カディスの緑の風

スペイン、アンダルシアのカディス県在住です。

現在は日本の古い映画にはまっています。

二人の女性大臣の辞任に思う

2014-10-21 16:19:48 | 言わせてもらえば



ここ数日間、日本では二人の女性大臣の進退問題で

大騒ぎであったようだ。

松島みどり法務大臣の「うちわ問題」に始まり、

それが小渕優子経済産業大臣の政治資金収支報告書の

問題に飛び火した形で、後者のほうがずっと大きな話題になり、

小渕大臣辞任、それに続いて松島大臣も辞任、という形で

一応の決着をみた。


しかし、この二人の女性大臣は、安倍第二内閣において

「輝く女性」という、目玉スローガンによって

国民に政治をさらに身近にアピールしようという

思惑から起用された人事であったことは、確かである。



二人とも、公職選挙法に抵触する「利益供与」という

行為になる、という疑惑なのであるが、

松島大臣の場合の「うちわ」論議は、まことに大人げない。


そんなことで辞任に追い込まれた松島大臣が気の毒である。



しかし小渕大臣の場合は、かなり重大な問題を露呈してきている。


元総理大臣であった故小渕恵三氏の娘として、小渕氏逝去のあと

父親の衣鉢をつぐ形で群馬5区においての衆議院議員選挙に

当選した小渕優子氏であるが、彼女は本籍が群馬にあるだけで、

実際には東京生まれで東京に住んでいるお方である。


疑惑の中心は、小渕氏の後援会を対象に毎年行っている明治座観劇の

参加費総額の収入と、観劇費用として計上されている支出の差が

2000万円ほどにも上ることであった。




小渕優子氏は「収支報告書の内容は私も疑問に思う」と言って、

これから厳密に調査する、と言っているが、

わたしは直感的に、これは「無償ご招待」の人たちがずいぶんといるのでは?

と思ったので、ネットで調べてみると、次のようである。


明治座は1000人集まらないと貸切にならない。

小渕氏の後援会には、1000人一グループとして、

二グループのツアーをくんで貸切公演を行っている。

観光バス代、弁当、お茶代などの経費を含む観劇参加費用は

一人12000円、合計2000人が参加したとしたら、

2、400万円が計上されていなければならないのに、実際の

収支決済には平成23年で369万3000円しか収入として

計上されていない。

つまり単純計算すると12000円払って参加した人たちの数は

たったの300名あまり、ということになる。

ということは、劇場内は空席だらけ、となる計算である。

明治座は貸切は1000人以上、ということだから、

空席代は政治資金から補てんした、とも考えられる。



だが、小渕優子という代議士主催の明治座貸切観劇が

空席だらけのスカスカであるはずがない。

小渕氏は人を集められないのか、という、人気に影響してくる。

ということは、残りの座席は政治資金からまかなって、

無償でご招待した人たちで埋められた、という憶測が成り立つ。


実際に明治座行きの観光バスの台数などの詳細がネットに

載っているが、やはり一回につき1000人ほどの

参加者がいる計算になるのである。


とすると、収支決済の2000万円ほどもある食い違いは

参加費を払って参加した人たち以外の人たちへの

無償ご招待に由来する、と考えると、計算としては

つじつまがあうことになる。

しかしそれは、「利益供与」となり、公職選挙法221条に

違反する、ということになる。



上記はかってな憶測にすぎないのであるが、

そうした可能性もある、ということが主要な点である。

そしてやはり政治資金で購入した品物などの行方も追及されている。



小渕大臣は責任を問われ、自分が知らなかったことは

「不徳のいたすところ」として辞任を決意し、

安倍首相もそれを受け入れた、という。



小渕優子代議士は父親から譲り受けた選挙区という基盤があり、

そこには大きな資金が渦巻いている。

そんな莫大な政治資金力や、暗黙のうちに「利益供与」となる

資金活用などは、小渕氏に限ったことではなく、

もっともっと、たたけば埃の出るからだの議員も多々いるようである。

また日本だけでなく、政治の世界ではどの国にもあることであろう。


ただ、やはり小渕氏は小さいころから、政治家の家系の

「お姫様」として育ち、父親亡きあと、すんなりと議員となって

これまでたいした功績もないのに順調に政治の世界で

もてはやされてきた人だけあって、考え方がずいぶん甘いな、と

つくづく思った点がある。

それは記者会見の中で次のように語っていることである。





一部報道には、関係者に品物を贈るのは
個人としての社交であるからポケットマネーで行うべきである、
とのご指摘がありますが、会社や団体が経済活動のなかで
関係者に経費で社交儀礼を行うのと同じく、
政治家が政治活動を行うなかで、さまざまな人と交流を持ち、
人脈を広げていくことは、重要な仕事のひとつであり、
政治活動の経費として認められるものと思っています。
また、私の義理の兄が経営する服飾雑貨点から
物品を購入している点ですが、このお店は
私の姉がデザインした品物を販売しており、
一般の品物とはまた違った話題で交流を深めるキッカケになるので、
大変重宝しております。

出典:
辞任の小渕優子氏 「収支報告書の内容、私も疑問に思う」記者会見で謝罪
http://logmi.jp/25444

つまり、小渕氏は、自分の所属する自民党、そして

選挙区民のことしか頭にないのである。


東京生まれの東京育ちであるから、

票田の群馬の人たちとの交流も希薄になりがちであり、

なんとかそれを深めなければ、という深層心理もある、と思う。

しかし、「関係者に品物を贈るのは個人としての社交である」、というのは

まっとうな指摘であり、やはりこれは政治活動の経費として計上するべき

ものではないであろう。

政治活動は品物をばらまいたり、パーティをしたり、

観劇をしたりして人心におもねることではないはずである。

自分の政治理念を丹念に国民に語り、

国を良くするための努力を惜しまず、

切磋琢磨していくことによって賛同者を得ていくのが

本来の政治活動なのではないか。

この辺のところが、日本の政治には欠けている。




美人で若くて、子育てもしていて、人当たりもよくて、

気前がいい、だから「素敵ねえ」、ということで票をいただいて

それで本人は気持ちがいいのだろうか?


ぜひこれを機会に政治に対しての考えをもう一度見直し、

議員であることの真の意味と目的を見出していただきたい、

と、思うばかりである。





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