カディスの緑の風

スペイン、アンダルシアのカディス県在住です。

現在は日本の古い映画にはまっています。

小津安二郎における戦争の影響 - 追悼の陰膳

2013-10-25 12:44:24 | 映画
小津映画をずっと見てきているが、『麦秋』を始めてみた時、 あるショットに大いなる違和感を感じた。 なぜこのような配膳のちゃぶ台だけを、静かに数秒写すのだろう。 小津ともあろう人が、ご飯茶碗と汁椀を逆に配置する、とは、これは たんなる間違いではない。なにかわけがありそうだ、と思ったのである。 そのあと、『お早う』を見た時も、同じようなちゃぶ台のシーンがあった。 . . . 本文を読む

小津安二郎エッセイ『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』

2013-10-21 22:35:25 | 映画
蚤を懐しむ 南昌攻略は春だった。 修水河の渡河戦に始って、夜を日についでの追撃だった。 何処も彼処も菜の花の盛りで、菜の花に夜が明けて、菜の花に日が暮れた。 夜が明ければ、陽をうけた一面の鮮かな黄に、眠不足の目を細め、 「いまだ生きている目に菜の花の眩しさ」だった。 日が昏れれば、一面の黄が、夜空に白く抜けて、いつまでも目に残った。 着のみ着のままの、埃と汗と垢で . . . 本文を読む

木下恵介監督『カルメン純情す』(1952年)

2013-10-12 22:40:49 | 映画
この映画は前作『カルメン故郷に帰る』の続編なのではあるが、 雰囲気はまるっきり異なる。 前作の日本初のカラー映画の明るさから 一転してこちらはモノクロ作品であるし、 高峰秀子のカルメンや、相棒の朱美(小林トシ子)は 前作のあの溌剌とした天真爛漫さは影をひそめ、 全編を通して、辛辣な時代や政治を 風刺する作品となっている。 あらすじを紹介すると、浅草のストリップ劇場で、 . . . 本文を読む

木下恵介監督『カルメン故郷に帰る』(1951年)

2013-10-11 10:27:17 | 映画
今年の夏は脚の怪我であまり外出もできず、 猛暑だったので、遮光して暗い家の中で ほとんど連日DVDの映画を見続けた。 最近テレビを買い替えて、YouTubeにも接続したので、 またまた古い映画を見続けている。 やはり外国生活が長くなると、こうした日本の古い映画で 見られる東京や地方の風景などが懐かしい。 それに加えて、戦後の日本がどのように変わっていったか、 . . . 本文を読む