昭和21年初冬、南方からの引揚者が日本に上陸する。
その中に若い女が一人、混じっている。
焼け野原となった東京の町の、代々木にある一軒の家を
その女が訪ねていく。
家の主の名は「富岡」という男だ。
富岡の母、そして妻と思しき二人の女性が玄関に出てくる。
女は、農林省から使いにきた、と告げ、
奥から富岡が顔をだす。
富岡は女をみても別に驚いた表情もしない。
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『神々と男たち』
原題: DES HOMMES ET DES DIEUX
2010年フランス映画
監督 グザヴィエ・ボーヴォワ
以下、DVDの解説を引用。
1990年代のアルジェリア。フランス人修道士たちが
現地のイスラム教徒と宗派を
超えて交流していた。互いの尊敬と慈愛に満ちた、
静かで平和な日々。しかし
アルジェリア軍とイスラム原理主義者による内戦は
激化の . . . 本文を読む
足の怪我の治療で、看護婦さんに傷口を手当てしてもらうため
町の診療所へ、数日おきに通い続けている。
待合室で待っている間、来ている患者さんたちの人間観察をする。
国民医療の診療所だから、患者は年金受給者や中低所得層の
人たちとその家族がほとんどである。
高額所得層は企業や個人保険を利用して、
プライベートのクリニックへ行くからだ。
看護士さんたちの治療室は二つあり、 . . . 本文を読む
先日DVDでみた『たそがれ清兵衛』という映画で、清兵衛の幼い長女が
論語の一節を暗唱する場面があった。
むかしはこうして幼いころから、暗唱する、という学習法があった。
意味などは難しすぎてわからないけれど、言葉として、音として、
耳から聞いたことを口に出して何度も繰り返すことで、
それが若い脳にインプットされる。
その言葉の意味は、成長するにしたがって次第に解読していく、とい . . . 本文を読む
先日の記事で、キリスト教の三原則「神・罪・救い」のことを
書いたが、その図式として、「神=救い→罪」ということを
わたしはある宗教哲学者のブログで教わった。
その図式でキリスト教文学や映画を見ると、
まるで、新しいメガネを得たように、ものが見えてくる。
遠藤周作の『沈黙』、この小説において遠藤のなげかけたテーマも
「神=救い→罪」という方程式をあてはめると、
すーっと納得できるような気がするのである。
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神を追求することほどたいせつなものはないと長いこと信じてきたと
彼は語った。「船に乗り海にこぎだすこと、そして死をふりすてるように、
自分が安楽に眠れるかくれ家をみつけ住みついたと思いこんでいる連中と
別れてしまうこと、というのはぼくはながいこと、こういう連中を
軽蔑してきたからです」
以上はモーリアックの「テレーズ・デスケルゥ」(遠藤周作訳)からの
抜粋で、 . . . 本文を読む
あるきっかけがあって、もう15年以上も前に読んだ
遠藤周作の『深い河』を読み直した。
当時は、昔訪れたことのあるインドが懐かしくて
インドの光景描写ばかりにイメージを膨らませて
読んだので、登場人物の細かい性格描写や体験などは
きっと流し読みしてしまったに違いない。
最後のガンジス河のガートで起きたこと、
そして空港の描写だけは
なぜか生々しく覚えている。
今、読み直し . . . 本文を読む
日本のわらべ歌、「かごめかごめ」の歌詞。
かごめかごめ
かごの中の鳥は、いついつでやる
夜明けの晩に、鶴と亀がすべった
後ろの正面、だあれ
夜明け、と、晩
鶴、と、亀
後ろ、と、正面、
これは逆さまの世界を唄っている、と
むかしむかし、どこかで読んだ。
逆さまの世界、逆さまの真実…。
最近、イコンの絵は、逆遠近法で書かれている、と知った。
(「書く」ので . . . 本文を読む
この記事はわたしの別のブログに掲載したものを転載したものです(↓)_。
http://blogs.yahoo.co.jp/maximthecat/33006959.html
7月21日日曜日、猪瀬直樹の妻・ゆり子さんが逝去されました。
猪瀬直樹は7月24日木曜日夜、フェイスブックに
つぎのように書き込みました。
「妻ゆり子の告別式が終わりました。
ご焼香ありがとうござ . . . 本文を読む
暑いので、よほど用事がない限り、家にこもっているが、
やはり退屈でありますね。
こういうときには、暗いリビングのソファに寝転がって、
DVDの映画を見るのが一番のひまつぶしとなる。
英国アマゾンから取り寄せた、小津安二郎監督の映画を見る。
「東京物語」
「晩春」
「麦秋」
「戸田家の兄妹」
「一人息子」
「淑女は何を忘れたか」
「父ありき」
「秋日和」
「彼岸花」
「秋刀魚の味」 . . . 本文を読む