カディスの緑の風

スペイン、アンダルシアのカディス県在住です。

現在は日本の古い映画にはまっています。

パゾリーニ監督『奇跡の丘』(1964年)

2013-09-21 23:21:03 | 映画
『奇跡の丘』 原題: il vangelo secondo matteo (マタイによる福音書) 監督・原案・脚本: ピエル・パオロ・パゾリーニ  1964年イタリア、モノクロ映画 パゾリーニは1963年にロッセリーニやゴダールなどの監督作品との オムニバス・コメディ映画で、『ラ・リコッタ(意志薄弱な男』という題の短編で イエスの生涯を描いたが、イタリア当局の検閲で、 「 . . . 本文を読む

やはりどうしても好きになれない『東京暮色』…。

2013-09-16 23:41:04 | 映画
女の情念、情欲の世界を描いて秀逸なのは成瀬巳喜男監督である。 結婚も離婚も、再婚も経験した成瀬はまた、 林芙美子の熱烈なファンであった。 脚本も女性に手がけさせて、 女の気持ちに近づこうとした。 成瀬の映画には成瀬自身の影は見えない。 まあわたしはそれほど多くの成瀬映画を見ていないから、 一概には言えないのだろうけれど、 少なくとも成瀬巳喜男の女の描き方は そ . . . 本文を読む

小津安二郎監督『東京暮色』(1957年)

2013-09-14 18:01:05 | 映画
小津映画はすでに何本も見ていて、どの作品もそれなりに楽しんでみていたのだが、 この『東京暮色』を観た後の後味の悪さは格別だった。 その前に『早春』をみて、小津が女の行動は描けても、深い内面の葛藤や苦悩は 描けない監督だな、と思ったのであるが、『東京暮色』はもっとひどい。 まるで和食の板前さんが、何を勘違いしたか、濃厚な中華料理をてがけ 化学調味料たっぷり使って仕上げ . . . 本文を読む

小津安二郎監督『早春』(1956年)

2013-09-13 17:11:35 | 映画
小津監督のメロドラマ特集として、英国アマゾンで売られているセットには 『早春』『東京暮色』そしてサイレント映画の『東京の女』(1933年)が 収録されている。 『東京の女』はまだ見ていないのだが、『早春』と『東京暮色』、二本 続けてみてみた。 まず『早春』。この映画は不思議な光景が多い。 毎朝、蒲田駅8時28分発(だったかな?)の電車にのるために、 若い男女がぞく . . . 本文を読む

小津安二郎監督『お早よう』(1959年)

2013-09-12 20:37:39 | 映画
これも子供たちを主人公にしたお話である。 時代は1959年、もはや戦後の暗い雰囲気はなく、 おそらく1964年の東京オリンピック開催が決定していて 東京が変わりつつある時代だったのであろう。 東京の下町の川沿いにある新興住宅地、 建物を見ると都営住宅のような画一的な平屋だての長屋のような 家が密集している住宅地で暮らすサラリーマン家族の日常を描いている。 新興住宅 . . . 本文を読む

小津安二郎監督『大人の見る繪本 生まれてはみたけれど』(1932年)

2013-09-11 16:11:52 | 映画
小津の映画にはよく子供たちが登場する。 多くの場合、男の子の兄弟、あるいは一人息子である。 その子供たちはやんちゃで、腕白で、学校をさぼったり 親に口答えしたり、とても元気な子たちである。 そういう子供たちを主役にした小津の作品、 戦前のサイレント映画『大人の見る繪本 生まれてはみたけれど』と 戦後のカラー映画『お早う』の二本が、英国アマゾンからとりよせた DVD . . . 本文を読む

外国人評論家の成瀬巳喜男監督評価

2013-09-06 22:56:40 | 映画
成瀬巳喜男監督の映画、『浮雲』『女が階段を上る時』『晩菊』 という三本の作品を見たのにはわけがある。 それはこの三本がワンセットになって、英国アマゾンで販売されていたからである。 成瀬監督の映画は、『乱れる』も見ていたのだが、それはわたしがまだ 高校生の頃で、はるか昔のことだ。成瀬巳喜男、という名前も知らなかった。 ただ、加山雄三は当時、若大将として一世を風靡 . . . 本文を読む

成瀬巳喜男監督『晩菊』1954年

2013-09-05 20:21:32 | 映画
原作は林芙美子の小説、『晩菊』『水仙』『白鷺』を 一つにまとめて映画化したもの、ということで、 昔芸者仲間だった四人の中年女性の零落した姿を描きながら、 感傷におちいることなく、ユーモラスで、また ペーソスあふれる作品である。 脚本は、田中澄江、井出俊郎。 枯れ残る晩菊にも似て 四人のおんなが辿りゆく 哀感の人生旅路 映画のポスターにはこのような言葉が入 . . . 本文を読む

成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時』1960年

2013-09-04 15:51:06 | 映画
    『浮雲』とはうって変わって身持ちの固いバーのマダムを演じている 高峰秀子が実に美しい映画である。 衣装も担当した、という高峰は、地味だが江戸好みの縞模様や、 肩身替わりの粋な着物姿で、上手に客をあしらう。 映画の筋は単純である。 秋も深くなった銀座のあるバー。 その階段を女が上る。上がってしまえば、その日の風が吹く。 銀座のバーの雇われマダムをしてい . . . 本文を読む