやしないか? と、最初は思いました。
  先生たちが「選書ツール」と言っているのを聞いたことがありません。
  でも、聞いているうちに、なるほど、これも大事だなあと思うようになりました。
  食育でたとえるなら、食材を買いに行く情報、つまり店の場所やお買い得情報を貰ったようなもの?

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  福島県立図書館には「学校図書館基本図書目録」のうち、現在入手できるすべての本が揃っているそうです!
  実物を見てみたい人は、県図へGO!


2 図書館は「   」がつくる

 学校司書、司書教諭、先生、関わる人(ボランティアなど)、子どもたちが
 それぞれの立場から学校図書館に本を求め、本を利用して実践を重ね、授業で利用するために本を発注し・・・
 ということの積み重ねで「蔵書」ができるのだ、という総括でした。
  
 
いろいろな本を読んでくださったのですが、最後に「光の旅、かげの旅」を読み聞かせしていただきました。
「視点を変える」というメタファーです。
本を知らなかった人が、びっくりした顔で見入っていました。


先生たちに「蔵書構築」の話はどうかとも、最初は思ったのですが
考えてみれば子どもにとって最初に触れる図書館は、おそらく学校図書館です。
そこで出会う本にはなるべくいいものを選びたい!!
・・・と、思うのは当然のことでした。

本は奥が深いです。











お気に入りの本棚のある店

2013-07-16 22:51:55 | その他
実家から帰る途中、何気なく立ち寄った小さな町の本屋で、
見覚えのある本棚に再会しました。


絵本用の棚。
手前の低い段に子どもが座って読んだり、床に膝をついて読んだりしています。


一般用も、こんなかんじ。
上の方まで手が届きます。

今回もコーヒーを買おうと思って立ち寄っただけだったのですが
課題図書と夏休み推薦図書コーナーが充実していて、親子づれなどが次々立ち寄っては
本を吟味している様子にほれぼれ。
活気があって、何よりです。
よく見ると、平積みされた課題図書のいちばん上の本だけカバーがなくて、自由に読めるようになっています。
また、推薦図書には手書きのかわいい紹介文POPが貼られており、思わず手にとりたくなりました。
ふつうの書店では、課題図書や推薦図書なんて、帯を巻いただけで済まされてしまうことが多いと思うのですが
ここは書店員の意気込みが伝わってくるコーナーでした。
高学年の本の選定委員をさせていただいたので、嬉しさもひとしおです。



そういえば、最近は書店員がイベント的にコーナー作りを頑張る事例を多く見聞きします。
たとえば、「銀の匙」の店内ディスプレイ・コンテスト

中には、販売促進グッズを自分で作って、自分で書店へ送って販促活動をしている漫画家さんも・・・
こちらです → 杉本亜未「アマイタマシイ」ブログ「甘魂ブログ」


このところ、町の書店の売り上げが落ちているというので、ささやかながら協力を。
この書店ともう一軒で、合わせて1万5千円ほど購入。
子どもの本はともかく、教育関係の本や雑誌は高いです。

国語授業のユニバーサルデザインという本を買ってみました。
これは、6月からこっちにかけて少し頑張っていた、ビジュアル教材作りに通じるものがあるかも・・・と思って。
算数の授業は、今回の改訂で内容が急に増えて、教科書がぎゅうぎゅうになったため、子どもたちののみこみがイマイチ・・
そこで、教頭に勧められた指導書アンチョコ本を使ってみたら、子どもたちの食いつきや理解度が違うのです(テストが常にないくらいよかった)。
夏休みには、2学期の教材をゆっくり作るのもいいかもしれません。



東京勤務・埼玉在住の友人が、この夏に大地震が起きる予知夢を見たといって、真剣に地震対策をしています。
窓にひびわれ防止シートを貼ったり、職場の机の下に水を保存したり、通勤にサンダルを履かないようにしたり・・・
ふだんは理知的な人なのに、この他にもかなり真剣に対策を講じている様子を見て、こちらも何やら心配になってきました。
何事もなく、無事に過ぎますように・・・!